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ここ?うぅん。
ボクも昨日、ここに来たとこだよぉ。
キミは、違うの?ボクに聞くくらいだからここの人じゃあないよねぇ。
っていうか、ここ、人いるんだ?
挨拶しないといけないのかなぁ。
[にーっこりと満面の笑みを浮かべた後、きょろ、と周りを見渡した。
閉まっていたり開いていたりする扉が見えるばかりだったけれど。]
はぁ…。
私はここに居るように、としか聞かされていませんもので。
詳細も何も聞いていないのです。
私を指名して仕事の依頼が来ていたのは少々不思議には思いましたが…。
[仕事を請けた時から引っかかっていたことだったが、そう言う依頼も極稀にあることはあるため、そこまで違和感は覚えなかったようだ。
糸に視線を向けたのは本当に一瞬。
今は興味が無いかのように視線は目の前の青年へと向けられている]
何はともあれ、主様がいらっしゃるのを待つしか無いでしょうか…。
私が呼ばれた理由をご説明頂かないと。
ああ、そうでした。
申し送れました、私はオトフリート=ゲルル。
先程申しましたように執事の仕事をしております。
以後、お見知りおきを。
[思い出したようにして姿勢を正し、頭を下げる。
再び頭を上げると、にこりと笑みを浮かべながら自己紹介をした]
ええ、わたしも、昨日に。
「連れて来られた」人は、いるみたいですね。
わたしの他にも……
[言葉を交えたアーベルと、広間で感じた複数の気配。ついで、玄関に転がっていた「卵」の事も思い出したが、それは数に入れなくてもいいだろう。]
二、三人、もっといるのかな。
[指折り数えた。]
多分、広間辺りに行けば会えるんじゃないかな、と思いますけれど。
[釣られて視線を彷徨わせる。
やけに、いい匂いがした。誰かが料理を作っているのだろう。……扉も閉めずに。]
ふーん。
ウロウロしてみようかなぁ、ボク。
キミ、えとブリジットさんは学生さん?
その服、可愛いねっ。
[しゃくり、手に持ったリンゴを齧りながらひらりと手を振り、降りる階段へと歩き出した。]
詳細聞いてるのなんて、いるのかねぇ……。
[手荒い『招待』の事を思い出しつつ、ぽつり、呟く]
ま、後で説明する、って言ってたし、その内お達しあるんじゃね?
むしろ、ないと困るっていうか。
[肩を竦めつつ、投げやりな口調で言い放ち]
……アーベル=シュトゥルムヴィント。
気が向いたら、覚えとけばいいと思う。
[自己紹介にも、その口調のままで素っ気なく返した]
え。
あ、と……
ありがとうございます。
[褒められるとは思わずに、反応が遅れた。
立ち去るユーディットを見送りかけて、]
じゃなくて。
[本来の目的を思い出して、パタパタと後を追う。
階段のところで漸く追いつきかけるも、声をかける前に、階下から聞こえて来る意識を移した。]
ん?
あれ、誰かいるねぇ。
[追いかけてきたブリジットに一度振り向きつつ階段を降りて行くと、人影が見えた。]
こんにちは、初めまして。
ユーディット・クリューガー、です。
[見えた人影ふたりに、再びスカートを持ち上げ腰を落としてお辞儀をする。
が、下にいる青年の顔を見て、ぴた、と動きを止めて首を傾けた。]
説明がないと私も困りますね…。
通常でしたらすぐに仕事内容の確認等があるのですが、今回はそれがありませんし…。
[あくまで執事の仕事を依頼されたのだと思い込んでる。
相手から名を返されると]
アーベル様、ですね。
執事たるもの、お客様のお名前はきちんと覚えなければなりませんから。
[しかし数が増えると間違えるのがこの執事の欠点だったりする]
何かお飲み物でもお入れしましょうか?
広間ででも………。
[言いかけてきょろきょろ。
広間の場所などまだ確認していない。
次第にきょろきょろがおろおろに変わる]
[みたいですね、と頷いて。
ユーディットの後に続いて、ゆっくりと階段を下りる。]
ああ、アーベルさん、と――
[二人以外の人間と、ここで顔を合わせるのは初めてだ。]
こんにちは。
ブリジット=エメスです。
[まずは、と、挨拶を投げた。]
[一体どんな形で連れてこられたんだ、こいつ、などと考えつつ。
様、呼びには一瞬だけ渋い顔をするが、多分突っ込んでも無駄だろう、と思って何も言わず]
……広間は、そっちの奥。
ただ、茶淹れたりする設備はなかったな。
[奥の方を指し示しつつ、言って。
上から降ってきた声にそちらを見やり]
……お?
[そこに立つ少女の姿に、短く声を上げた]
え、あ。
は、初めまして。
[丁寧な挨拶にこちらも深く頭を下げて]
オトフリート=ゲルルと申します──ぁれ?
[目の前には女中──メイドの姿。
自分以外にも世話する者が居たのかと目を瞬かせた。
その後ろから現れる少女に気付くと、同じように頭を下げ名を告げる]
[アーベルを、睨むようにじっと見て]
あれ、どっかで見たことあるよーな…?
[指で眉間を揉みながら、記憶を探っていると、オトフリートの間抜け(失礼)な声がきこえて]
…あれ?
キミ…オトフリートさん、も、ボク知ってるっけ?
[首を傾けた]
[見詰め合っている間を縫って、一回の床に降り立った。
三人をそれぞれ、順に見て、]
……お知り合いですか?
そういう集まりなのかな。
[オトフリートと名乗った、長い髪の男性を見やり、呟いた。
女中姿のユーディットと並ぶと、まるで上流階級の屋敷を訪れたかのような、錯覚に陥る。]
あ、ああ、そちらでしたか。
すみません、まだ屋敷の確認をしておりませんもので。
[青年──アーベルの言葉に申し訳無さそうにぺこぺこ頭を下げて。
続く言葉にははた、と動きを止める]
え、無いのですか?
それじゃあお持て成しが出来ないじゃないですか…!
[告げられた事実に更におろおろ。
そんな中でメイド──ユーディットに声をかけられ]
あ、いえ。
私以外にもお客様を持て成す方がいらっしゃったのかと思いまして。
私、執事の仕事をしております。
[それらしい立ち振る舞いで再び頭を下げる。
……どうも頼りなさげではあるが]
お。よ。
[続けてやって来たブリジットに、ひらり、と右手を振り。
睨むようにこちらを見るユーディットに、やや、わざとらしく首を傾げて見せる。
こちらは、記憶を辿るまでもなく相手が誰か、察したらしい]
[少女──ブリジットの言葉には]
いえ、私は皆様初対面でして。
何かの集まりなのかどうかはさっぱり。
私は仕事として呼ばれた……のだと思います。
[少しずつ不安が出てきたのか、語尾が弱い]
……そっちの部屋。
[オトフリートの様子に、調子狂うな、などと思いながら、今度はモニタールームの方を示して]
そこの端末で、ここの見取り図とか見れたぜ。
[見て覚えられるかどうかはまた、別問題かも知れないが、それこそ知る由もない事で]
だから、その手は全部個人用になってるらしいんだって。
なんで、とか、俺に聞かれても困るが。
[むしろ、答えられる方が珍しいかも、とか思いつつ]
……針と糸?
[ブリジットの問いに、さすがにきょとり、と瞬き一つ]
仕事……。
[「ここに来た」とだけ言ったユーディットとは、どうも異なるらしい。
自信無さげに見えるオトフリートを、暫く、不躾とも言える様子で眺めていたが、]
ああ、スカートが破けてしまいまして。
[鸚鵡返しに言うアーベルへと視線を移して、裾を軽く引いて見せる。
下はタイツとは言え、はしたないと思ったか、示すのみ。
破けたにしては、すっぱりと切れているのは見て取れるが。]
[アーベルに示された先を見て部屋を確認し]
え、あ、そうなのですか?
見取り図があるんですね、それなら何とか…。
[きっと覚えきれないだろうが]
個人用、ですか…。
何だか私の存在意義が無いように思えてきました…。
[かくっと項垂れる。続いてブリジットの声が聞こえれば]
あ、携帯用のソーイングセットでよろしければ…。
[懐から取り出そうとして]
《ばらばらばらばらばら》
あああああああ!
すすすすみませんっ!!
[蓋が開いていたようで待ち針やら何やらが床に落下。
慌てて拾おうと床にしゃがみ込む]
[うーん、と眉間を揉みつつ、いまいちアーベルを見た記憶が思い出せずに唸る。
オトフリートの言葉には]
執事?
ああ、ボクメイドだけどご主人様にしか仕えないからここのメイドじゃないよ?
[ブリジットの言葉には、首を傾けて手元を見て]
針と糸、あるよぉ。
でも、糸は黒と白しかないけど…って、あ。
[オトフリートがばら撒いたソーイングセットを見つめた。]
破けた?
[なんだそりゃ、と思いつつ。
示された場所が場所なので、視線は一瞬向けるに止めてすぐに逸らす。
破けた、という表現とはややかけ離れたそれに、僅かに蒼が細められたのに、気づいた者はあったか否か]
……そりゃまた、災難で。
ま、生憎と裁縫道具の持ち合わせはねーからなぁ。
[どっかに置いてないもんかね、と。
軽く言いつつ、首を傾げる]
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