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[川のせせらぎが近づく中。
男はイヴァンへと声を掛ける]
そういえば……
“大事な恋人”とは仲直りできたのか?
[尋ねは確認にも似る響きで
からかう心算は毛頭なかったが
イヴァンには如何響いたか]
…カチューシャ、
今日は、あまり一人で居ない方が良いんじゃないかな。
[ふと、葬列歩むを見詰めたまま、呟きを落とす。
マクシームと共に過ごした家で独りで眠るという事が、
なんだか辛いのではないかと思えたから。
自分の所という訳には行かないから、
イライダとキリルへと顔を向けて問う視線を投げた]
嗚呼。
[棺の中に落とされる銀色。
それを見届け、瞑目をし、それから掛けられた声に従う。
歩き出してからは、僕は時折方角を告げるだけで、他は黙って歩いた。
ユーリーがイヴァンに掛ける声にも、僅かに視線を向けるのみ。
川辺にある小屋は、主を失って何年経つだろうか。僕にとっては懐かしいと同時に、寂しい場所。
錆びた鎌や擦り切れた縄や、最早生活に役立たない幾つかのものはあるけれど、もう殆ど空に近い。]
変わらなかったかしらね。
……わからないけど。
結局答えられないなら、答えておけばよかったっていう、後悔ね。
[ユーリーの言葉に、苦笑を浮かべて]
そう。
幸せそうだったのね。
……そこまで、マクシームを見ていなかったけど。
ユーリーが言うならそうなんでしょうね。
[少し、笑うような呼気がこぼれて。
それから、棺を運ぶのを、見送った]
[ロランの言葉に、カチューシャを見る]
うちに来ても、大丈夫だけれど。
[幼馴染の方が良いのでは、という視線が向かう。
カチューシャの希望に沿うつもりで]
[川辺の小屋に棺を運び込めば腰に手を遣り背を伸ばす]
此処なら落ち着けるかな。
助かったよ、ありがとう。
[共に歩んだ彼らに礼の言葉を向けた。
ふ、と小屋を見渡せば主を失い久しいような気配に気付く。
何か言おうと口を開くがイヴァンが帰ろうとするのが見えて
其方へと意識を奪われる]
イヴァン…!
[呼び止めようとするが思い直し]
後でそっちに寄るかも知れない。
[曖昧な言葉を向けて見送る態をみせた]
[それから視線は、キリルへ向かう。
昨日の様子を覚えているから、少し心配そうに。
キリルの言葉を聞きながら、そのあたりはすべてカチューシャの判断に任せる、というところだった]
……お茶を用意するわ。
[ふと、呟くように言う頃には、もう棺は見えなくなった頃。
その場の人に視線を向けて、誘いかける]
他に何かがないなら、うちにいらっしゃいな。
[イライダとキリルへ順に視線を向けて、
カチューシャの良いように、と、表情和らげて言う。
幼馴染が心安らかに少しでもいられれば、と思うのは
間違いない気持ちだった]
…ちょっと、寒いね。
[春先とはいえ、ふとした風が冷たく感じて。
花の香り届けるそれに一度ふると震えて辺りを見渡す。
暖かい陽光は昇り、その冷たさもまた和らいでいくのだろうけれど]
[レイスの応えにゆると目を細めた。
動いたせいか空腹を覚える。
血の匂いのせいで食欲がわくことはなかったが
昨夜貰った紅茶のクッキーが机の上に置かれたままなのを思い出した。
棺の中のマクシームはもう空腹を感じる事はないだろう。
幼馴染と酌み交わしたあの日が酷く懐かしい]
シーマ、
[呼び掛ける声はささやか]
カーチャを守ってやってくれ。
[見守れではなく、守れ、と無茶を言うのは
幼馴染という間柄と願いがそうさせた]
[イライダの言葉に、少しだけ逡巡の様子。
カチューシャとキリルへと視線を泳がせてから]
…えっと、
[おろりと棺が消えた先へ向ける。
ミハイルが居るならば、彼の方を見るのだけれど]
僕らも、戻ろうか。
血の匂いに狼が誘われたらかなわない。
[広場よりも森に近い川辺の小屋。
声を掛けてから扉を潜る。
微か聞こえる水音に誘われるように視線を遣ると
ロランの肘の怪我が頭を過ぎり微か柳眉を寄せた**]
寒いから、あったかいのをって、おもったんだけど。
[ロランの様子に、少し笑みを作る。
でも無理にすすめるつもりはないようで]
……あっちに、行く?
[視線は、棺の行った先へと向かう。
誰かがくるというのなら、先にお茶を淹れに戻り、家に招くことだろう。
そうでないなら、少し話を聞いたり、といったことが続く**]
[座る椅子はもう無かったから、壁に背を付けて床に座る。何とはなしに天井を見上げた。
此処を使っていたのは気の良い人だった。マクシームを置くことも、きっと赦してくれるだろう。]
……お願いします。
[ぽつと呟く。ユーリーの囁く声は聞こえなかった。
やがては促しに従って、其処を後にする。**]
…ん、
[幼馴染の、カチューシャとキリル、そしてオリガ。
女子の3人が固まって泊まったりという事が良くあって。
3人が集まる時にはなんとなく身を引く事が多かったから、
イライダの誘いに迷ったのだった]
いいの、かな
[キリルと目が合って。
少し頭を傾けて、やはり迷うように視線を泳がせた]
ボクは少し嬉しい、かも。
[カチューシャが未だその場にあるなら、首を傾げて彼女を見遣る。
同じく車椅子の幼馴染へも、問うように目を向けるのだけど]
…ハーブの香りは落ち着けるから。
[血の匂いが紛れるとは口にしない。
何にせよ、そうして少しの時を過ごせば礼を告げて自宅へと戻るのだった]
[勿論、幼馴染が阻害する気等無い事は判って居て
それが自分の気性に起因するという事は理解していた。
それでも刻まれた想いは少しだけ眉を下げて困った風に]
…ん、じゃあ…行く。
[告げると、イライダは先に戻って用意をするのだろう。
その背を見送るロランは、少し居心地悪そげに身動いだ。
キリルを見上げる。眉を片方だけあげて]
…変な顔。
[ぽつりと言ってやった]
〜〜〜、ひどい。
[イライダを見送って、人影が少なくなれば少し緊張も解ける。
ロランにまた変な顔と言われた。
むううと膨れれば、ぐいと口はへの字になる。
それと同時に、ぷくりと頬は膨らんだ]
ロランの、いじわる…!
[ぐっと手を握り締めて言い返す。
烏色の瞳が笑み浮かべれば、への字口はますます曲がった*]
─ 自宅:少し先 ─
……んー…、どこだろ。
落としたの、かなあ。せっかく…
[自室の寝台の下を覗き込んで、息をつく。
散々家中を探し回ったけれども、結局は見つからなかった。
探していたのは、昨日イライダに貰った白い小花の髪飾り。
カチューシャと分け合ったそのピンは、今は広場の片隅にある。
土埃と黒ずんだ血か何かの汚れに塗れ、
茂みから続く、遺体の移動の道筋に転がっている。
ボクは探索を諦めて、ガッカリと深い息を落とした。
小さな小花の、その在り処も行く末も分からない*まま*]
[キリルの言葉に、眉を下げて表情を和らげた。
カチューシャも居れば、顔を向けて。
少しだけ、何時もの空気が戻ってきた気がする]
…知らなかったの?
[いじわる、との言葉に首を傾けて見せる。
ヘの字口に、ほらそれ、と指差して、
落ちつくらしきハーブティへ想いを馳せた*]
―広場→川辺の小屋―
[棺にマクシームを納め、ユーリーの視線>>212にこくり、と頷いた。
レイスの案内に従い、マクシームを運ぶ。
密かに思いを寄せていた、イライダのブレスレットと共に。
川辺の小屋まで運び、棺を一度撫でた。]
(すまない。痛かったろ、苦しかったろ…。
近くにいたのに、気付けなかった…。)
[イヴァンを呼ぶユーリーの声を聞いて>>222、なんだ?と首を傾げる。
そう言えば、夜、彼の家に報せに行った時には返事が無かったな、と思い出したりして。
戻ろうか、との声に無言で小屋を出た。
広場までは戻らず、途中ふらりと皆と別れて自宅へ。**]
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