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[通り過ぎる人をみて、ミリィとエーリッヒへ注意を戻してみる]
[やっぱり明らかに違う、そう感じる]
あーっ、やっぱり、
あたしがみえるんだ。ってことはあたしと同じ?
筆を盗んだ疑いをかけられて。
上層部から告知されてた、封じの対象に選ばれちゃったの。
えーと、ミルドレッドさまは…まさか、しん、じゃったんじゃ、ないよね?
[ここは死者の世界に近い、と認識していたが]
[好き好んで封じたれたわけじゃ、と絵師の方から聞こえて、思いを巡らした]
あー…そうか…
[図書館の扉を開け放ったまま外へと歩き出したが
後ろからかかる声に]
なぁに?
[笑顔でユリアンを振り返ろうとし
壁に手をついたリディを、振り返りなおした。]
大丈夫?
そう、言われてもなぁ。
[他者に本音を晒さないのは、意図的にやっていた事。
自らの『月』を知り、『絵師』となる事の意味を師父から聞き。
その号を継いでから、ずっと]
……俺は、俺のまま、変わったつもりはないんだけどな、一応。
ただ、周りが変わった気がしたから、合わせてただけ。
あたたー
だいじょぶだよ!
[にへらと笑って手をはなす。
包帯にひかりごけがついて、その下の青も透けるよう。
あわてて手をぎゅっとした。]
そっか。
[と漏らした見返るの呟きに頷き]
だったらむしろ。穏やかな顔をしてるのはおかしいっすよね。
弟に背負わせて後は任せたーって無責任な人にも思えませんでしたし…ちょっと抜けてる気はしたけど
[そしてミリィも、同じような現象の陥っているのだろうとなんとなく把握しつつ
エルザの出た扉のほうをみる]
エルザ。どうかしたのか?
[幼い声に、二たび なるほどと頷く事になる]
……全く、あいつらも見る目がないな。
[余計な言は次がず、それだけを言う。
誰か一人の責ではなく、己より辛いものはいるだろうから
若返りの薬を作れるとまで言われている私だ、
そうやすやすと死ぬわけがなかろう?
迎えが来たら追い返してやる。
[エルザに追いつこうと図書館を出たところで、エルザの姿を見つけ、]
ん。いや、いきなり寒いって言って出て行くから、さ。
少し気になって。
[と、そこで少し離れた所で壁に手をついているリディに気づき、]
……あれ? リディ、お前中に入ってこないと思ったらこんなとこで何してんのよ?
てか、大丈夫か? その包帯も。
[心配そうに声を掛ける。布が青く染まり始めているのには、まだ気づいていない。]
あ…それ…っ
[リディの青が透けた手が見えて
はっと後ろ、ユリアンやその先のアーベル達を振り返る。
その見た?と言う表情は、
まるで訴えるかのように見えたかもしれない。]
[何事か、気づいたような少女の様子に、一つ、息を吐く]
ほんと、ごめんなぁ。
ちゃんと、戻さなきゃいけない俺が封じられるとか、情けない事になっちまって。
[それ以前の、封じを止められなかった事とも相まって。
向ける言葉は、苦々しさを帯びて響く]
やれやれ、お前も兄貴並みに馬鹿になるか。
やはり兄弟だな。
[ミハエルの答えに、薄く笑う。そして、その後を追うように戸口へと]
あらたな月…。
ミハエルさんが…。
そう、それじゃ、絵師のお仕事は続くんだね…。
[お月さま云々の絵師の話を思いおこし]
[大人二人の雰囲気にはきょとんとした気配]
[ミルドレッド様がおかあみたいさんで、
エーリッヒ様がむすこさんとか、そんなカンジなのだろうか、
なんて呟いていたりする]
はへ?
あ、あぁ。
ほら、昨日海でおぼれて、ミリィせんせーに巻いとくよーに言われたんだよ。
[逃げるように一歩ひいた。]
私がへますんの、めずらしくないじゃん?
わかってるよ。
わかっていた。
『絵師』であろうが、変わらない。
それぞれの知識や能力や役目はあるのだろうけれど、
痛みを覚えたり、喜びや悲しみを感じるのに変わりはないだろ。
[まだ幼かった頃、身勝手に彼らを厭っていた。
けれど、一度見た、『絵師』の瞳のいろ。
それがずっと、忘れられずにいる]
……ま。
だから、昔と変わらぬよう口煩く言っていたわけだが、
お節介だったらしいな。
うん。
ミルドレッド様なら、
何でも退治してくるって、
熊でも竜でも、あの方からは逃げ出すって、
おばあちゃんも言ってたよ。
じゃあ、盗んだ真犯人を探して、みんなに教えられる?
……あ、その前に、
ここからかえれないと、駄目なのか…。 [と気づいた]
……なのだろうね。
昔からずっと、そうであったように。
事件も、カタがついていないのだから。
[事実を紡ぐ幼子のことばに、同意を示す。
この空間には未だ慣れていないか、
地獄耳は運良く?呟きを拾わずじまいだった]
…あれ?だったら…この絵を描いた人間って…
[考えが少し浮かんだところでエルザの示す。リディの手を見て]
なんだそれ?…いや、ちょっと待てよ
[リディの手と絵とを見比べ、絵をそっと手に取る]
[透けた青が見えた気がした。
それは遠くからで、よくは見えず。
けれど、僅かな違和感が残った]
リディ、それ…
[もう一歩、近付いて]
ん、ああ。
『絵師』の役目は……まだ、続く。
……本当は、俺で終わらせたいと思ってたんだが……色々と、難しいようだしね……。
[少女の言葉に、一つ頷く。
仮に、この場から解き放たれたとしても。
恐らく、『叶える』までの時は、己にはないから……と。
それは、表にはださなかったが。
呟きは辛うじて、聞こえなかったらしい。
距離もあったし]
待て。
なんだと思われている。私は。
そんな生き物、会ったこともないぞ。
竜は薬の材料に良いというが。
[何か、ずれた。]
……犯人自体は、見つけたのだけどな。
私もほとほと、迂闊であったらしい。
変わらないし、変わらないつもりでいた。
けれど。
『絵師』が、象徴であるのも、知っていたから、ね……。
[自身も『月』が昇る以前は、師父を絵師様、と呼んで慕っていたから。
その役割もまた、理解はできていて]
でも、そのお節介で、助かってた部分もあったんだぜ……ミリィ姉。
[笑いながら口にしたのは、薬師殿、ではなく、幼い頃の呼びかけ方]
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