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― 広間 ―
[昨日できなかった謝罪を先にしようとしたので、ハンスの命を奪った弓は持ってこなかった。
人の気配が集まっている広間に入る]
………。
[緊迫した空気に扉の近くで立ち止まり、中にいる人達を順番に見回した]
―個室―
[昨晩は、部屋に戻った後はゆっくりと眠り、起きるのは大分おそくなった。
服はハンスの返り血やもろもろは、目立たぬほどになっていた為、それを着続けることにした。
着替えがあればすぐに着替えたいとも思っていたが、それを自分から頼むことは無いだろう]
んぅ…
[小さく伸びをして広間の騒ぎにはまだ気付かず]
─ 広間 ─
[ドアを開いたその時、幾つもの声が聞こえた。
人狼とカルメンという単語が飛び交っている。
その中心にいるのは、ライヒアルト修道士だ。
何が起こったのかを察したクロエの顔色が変わった。
鋭く息を呑み、微かな震えを押し殺して広間の扉を閉める。
指先が冷える感じがした。
これが緊張なのか怒りなのか恐怖なのかは、判然としない]
───何があったの?
[問う瞳は真っ直ぐに、アーベルへと向けられた]
[クロエが姿を現せば、蒼がそちらに向けられる]
ライヒアルトがカルメンに秘術を使ったらしい。
結果は――、『見つけた』だったかな。
それから俺が、もう一人の結果を言ったね。
ライヒアルトは月のいとし子でない、と。
ふむ。
君は随分とその者に肩入れしているようだな。
[言えば危険に晒される>>189。つまり半ば信じている発言と同義だと捉えた。
その手に刻まれた蒼い花に僅かに目を細め]
『双花聖痕』……皆を導く立場にある者が、それで良いのかね。
[責める風でもなく、ただ言葉を重ねる]
─ 広間 ─
[なんやよぅ知らんけど、どっちが正しいんかっちゅー話んなっとるらしい。
ちゅーことは、どっちか嘘ゆぅてん?]
ライさんは、カルメンさん人狼やゆぅて。
カルメンさんは、ライさんゆぅてること違うゆぅて。
ここだけ見ても、どっちか嘘ゆぅてんのか。
[アベルさんがゆぅたもう1人んこと置いといたら、なんや考えやすぅなった]
月のいとし子て、人狼のことなん?
[その辺知らんかったから、確認のためにアベルさんに聞いてみてん]
ライヒアルト修道士。
貴方は牙の主じゃない。
それなのに何故そんなことを言うの?
貴方は何の為に動いているの?
貴方は誰かを───…庇っているの?
[弾劾はまず、”もう一人”へと向けられる。
じっと目を向け告げる言葉の意は、彼には間違いなく伝わろう]
[もう一人>>173、とはどういうことだろう。
そう思ってアーベルを見ていたが、カルメンの答え>>179が聞こえれば、そちらに視線を向ける。]
殺してないなら、堂々としてればいいじゃないの?カルメンさん。
[ふら、と一歩カルメンへと足を踏み出す。]
あたしが、しっかりしてれば。
お祖父ちゃん、死ななかった。
ミリィお姉ちゃんも。
[エーリッヒの問い>>186に、うわごとのように言葉を返す。]
だから。
[ころさなきゃ。と。
最後の言葉は唇だけで示した。]
―→広間―
[身支度を整え広間に近づくと少し騒ぎになっているのを感じる]
あの…、なにかありましたか?
[昨日に比べれば落ち着いた様子で、
遅れてきたために事態は良くつかめていなかった]
ライヒアルト修道士がカルメンを人狼というのなら、
───カルメンは人狼じゃない。
見出す力は二つとないから。
だから……、
[冷えた指先を手の中に握りこむ。
ぐっと、奥歯をかみ締める]
[クロエの言葉が耳朶に響く。
彼女の選んだ事だと思えば口を挟まずただ耳を傾けた]
――…ん。
[ローザの問いかけには頷く]
お伽噺の中にある歌にそう記されているんだ。
月のいとし子、牙の主、月の牙。
それらは人狼を示していたと記憶してる。
今の状況?
[ライヒアルトの言葉>>184に、フッと笑い。]
自分は人狼を見つけられる秘術が使える……と、思い込んでいらっしゃるライヒアルトさんが。
私が人狼だと、誤った情報を仰った。それだけのことでしょ?
ナターリエさんは違ったと仰ったのに、私のことは人狼だと言うんですね。ライヒアルトさんにとって私は印象が非常に悪いでしょうから、そんな風に思い込まれたのではないですか?
人間、誰だって親しい者を信じたくなるものですしね。ふふ。
[暗い眼差しで、小さく笑う。
だが、逃げ切れる自信があるのかと言われると表情を無くし。]
……貴方こそ。
生きてここから出られると思っているの?
……早く、自分の思い違いでしたと撤回してください。そうでないと、私──……
[言葉は続かない。ジッとライヒアルトを睨み付けている。]
─広間─
[広間に響く声>>194が一つ。
男は一度瞬きをして、声を発した彼女>>196を見た]
…… 成程。
彼が言っていたのは君か。クロエ君。
[溜息を吐き]
私は何も庇ってなどいないさ。
[言葉の意は伝わったのか、それでも双眸は揺らぎはしない。
――実際、庇う心算で彼女を人と言った訳では無かったのだから]
2人おったらおかしい、んやな。
[それは今までん話で出とったから、そうなんやろうなて思うとく。
どっちがホンマのことゆぅてんやろ。
…………どっちも殺して見ぃわけにも行かんのやろな。
ゆぅたかて通る気ぃせんかったさかい、口には出さんかった。
いくら信じられへんゆぅても、誰か死ぬんには抵抗があんねん]
光なるものと闇なるもの。
狭間に揺らぐは影の護り手。
一つは光。
闇より迫る牙退けしもの。
一つは闇。
闇に潜む牙を護り、生かさんとするもの。
二つの護り手。対ならざる対なす者たち……
[口ずさむのは古いうた。広く知られた幻燈歌。
低く紡いで、ふ。と、言葉を切り、]
ベアトリーチェ。
キミはライヒアルトを信じて
カルメンを疑っているのかい?
[短い尋ねをベアトリーチェに向ける。
ナターリエが疑問を口にすれば]
ライヒアルトがカルメンを告発した。
[クロエの言葉は聞こえただろうとそれだけを伝える]
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