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ええ、なら、家に寄ってってください。
まあ、隠しすぎはまずいと思ってたんですが……さすがに、状況が読めなさすぎましてね。
[掠めるのは、苦笑。
それから、投げられた問いにそれを消して]
見極める力を持つと宣した者と、死者の声を聞く者を名乗った人狼が共に倒れた。
ここから推察できるのは、両者が協調関係になかった、という事。
伝承においては大抵、見極める力を持つ者は一人ずつ、とされている所からして、今、残っている者たちの真偽はある程度ははかれますかね。
[ここまで告げた所で駆け寄る気配に、そちらを振り返り]
や……いや、俺は見ていないけど。今さっき、出てきたばっかりだしね。
[息を飲むようにして呼吸を整えてから]
…起きたら、居なくなってた。
書置きは、あったんだけど。
『エーリッヒを視れた』って…。
イレーネの視れる力は、その騒動が終わるまで続くらしいんだ。
昨日の…医者先生が今回の騒動の原因なんだったら、イレーネはもう視れないはずなのに…!
[焦りの色が浮かぶ。
一人にしてはならないと心が警鐘を鳴らす]
俺にはどーしてそうなってるのか…よくわかんないけど…
悲しいことはまだ続くってことなんだね…
そう…昨日はノーラ姉ちゃんで…今日はエーリッヒ兄ちゃん…視てたんだ。
[エーリッヒを疑わなくてよいと言うことはわかったものの。つまりは残りの中に狼がいるということは解り、複雑な表情になる]
[抱き寄せて背中をなでられれば、イレーネが微かに震えているのをを感じる。
何もいわずに、しばらくぎゅっと抱きつき返していたが。
少しだけしっかりした声をだし、イレーネに向かって話しかける]
イレーネ姉ちゃん…これ、みんなに言わないと。
終わってないのなら、終わらせないと、いけないから。
[また悲しい事は起こるのだろう。そんな予感を感じながらも、イレーネを軽く抱きしめた]
それから、逃げないことじゃない?
[つくられた表情は楽しげに、されど眼の色は戻らない。
己は如何なのだろう、と思う。
この選択に後悔などしていない――筈だけれど。
ふ、と。
耳許に、手を遣る。
何処かに、其処に在った筈のものを、感じた。
*溶け込むようにして、其の姿は、何処かへと消える*]
[エーリッヒの説明に、オトフリートが(皮肉なことに)死ぬ直前に、自分もブリジットと同じ力を持っていると宣言していたことを思い出した。色々ある中で、すっかり忘れていた。]
ということは、ブリジットさんは信じることができそうですね。
ブリジットさんも人狼なんだったら、わざわざ先生が対抗するように名乗る理由がありません。
イレーネさんのことは、……そうですね。
可能性は低い、ですものね。
[低い可能性。
アーベルは人間だと言っていた。
でも狼の味方をしている可能性は高い。
狼が誰なのかは判らない、しかし……。そうか。
考えたところで、ユリアンの声が耳に入る。]
終わって、ない。
[そうか。]
[駆けて来たユリアンの言葉に、緩く首を傾げる。
自分を視た、というのは少し意外で、同時に僅かに身構えもするのだが、それは出さず]
村からは出れんし……今、行けそうなのは、宿くらいじゃないのか?
[主たちはいないけれど、と呟いて]
……ああ、彼女はね。
あの態度というか物言いのお陰で、さっぱりと読めんのがなんなんだが。
[ユーディットの言葉には、一つ頷く]
[わかんない、と言ったティルに、ほんの僅か微笑んだ。]
…私にも、分かんない。
この力は、父さんから受け継いだけど…昔から伝わってるもの、としか聞いてないし。どうしてこんな風な力なのか、なんて。
…うん、続く。続くと、思う。
[終わらせないと、というティルには、こくりと小さく、はっきりと頷いて。]
そうだね、終わらせないと。
[これからどれだけ血が流れるかは分からないが。
それだけは心からの願い。
複雑な表情のティルを撫で続けていたら、逆に励まされるように抱きしめられた。
ミリィの時と同じように、温かいと、思った。]
ティル…ありがとう。
…よかった、ここにティルだけでも居てくれて。
[誰も居なかったら本当に無駄足であった。]
アイツ、一回襲われかけてるんだ…。
一人になんかしたら…!
[うろたえた様子で言葉を紡ぐ。
宿、と聞けば焦る表情に狼狽も乗せて]
…現場には行かないと思ったけど、そうだな。
居るかも、知れない。
[最初に可能性を排除した宿屋へ向かおうと思い立つ]
もし終わっていないなら。
ぐずぐずしては、いられないですよね。
[エーリッヒに向け、問う。]
確かに、イレーネさんは読めません。
でも、可能性が低いなら、そこから当たるべきじゃありませんか。
[ユーディットの問いに逆に驚いたような表情になり]
…自衛団から聞いてないのか?
……娼館の、イレーネの部屋で、娼婦が一人殺されたんだ。
獣の爪痕をいくつもつけられて。
あの時、イレーネは別のところに居たから助かったんだけど…。
その娼婦が、イレーネと間違って襲われたかもしれないんだ。
……襲われかけてる?
[うろたえながらの言葉に不思議そうな声を上げる。
娼館で死者が出た、という話は聞いていなかったから]
ああ、そうだな。
終わっていないなら……終わらせないと。
[ユーディットの言葉に、一つ頷いた。
それが自身が父から受け継いだ役割でもあるから、と。
それは、口にはせぬままに]
……ん。
とりあえず、当たってみるべきかも知れんな。
イレーネとは、ちゃんと話す機会も少なかったし。
いえ、初耳です。
ミリィさんと、ノーラと、エルザさんのことは聞きましたけど。
[ユリアンに首を振ってみせる。
説明を考え込むように、顎に指をつけて聞き。]
……うん、なるほど。でも、
人狼は私たちの中にいるのでしょう?
この、よく見知った者同士の中に。
もしそうならば。
誰かを間違えて襲ったりしますか?
…見知ってるからって、間違えない保証なんてどこにある?
普段生活してたって間違えることは多々あるじゃないか。
[ユーディットが何を言いたいのか意図が分からず、訝しげな表情で見やり、首を傾げる]
[ユリアンの説明と、ユーディットの疑問。
それらを聞きつつ、腕を組んで思案を巡らせる。
娼館での襲撃が何を意味するのか。
考えられる可能性は、幾つかあり]
……警告……あるいは。
何かの、偽装。
[ぽつり、呟く。
イレーネが本当に見極めるものであるならば、それを知った上での警告はあり得るだろう。
そして、彼女が囁きに繋がるものであるならば。
襲われかけた、と見せる事で関わりはない、と思わせようとした可能性も捨てきれず]
……ま、なんにしても。
道端で推論ぶつけあってても仕方ないし、落ち着いた所で話をした方がいいんじゃないか?
[ぐるり、場にいる面々を見回しつつ、提案する。
左の腕は相変わらず、*疼くような熱を帯びていた*]
[僅かながら微笑むイレーネの言葉に]
そっか…姉ちゃんもわからないんだ。不思議だね…
[イレーネがこくりと頷く姿に、『ありがとう』の声に、強張っていた顔が少しずつ緩む]
姉ちゃん…俺の方こそ、ありがとう。
[大きな丸い目がゆっくり細まり、僅かな微笑みが浮かんだ]
落ち込んでる場合じゃないんだよね。終わらせないと。
[一度笑えれば、あとは空元気でも、それなりの表情を浮かべられる]
これからどうしよう…みんなに知らせないといけないんだろうけど、みんなどこにいるんだろ…探しに行くかぁ…
[イレーネに向かい、そっと手を差し出す]
一緒に行く?
確かにそうですが、でもイレーネさんがもし視る者なのだとしたら。
人狼にとっては、「ちょっと間違えて他の人襲っちゃった」じゃ済まないと思いますよ?
普段の生活で間違えるならともかくとして、ね。
もっと注意深くやる筈でしょう。
[エーリッヒの「警告」という呟きには首を傾げた。]
悠長に警告出してるぐらいなら、私が人狼だったらイレーネさん自身を襲撃します。
村が封鎖されてるこの状況じゃ、次どうなるかわかりませんし。
[肩を竦めてみせた。]
ともかく、私もイレーネさんに聞きたいことがあります。
一緒に探しませんか。
偽装って…。
何で、偽装する必要があるんだ?
[エーリッヒが漏らした言葉に疑問を投げかける]
イレーネは見極める力があるんだ。
人狼に襲われる可能性は高い。
警告ならともかく、何で偽装する必要なんか…。
[分からないと言うような表情を向ける。
もう一人視る力を持つ者が居たのを未だ知らぬために。
落ち着いた場所で話し合おう、と告げるエーリッヒの言葉を聞いて]
…それじゃ、宿屋に行って良いか?
イレーネが、居るかもしれない。
[他の者にもそう訊ねかけた]
そんなの、俺には分からねぇよ。
襲われたってのも、その場で見たわけじゃないし。
襲った人狼にしか、そんなこと分からない。
[やはりユーディットの意図は読み取れず。
訝しげな視線ばかりが向かう。
元より人との交流が少ないのも、読み取れない原因となっていたか。
イレーネを探す、との言葉には、素直に頷く。
今一番心配なのは、イレーネの安否]
[訝しげな表情を向けるユリアンに、真っ直ぐに視線を向ける。]
ええ、実際どうなのかは私もわかりません。
でも……何だかおかしい、と、思うんです。
それは、考えるヒントになるでしょう?
そして考えたことは確かめに行かないと。
私には何も視えませんから。
それじゃ行きましょうか。
[言って、共に宿屋へと*歩き出す。*]
[徐々に穏やかさを取り戻すティルに、微かに笑んで。
終わらせないとというティルに、こくと頷く。]
そう、だね。
何処なんだろう。みんな、家なのかな…?
[エーリッヒらとブリジットには生家がある。
そこから出てはいないんだろうかと思いながら。
どこかまだ、何時もとは違い力ない表情を浮かべるティルから、差し出された手を、ぎゅっと握って。]
…うん、行こうか。
[そう、どこか嬉しそうに微笑んだ。
震えは段々と、収まっていた*ようだった。*]
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