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花が散った?
そんなことは関係ない、ゲルダを誰にも殺させはしない。
[ウェンデルに怒鳴って返す]
やるっていうなら…、
ウェンデル…お前を殺す。
[静かに告げる言葉は真意のこもった言葉]
何を、馬鹿なことを。
[ゲルダの問いかけにくつりと笑いを漏らす]
俺が人狼だとしたら、どうしてベアタを殺した?
婆ちゃんが言ってただろう。
「人狼は人狼を殺さない」と。
……偶像、か。
[呟いて、手を伸ばすのは、胸元。
そこにあったものは、今は家主の下だったか、と。
ふと、そんな事を考えて]
縋りつく想いが強ければ強いほど、見失ったときは苦しくなる。
それに、対の喪失による衝撃が響いた、か……。
[零れるのは、嘆息]
……これすらも。
試練、などと称するのだろうな……。
[差し伸べられたライヒアルトの指にじゃれつくようにふわりふわりと舞っていた光のうち、青の光が、すい、と厨房へと飛んでいく]
………
[光は、薄く瞬きながら、ウェンデルの周りを飛び回る。何も言わず、何も出来ず。それは生きて肉体を持っていた時の子供の有り様と、さして代わりはなかった]
まだ、人を殺させるのか。
お前は証を持つ「人間」だろう。
[光を失った昏い瞳。
全ての拒絶に、声は届かないと気付きながらも]
それでも、それでも俺は。
俺も、ゲルダを殺させるわけにはいかないんだ。
[背後の声。微妙に位置をずらす。
ウェンデルにはマテウスが動ける。
怒鳴った声、今はまだ信じてもいいはずだ]
[エーリッヒの気遣う声に、小さく頷き。
ポケットから聖銀とナイフを取り出したその手で、差し出された手を取った]
来てくれて、ありがとう。
でも、覚悟を決められなかったあたしも悪いから。
[ふ、と息を吐いて立ち上がる]
ヨハナ様は、自分で探した証拠でなければ、とも言ってたから。
あたしには、その言葉は証拠にならない。
…っ、
[静かな宣言。
眼に色濃く宿る、怯え]
そんなことを言ったって、…じゃぁ、どうするんだ。
彼女が、人狼だったら。
殺さなきゃ、死ぬんだ……っ
[理屈ではない。
使命感とも異なる。
ただ、根深い、死への恐怖]
[じっとウェンデルを見据えながら]
ウェンデルは生きたいのか?
殺して、自分だけは生きたい、そう思うのか?
お前は人狼が殺したいのか?それともただ生きたいだけに誰をも殺すのか?
[告げる言葉は冷たくウェンデルに隙なく近づいていく]
「違うよ」
[ライヒアルトの呟きに、ふわと赤の光が少女の姿を薄く浮かび上がらせた]
「あの子の対は、わたしだから」
[青い光に付き従おうとはせずに、少女は見つめる]
「あの子は、ウェンデルを心配しているの。きっと」
[ぱちん。
折り畳みナイフの刃を出して、聖銀とともに構える]
…マテウス兄さん。
あたしを理由にしないで。
ウェンデルは、そうじゃないんだし。
[ナイフを手に向かうのは、真紅の瞳を持つその人]
…終わらせたいんです。
[握った聖銀に宿るような、強固な意思を翠玉が映す]
…そうか。
殺したければ殺せば良い。
だがそれで終わらなかったらお前はどうする?
聖痕を持つウェンデル。
イヴァンにより人と判じられたエーリッヒ。
お前以外で唯一、身の証明を持ち合わせていないマテウス。
お前は選べるのか?
[浮かべていた笑みは消えた]
[真面目な表情でゲルダに問いかける]
――…僕は、 死にたく、ない
[動けない。
視線から逃れるように、硬く目を瞑る。
痛みも熱もわからない。
生への執着。
生きて、どうしようというのか。
他者の事も後の事も、今のウェンデルの思考にはない]
そうか。
そう言えば、そう言っていたな。
[浮かび上がる少女の言葉に、小さく呟く]
……ウェンデルが心配、か。
その気持ちは、わからんでもない。
……どうにもできんとわかっていても。
歯がゆい、な。
[ゲルダの言葉に歩みを止めて、
ウェンデルに向けた注意はそのままにゼルギウスのほうをに視線をやり]
ゼルギウスも、ゲルダに、手をあげようっていうのか?
[ゼルギウスに向けるその目は冷たいものだった]
「あの子はね」
[問わず語りに、少女は語る]
「ベアトリーチェも、ヨハナも、ゼルギウスも好きだった。優しくしてくれたから」
[ゆらゆらと赤い光に戻りながら]
「でも……止められなかったの……」
[弾かれるかもしれない。
止められるかもしれない。
それでも兄とウェンデルがこちらを向いて争いを止めてくれれば良い、と思った。
理屈より先に、身体が動いて。
真面目な顔の問い掛けに、ナイフを突き出しながら]
うん。
選んであるよ。
[崖から落ちた、両親二人。
あの時はどちらも選べなくて。
両方に手を差し出して、そして両方を喪った]
あたしは、もう決めた。
何言ってるんだマテウス。
俺の方が手をあげられようとしてるってのに。
[マテウスの声に肩を竦めた]
[緊張感をものともしない、とても軽いもの]
……ああ、そう。
マテウスは俺じゃなくゲルダを選ぶって言うのか。
そうか。
俺が裏切らなければ裏切らないって言ったのは 嘘だったんだな。
[向けられる冷たい視線に真紅が細まり]
[鈍い光を放った]
……慕うものたちが傷つくのを止められず。
更に、内、一人を、手にかけ……か。
[あの狂乱はそれ故か、と思いつつ]
そして、その記憶すら、残らない……。
酷な話だな。
あの子にとっても……見守るだけの、お前にとっても。
[呟きつつ。
赤の光に戻る少女に、再び撫でるよに手を触れて]
いや、うそじゃないさ。
先に裏切ったのはお前のほうだ。
だってお前、ベアトリーチェを、殺したんだろう?
[ゼルギウスに冷たく言い放つ]
嘘というなら裏切るようなことをしてないといったゼルギウスのほうだな。
ゲルダ。
[少しばかり悲しそうに、けれど直接止めることはせず。
否、止めることが出来ずに。
ただその隣に立ち、三度右手に銀刃を握った]
ウェンデル。死にたくないのなら。
自分の身だけを護っていてくれ。
[マテウスの意識がこちらにも向いたのに気付き。
ウェンデルにそう声を投げた。
それも意味が無いかもしれないと、そう思っていても。
自分の中にも優先順位が既に確立していたから]
[ゼルギウスの問いかけは正しい。
ゲルダはこれから味わうだろう。苦しみを。
でもゲルダは一人じゃない。
だからきっと、大丈夫だとは言わないけれど。]
それでも、折れてしまう事はきっと。
[すい、と懐から抜く二振りの短剣]
[それを左右の手に持ち]
だったら、絶望に彩られると良い。
今それを選ばぬが故にどちらも失う絶望を!
[ゲルダの答えにそう声を張り上げ]
[麻痺毒の塗られた右の短剣をエーリッヒへと投げ付ける]
[掠ったとしても死には至らないが、身体が痺れ動きが鈍るだろうか]
ベアタを殺した?
ああそうだな。
それがどうしてお前に関係ある!
[マテウスの冷たい言葉に叫びながら]
[致死毒の塗られた左の短剣をマテウスへと繰り出す]
[マテウスからして見れば、その動きは素人のそれにしか見えないことだろう]
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