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―西殿食堂―
[羽搏きのような何かが混ざり、声は再び遠ざかる。
けれど最後に感じたのはここよりも深い、濃い闇に包まれた場所]
…下っ!?
[弾かれるように立ち上がった。椅子が倒れ、派手な音が鳴る]
─西殿・食堂─
[風の力を使わず、気配と足音を消す。
ここらは、人間界での何でも屋稼業で身についていた。
扉に近づいた所で響く、エルザの声と椅子の倒れる音]
下?
[呟きながらも、意識は扉に集中]
―地下―
[戻ってきた蝙蝠は、闇に溶け込み。
それらは幾つかの礫になる。]
[腕にまとわりつく闇は、布になり。]
[暗い翠の目は、扉を見据える。]
< 仄かな光をともした瞳と、深い闇を象った瞳が天を視る。
此処が昏いのか世界が暗いのか、水面の向こうに在るのは黒の輪郭ばかり。
どれもが同じ色なのに、どれもが違っているように思えた。
届きそうな距離に、近しいものがあるような気がした。
それが、己が属を有した剣――今は腕輪であると、理解していたか否か。
求めるように、感覚の無い手を伸ばした >
─回想 西殿・食堂─
[エルザとティルから粗方の情報を聞き、ギュンターの下へ行くと言うティルをそのまま見送る。未だここから動くには痛覚の増大が影響し、難しいところがあった。
同じく残ると言うエルザに視線を向ける。言葉をかけぬそれに返ってきた沈黙には心中で溜息をついた]
[剣を取り返す。そうは言っても今の体調は万全ではない。無意識の中で意識の奥底に張り付いた言霊は砕いたが、増強された痛みによる影響は未だ消えず。回復までにしばらくの時間を有する。
エルザと共に食堂内でしばしの休息。ティルが戻ってきたのはどれほど経った後だったか。再び得られた情報を聞き、己の中で整理する]
…やはりやるべきことは限られて居るかの。
剣を探し取り返す、結界の安全な解除を試みる。
事態を打破するは、この辺りか。
[誰に向けたでも無い呟きが漏れ落ちた。その後、ふらつく足でまた探索に出ようとするティルを引き止め半ば強引に休憩させる。己も同じく再びの休憩を要し、そして今に至る]
─回想終了─
盗み聞きとは、趣味悪いなぁ…うん。
[色々不具合持ちでも、身体能力で遅れを取ることはあんまりない。
クレメンスを取り押さえようとひっつかむ。]
[直後、扉の外で動く気配。
いろんな意味で止まってる理由はない、と思ったから、思いっきり扉を開けた。
ドアは多分、内開き]
……うおりゃっ!
[扉を開けた先にクレメンスを認めたなら、元気いっぱい、伸ばしたロッドを振り下ろす。
……巻き込みの可能性? 考えてない、ない]
─西殿・食堂─
[まどろみに似たそれは立てられた大きな音により途絶える。すぅ、と閉じられていた瞳が開いた]
……何事じゃ。
[視線は立ち上がったエルザと、扉の近くに立つティルへと]
っと…!?
[背中の古傷に触れられて、びくり。
その部分から本来あるはずの一枚目の翼までは魂を失い、腐り落ち死に絶えた骸。
塞がらぬ傷口からこぼれ落ちる命の欠片。
もっと詳しく分かるなら、二対目の翼だけが非常に若いことにも気がつくかも。]
―中庭―
[水鏡を見ていたけれど、大した情報となりそうなものは見えず、溜息を着く。
こちらから向こうに繋がっているのだろうか、と思えば水鏡に向かって雷を飛ばしてみるも、パチパチと水を伝う雷は表面を滑り、空へと霧散する。]
…術?
誰かが…ここから向こうを見る為に?
[腕を組み、空を見上げる。
結界の内側から見える空は、何時もと違うように見えるのは気のせいなのか事実なのか。]
―中庭―
[左の黒腕輪――『神斬剣』から影輝の属が揺らぐのが伝わる]
……あぁ、そこにいたのですか。
[足元へと伸ばされる黒い手に向かい、右の手を差し出す。
いつかの時のように、紳士へも淑女へも思える仕草]
―地下室―
[これが反応するということは、と、剣を見て。
扉へと近付く。]
[あけると、そこには無数の欠片。
ゆるりと手を伸ばし、ふたつの欠片の姿が変ずるのを見る。]
[そのまま戸を閉めた。]
[ふたつの欠片がどんな形になったのか、そしてこの地下室に来るのは誰なのか。
まだ、彼女は知らない**]
あ、ごめん。
[見事に巻き込んだ火炎の竜には軽く言って]
つうか、文句はおっちゃんに!
[早口に言いつつ、引き戻したロッドを再度、クレメンスに向けて横なぎに叩き込む。
高速回復をする相手を押さえるには連続攻撃が一番、という事らしい。
とにかく、こうでもしないと捕まらないから、とか。
結構真剣に思っているようです]
─西殿・食堂─
[どっこいせ、と掛け声をかけて椅子から立ち上がる。扉の先にロッドを振り下ろしたティルを見やりながら足はそちらへと]
[途中攻撃を食らった者のくぐもった声が聞こえた気がした]
―西殿食堂―
[直後にやってくる反動。揺り返しの眩暈をテーブルに手を突くことでどうにかやり過ごす]
はい、今の声は…。
………。
[顔を上げれば扉前は騒動の真っ最中]
< 触れる手。
水が湧き出るように、揺らぐ影は立体へと至る。
まるで青年とそっくりな、しかし、真っ黒な人形のように。
音もなく蠢き、其処から徐々にかたちを変えていく >
[ふぅむ、とひとつ呻いて小さく両手をホールドアップ。]
…ここでは判りません。
別の場所へと行きましょう。
[独り言を呟いて、中庭を後にする。
それからコの字になる建物の端、入り口から建物へと入り、階段へと向ってゆっくり歩く。
ふよふよと浮く欠片はひょいとかがんで避けたりしつつ]
逃がすかっ!
[叫びつつ、逃げる後を追う。
暴風警報発令中。
なんかムキになってるのは気にしちゃいけない。
結局は結界の内外を移動できるクレメンスを抑えておかなくては、剣がどちらも結界外へ出てしまう、という危惧があるからなのだが]
……考えてみれば、終わっていない、ということは、精神を止められてない、ということですわねぃ。
誰が結界内に囚われたか。『力ある剣』がどうなったのかは分からなくても、これだけは確実ですわぁ。
[くぴくぴと。
考えながら、飲み物を飲んでいく]
とは言え。
一人で相対するのは、無理がありますわねぃ……。
誰か、味方は残ってないのかしらぁ。
[最後の一滴まで余さず飲み干すと、空になった入れ物を適当に投げ捨てて、ナターリエが食堂から出て行った]
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