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[さらに広場をうろうろしているうちに、先ほど、言葉を交わした青い髪の青年に再びでくわし]
ああ、ラス。悪いが、荷物運びを手伝ってくれないか?ネロをつれてきたいんだ。
[肯定の答えを貰えば案内をしながら、取って返すだろう]
下手じゃない…?ほほーう。
次から飛んで降りる…って出来たら、そう認めるさ。ま、無理そうだけどなー。
[大人げなく揶揄って、笑う。続く言葉には、一つ頷き]
いいか、あのお嬢さんを口説くなら、治療がつまらなくても自分から楽しい話題を出さなきゃダメだ。
[以下省略で延々と口説き方を教授し始める]
[...の家から、クローディアの場所までは、森を大きく飛行するのが一般的だ。何度か...も配達で飛んだことのあるルートを飛行していて、ふと目の端に何か映った気がして、その場で止まった]
?
気のせい……かな?
[森のはずれ方向に羽の煌きのようなものを見た気がした。それが膝を抱えて丸まってるオーフェンとは気づいていない]
[くううう、とお腹が大きく鳴る]
……あ、もう三日も食べてなかったんだ。
ご飯、摂りにいかなくちゃ。
[ふらっと立ち上がり、ふぁさりと背中に生えた一対のましろな翼を広げる]
……やっぱり気のせいじゃないや。
[木々の隙間にふわりと開いた花弁のような羽を見つけて、大気を泳ぐように...はオーフェンの方へと飛行する]
……っ?!
[飛び立とうと天を仰ぐと、舞う翠光が視界に映る。思わず身を硬くして、近づいてくる翠光の動きを瞬きもせずにじっと見つめている]
[羽の主が飛び立とうと天を仰いだ瞬間、動きが硬直した。どうやら...の姿に驚いたらしい。
ただ、羽の主に驚いたのは、...も一緒だった]
オーフェン?
何でこんなところにいるの? っていうか、御婆様はどうしたの?
[何度かほんの配達をした事のある彼の家の主を思い出して、ふわりと着地しながらオーフェンに小首をかしげた]
[顔見知りとはいえ、人と話すのには慣れていない。話しかけられると体を硬直させたまま、緩慢に口を開き]
婆様は……
[泣き顔になりそうな所を堪えて無表情のまま、つい、と老女の眠っている木の根元を指差す。そこには生前老女が愛用していた杖が墓標代わりに刺さっている。その前には蜜柑が供えられている]
[元々オーフェンは人見知りする。それは何度か本の配達をした...も理解していた。しかし今回の口ごもった様子は、明らかにそういうものとは違う匂いを感じて、動いた指の先を辿り――]
……!
[絶句した反射的に口元を手で覆い、眼が大きく見開かれた。
しかし、少しの間固まってしまった体を動かすと、ゆっくりと彼女が愛用していた杖の前まで歩き、膝をついてゆっくりと祈りの言葉を口にした]
[そして約五分程度その場で丁寧な祈りを捧げ終えると、...は普段と変わらない笑顔をオーフェンに向けた]
うん!
今度、一緒にもっとちゃんとしたお墓作ってあげようか。でないと御婆様の大切な杖とか、すぐに悪くなっちゃうかもしれないし!
ね?
[視線をオーフェンの高さに落として、彼の瞳の奥を覗き込むように再度小首をかしげた]
……婆様……
[老女の墓標の前で祈りの言葉を唱えるリディアの姿を黙って見つめていたが、老女のことが思い出されて、目頭に熱がこみ上げてくる。涙が零れる前に、慌てて質素な服の袖で目を擦ると、リディアの隣へと歩みより、膝を折って老女の冥福を祈る]
[祈りを終えたリディアの言葉に、きょとんとした表情]
お墓……うん。
[深紅の瞳を覗き込むようにリディアの顔が近づくと、少し照れたように頬を染めて、小さく頷いた]
[小さく、それでもはっきりと頷いてくれた事に少し喜びながら、ふと、そこで疑問に思った事を質問してみた]
……そういえば、御婆様はいつお亡くなりになったの? 今日ここにいるってことは、昨日とか?
[リディアの問いには小さく首を横に振って]
みっか……前
[自分の言葉を確かめるように、ゆっくりと告げる。リディアの瞳をちらりと見て、それが自分に注がれているなら、戸惑いと気恥ずかしさから俯く]
え〜っと、みっかまえ?
[思わず片言になりつつ、すらりとした指を口元に当てて考える。
そして、一番疑問に思った部分を聴いてみることにした]
その間、御飯は?
お風呂は?
どこで寝てたの? ちゃんとおうちに帰ったの?
[すでに...の頭からはオーフェンの人見知りはすっかり抜け落ちていた。
おかげでこの矢継ぎ早の質問攻めである]
[突然リディアから降り注ぐ質問にたじろぎ、どこから答えればいいのか戸惑い混乱している]
……っ
[恐怖と即答できないもどかしさから泣きそうな表情になった時、口の代わりにお腹がぐううと音を立てて、最初の質問への返答をした]
[じっとオーフェンを見る瞳がジト目に変化し始めた頃、最初の質問に返答があった。
と、言っても、見事なまでのお腹の音が自己主張してくれただけなのだが、それだけで十分な返事だった。
一瞬の間の後、ニヤリとそれはもう悪魔の笑みという以外に言葉が浮かばないような、見事な微笑を称えながら、目の前の小動物(オーフェン)に手を伸ばした]
さぁ! 行くわよ〜! 私がおいしい御飯作ってあげる! え〜っと、ここからじゃ家に行くよりクローディアのところ行った方が近いかな?
オーフェン飛べる? 体力なかったら私の背中乗っていいよ!
[ある意味、彼にとっては本物の悪魔に近いかもしれない]
えっ……
[目の前でリディアの顔が悪魔のそれへと変貌していくと、薄ら寒さに一歩後ろに下がった。そんな仕草に気づいてか気づかずにか、自分に向かって手を伸ばされる。なぜだか手を振り払うこともできず、なすがままに手を取られる]
た、た……
[食べられるかと思い、助けを呼ぼうとするが、口から出た息は言葉にはならず。続く突然の申し出には、困惑して瞬きをしていた。背中に乗っていいと言われれば、顔を真っ赤に染めて横に振り]
えっと……
自分で、飛べる……から
[かろうじて聞こえる程度の小さな声で答えた。リディアがどこに向かうのであれ、ある程度距離を取ったまま、後ろについて飛んでいくだろう]
大人しく手を取れて、満面の笑みを浮かべると、...は羽を大きく羽ばたかせた]
さ、いくっよー!
[しっかりと手はつないだまま、自分の真横で平行して飛ぶように空へと飛び立つ――]
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