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[ごくり、と唾を呑み込む…それでも声は出なかった。何があったのか(彼の命が既に無いのは見れば判る)マイコはどうしたのか(生きているのだろうとは判る)問うべきことも、かけるべき言葉もあるはずだったが、頭に浮かぶ言葉は、どれもこの場に相応しいとは思えなかった]
………
[漸く共用スペースの隅の電話機の存在に思い至って、受話器に手を伸ばした]
[悲鳴。鉄臭い臭い。]
[警笛が胸に響きはじめる。]
何……?何なの……?
[訳もわからぬまま、彼女は踵を返し学園へと駆け出していた。]
……ケン?
[いないのかな、と、小さく呟く。
日常が壊れかけているのを、察しつつも、それができない状態と言えるだろうか]
ケンー?
[呼びかけつつ、ベッドを覗き込むが、姿はなくて。
暗い室内に響くのは、開け放たれた窓から吹き込む風が、カーテンを揺らす音]
……ベランダ、かな?
[小さく、呟き、ベランダへと向かい]
……ケンー?
[三度、呼びかけて。目に入った色彩に、動きを止める]
何で……桜――?
[訝しげに発しようとしていた言葉が、何か重い音で遮られる。
――どさっ]
友梨?
[先程までそこに居た筈の妹の姿はなく、代わりに黒い――否、あかい線が一筋、手摺りから地面へと伸びていた。
その先に蹲る塊。]
[救急車を呼ぶべきなのか、警察に知らせるべきなのか、迷いながら受話器を耳にあて…その向こうの沈黙に気付く。ボタンを押しても、フックを叩いても反応はない]
[受話器を戻した手は、僅かに震えていた]
……先生を、呼んでくる。
[それは、誰に向けた言葉だったか、ただ絞り出すように、そう言って、サヤカの後を追うように、校舎に向かって駆け出す]
[シン、と。
辺りは、静まり返っていた。
水滴が地を跳ねる音すら、聞こえそうな程に。
木の葉が風に揺れる声で、耳が覆われる程に。
昨晩、桜の周りに人が集っていた事を思うと、
それは異様な事のように感じられた。
空気に味がついているような気がするのは、
…雨上がりだからだろうか。
不意に、言いようのない不安が、胸に去来する。
光が、遠い。
灯は点いているのに。
月は輝いているのに。
星は煌めいているのに。]
[さっきまではなんとも思わなかった制服がやたらと重く感じ、足の裏が痛む。]
[遠く、霞んで見える薄紅に、さらに警笛は強くなり。]
[それでも、足は止めぬまま走り続けた。]
[やがて薄紅があの桜だと気づき。]
……何、で?
……ケン? 何してんだよ?
[幼馴染は、ベランダにいた。
手すりにもたれかかるようにしているその足元には、数個の空き缶。
……どうやって持ち込んだのかは知らないが、酒類であるのは一目瞭然だった]
ちょ、お前何して……っ!
[慌てて駆け寄るが、返事はない。
傍目には、酔いつぶれているだけのようにも見えるが、しかし。
……それだけでは、ない、と。
意識のどこかが冷静に告げていた]
……ケン!
[それを拒むように、名を呼んで、肩に触れた途端──]
[へたりこんだ頭から自分もその色に染まってゆく。
それはまるで、直前に見た人と同じように。
目の前の人と同じように。
全てが緋に染まってゆく]
[マイコに凭れ掛かっているワタルを退けようとするが、マイコがしっかりとワタルを抱きしめているため、離すことができない]
ちょ、何をして……
[その時耳に届いたのは「わたる」「はなさない」という断片的な呟き
その言葉に手を離し、僅かに後ずさる]
あ……。
[目に入ったのは、あか。
鮮烈過ぎる、いろ]
……ケン……?
[もう一度、名を呼ぶ。
答えはなく、倒れた周囲に広がる、同じ色]
……なん……で?
[問うた所で、答えは得られるはずもなく。
その場に座り込むように膝を突き、胸元を深く抉り取られた幼馴染の姿を、呆然と見つめる]
友梨……どうした?
気分でも悪い、のか…?
[鉄錆のような臭いが矢鱈と鼻につく。不快。違和。
だがそれより妹が先と、彼女の横に屈み、身を起こそうと肩に手をかけた。]
[――ぬるり。手が滑って。落ちる。
いつの間にか出来ていた水溜りの水が、洋亮の顔に跳ね返る。]
[桜の木の下に、昨日怒らせてしまった年下の先輩を見つける]
一ノ瀬せ…
[呼びかけようとしたとき、校舎の方から駆けて来る人影が見えた]
あ…あああぁぁ
[声は言葉にならず彼女の目がウミを見る
否、見ているのかいないのか
白く細い指は切りさかれたような服の下に、埋まるよう
ふさぐこともできずに]
うごかないで亘、けがひろがるからぁ…
「おい!天野か!?」
[かけられた声に、人影が知らせに走ろうとしていた、元担任であることに気付いて、再び駆け出す]
先生…!寮で、今…
[人が死んでいる、と告げようとした、その瞬間…]
[寮の方から、駆けて来る人影が見えた。
ほんの少しだけ、
安堵して、そちらへと顔を向ける。
…それが誰かとわかれば、僅か、眉を寄せたが]
…天野。どしたの。
[返す声は低い。
が、その声が途中で止まったのを訝り、同じ方角に視線を送る。
教師のようだった。]
…………。
[声が、出せなくて。
しばし、呆然としていた、けれど]
……ぁ……。
[不意に感じた、違和感。
何かが、近づくような──]
……だめ……だ。
[かすれた、呟き]
寄るな……消えろ!
[鋭い声、それに応ずるように。
駆け抜けた風が、空間を切り裂いた。
近づいていた、違和感も諸共に]
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