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─広場─
……ふう。さすがに、ちぃとは緊迫してるかな。
[舞い降りた広場は、いつもの賑やかさは影を潜めているようにも見えて。
取りあえず、広場に面した仕立て屋へと足を運び、仕事の仕上がり具合を告げる]
……てことで、半分は仕上がったから。
後で、急ぎの分は納めに来るよ。
ああ? ゆっくりでも大丈夫?
……そう、か……ま、あんな話の後じゃ、仕方ないね……。
[これだけは納期を外せない、と力を入れていた物──花嫁衣裳用の生地の納期が延びたと聞いて。
ほんの少し、肩を落としながらも、聖殿へと足を向ける]
[視線を投げた時、エリカの言葉がとどく。
狐はくるり、彼女を見る。]
どうかしたか、エリカ嬢?
[顔をとらえたか否か。
面をかぶった男が、なにを思ったのかも、まわりにはわかるまい。
たのしげな顔と、ことばの色はちがうのだから。]
へへっ、楽勝、楽勝ー。
[ご満悦に、ニカリと笑み聖殿の奥へ進む。
実際は裏手から侵入するさいに足跡をたっぷりと残す失敗をしているのだが]
ん、あれかな?
[飯の盆を運ぶ女性が扉から出てくるのに目を留める]
[ 顎に手を添えて、首を傾ける。]
何の話をされているのやら。
[ 相手の少女の様子を窺う。
顎に添えた手は左目を隠すように顔を覆う。
そして見える右手で相手を確認する。]
…何とも気難しそうな顔をされていますわね。
[ そう言ってからゆっくりと近付こうと身体を浮かせる。]
[聖殿へと向かえば程なく、見慣れた姿が目に入るか。
先に見つけたラウルがぱさり、と翼を羽ばたかせつつ、ぴぃぱた、と鳴いて]
や、兄さん。ローディ、少しは落ち着いた?
[そちらに向かい、軽い口調で声をかけ]
[飛び立つでもなく、翼を風になぶらせながら暫し佇んでいたが、ぴい、と鳴くサエーナ鳥の声に半ば閉じていた目を開いた]
アヤメ…ああ、今は、とにかく中で休ませている。
昨日は世話になった。
[翼を畳み、軽く一礼]
……、
[大きく、ゆっくりと一度、首を振る]
なんでもない。
[声色は僅かに異なるけれど、
上げた顔から表情は薄れていた]
……そろそろ行く、
そちらも、行くところがあったのでは。
[歩みを進めすれ違おうとして、その先に他の姿]
[地面に挿した枝を見て、その影の傾き具合で時間を計る。
時間と肉の様子を交互に見て、言われたとおりに燻製を仕上げれば、言われた所に積み上げる。
全て片付いた頃、もう太陽は白い海へと半分身を隠していた。]
完璧?
[自画自賛の言葉を零しつつ、脇の台に置いたカップからお茶を咽へと流し込んだ。
咽仏が、こくりと音を立てて上下する。]
てっと。
スティーヴさん、まだ出てるかな?
ん、まあ、かなり参ってたみたいだしねぇ。
[休ませている、との言葉に、軽く聖殿の方を見やり]
別に、大した事はしちゃいないさね。
だから、そんなに畏まらなくても。
[一礼する様子に、苦笑しつつ]
……んで、兄さんは兄さんで、ちゃんと休んだのかい?
言っただろう? ――退屈凌ぎだと。
行くのなら止めることはないがな。
[それから、狐はロザリーを見て、挨拶を口にした]
こんにちは、ロザリンド。
―広場・聖殿前―
[アヤメの言葉に頷く]
ああ、口では平気だと言うから始末に負えない。
[声には僅か、苦笑の色が混じったか]
私は大丈夫だ。
[自分のことを言われれば、前と同じ言葉を同じ口調で返す]
あはは…よく寝た〜♪
[エリカと別れたまま放流すること幾時か。本当に寝て、結局川辺に打ち上げられていた。体が芯から冷えている。感覚が薄い。水から完全にあがり、日の当たるとこにいく。]
寒いな〜冷たいな〜あはは
[現在どこにいるかなどわかっていない。それよりも背中から、綺麗に残った真紅の翼と、とこどろころかけた赤褐色の翼を二枚出して、体をくるむようにして、ごろごろと草むらに転がった]
[ 浮かせた身体を降ろしたころに、少女がこちらを見ていることに気付いた。]
こんにちは、ケイジ様。
こんなところで逢引でしたか?お邪魔して申し訳ありませんわ。
[ そう冗談めかしてケイジへと言葉を投げる。]
えぇ…っと。この島の方かしら?
[ 少女の顔にはやはり覚えはない。]
[あたりにスティーヴの姿が無いのを確認すると、岩場に腰をおろした。
膝を開いて肘をつき、両頬を包むようにして顎をつき、呆と景色を眺める。]
何も、変わってるように見えないんだけど、ねぇ…。
虚…ねぇ…。
[その背には、薄金の幅広い羽根がゆらと風に揺れる。
後ろでひとつに縛った竜胆色の髪が、羽根に重なり流れた。]
[家に来る事になったオーフェンを自宅に案内した...は、そのまま彼を残して夕飯の買い物に出かけた。
小脇にスケッチブックを持ちながら、ふわふわと空の散歩がてらゆっくりと風を頬に受ける]
あ〜、たまには空の上でスケッチもいいよね!
[誰に言うでもなく、風に身を任せて――]
ええと、そこのお嬢さん、ローデ…巫女姫さんのお部屋はこちらで良いのかな?
[ただ相談事に来た無害な村人の様相で、盆を持つ女性に声を掛ける。
けれど、彼女は叫び声を上げた。それも、当然といえば当然だが。
巫女が休息を命じられている間に、この辺りに一般人が通される筈は無いのだから。
かくして、叫び声に集まった護衛の方々にひっ捕らえられ、ぽい、と聖殿の外へと放り出された]
い、痛たた…っ。もう少し、丁寧に扱ってくれよ!
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