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― 一階・廊下→広間―
[神学校の、という言葉には、僅かに苦笑するのみに止めた。
あまり深く突っ込むのもどうか、というか、突っ込んでも意味がないような気もしたから]
そうですね。
それじゃ、そちらはお願いしますよ。
[問いに頷きながら広間の扉を開け、中へ]
あ。
……おはよう、ございます。
[挨拶を忘れていたと、少年は恥じ入り小さな声で言う]
ぁあ、グラス……怪我は……?
あと、箒と、
…あれ、でも、さっきの声は。
[怪我の心配に片付けに、移ろう思考は最終的にひとつの疑問に落ち着いた]
―→台所付近―
[こちらが亡くなった元鉱夫の事を思い出すと顔が青くなって、顔を振った。生前の姿は赤にかき消されて、今はまだよく思い出せない。
フォルカーに人里に来ないと指摘されれば、ああそれもそうかと頷きなおした。「フォルカーは賢いな」と言いながら、水をいれた桶を持ち、台所までたどり着くとそこには、ヘルムートと最後の来訪者がそこに居た。挨拶されてこちらもひらと片手をあげて。]
おはようヘルムートさんと…ええと悪い、まだ名前聞いてなかったが、ハシェ殿?
[フォルカーが呼ぶのを聞きそう口にしながら、とりあえず桶の水を水瓶へ移した。]
はっ、
す、すみません!取り乱しました!
[顔を真っ赤に染めた。感極まって少しトリップしていたらしい。
言われた言葉にこくこくと頷くと立ち上がりもう一つのグラスにいれていた水を見る。
その時漸く戻ってきたフォルカーに気付いた。]
手当て? あ、お気になさらず!かすり傷ですし、すぐに血はとまります!
ですが、ええと…水場はどこでしょう?
外ですか?
―回想・自室―
[ウェンデルに最後かけられた言葉を思い出す]
今ある本ね…、
[荷物の中に残っている本は私物でなければ、童話の本が2,3冊]
まぁ、今度でいいだろうな。
[そのままベッドに転がり、目を閉じた。
脳裏に浮かぶのは先ほどの話]
人狼ねぇ……。
[微妙に感じる違和感は、その言葉のせいだろうか?そんなことを考えたり。
気づけばそのまま眠りに落ちていた]
[死人の話題にダーヴィッドの顔色が変わったのは見えたが、フォルカーは何も言えなかった。
今は目の前の事態が頭の中を占めている]
……ぁ、はい。
すぐそこに、井戸が。
……………ついでに、お顔を洗ってこられると、
[いいかもしれません、という続きは俯いて。
ウェンデルの顔を、正視出来なかった]
―自室―
[暫くして、どれくらいの時間がたっただろうか?
目を覚まし窓の外を見るといくらか明るく見える]
さすがに、起きるか。
[頭を掻きながら目を覚ます。
気分はあまりよくなかった。]
手紙…、書くの忘れるとこだったな。
[机に向かうと、紙にペンを走らせた]
申し遅れました。僕はウェンデル・ハシェと申します。
[フォルカーの後ろからやって来た人は昨夜倒れた人だと認識している。心配そうな顔をしたが、水の移る様子に安心して笑う]
お元気そうですね。
えぇと、顔を洗って手を洗ったら片付けます。大丈夫です。
[フォルカーの説明を頷いて聞く。年より幼い様子だが、本人はまったく気にしない]
ありがとうございます。ちょっと行ってきますね。
――?顔も洗いますけど。やっぱり何かついてます?
あたしは大丈夫だが…
…そんなコト言ったって、傷口から黴菌が入ったら大変だろ。
嗚呼、井戸は外だ。
[フォルカーに言って、少年にはやや眉を顰めつつ言った。
神認定は取り敢えず置いておくらしい]
そうだな。
細かい破片もあるし、掃いた方がいいか。
嗚呼、踏まないようにな。
[立ち上がるついでに、フォルカーやダーヴィッドにそう言った。
続く問いには肩を竦めて横に首を振るのみだ]
わかった。
[頷き返して、広間へと足を踏み入れる。
流石に冷えていた。
暖炉の前に無造作に足を運び、懐のマッチ――流石に準備くらいはしている――を擦り、放り投げた]
―自室→玄関―
[薄い封筒に入れられた手紙が二通。
宛先は一つは孤児院に、もう一つはどこかの町の弁護士にあてたものだった。
封筒を手にして階段を下りると、玄関前に自衛団員が見張りに立っていた]
寒い中ご苦労だな。手紙出しておいてくれ。
外に出られないんだからそれくらいやってくれよ。
[薄い封筒を二通、宛先の為か警戒の色を見せられ。
中身を確認したいと言われた]
ふざけるなよプライベートまで干渉する気か?
監禁の次は覗きか、いい趣味してるな。
[起きたときから、どこか気分よくなかったせいもあるだろう。
言葉は棘のあるものに。向こうも寒い中の見張りでイラついていたのかもしれない。
返された言葉はこちらを罵倒するもの、奴隷商人のくせにと言われて完全に頭にきた]
………、ここに、
[ウェンデルの疑問に、少年は自分の左頬を指し示す]
痕が。
……眠るときはベッドで、になさって下さい、ね。
[黙っていたことに申し訳なさそうになりながら、小さく言った。
己の疑問の答えは得られなかったが、強いて突き止めようとはせず]
掃除用具、外でしたっけ、中でしたっけ……
[薪小屋のほうだろうかと首を捻るが、思い出せない。
破片を避けるため、廊下への扉は使わずに広間へと赴いた]
─広間→台所─
[広間に入り、暖炉の方はライヒアルトに任せて、妙に賑やかな台所へと顔を出す。
猫は、冷えた空気を感じたのか、暖炉の前に素早く陣取った]
……て、大分賑やかなようだが。
何か、あったのか?
[場にいる面々を見回し、問いかける。
視線は、昔馴染みに向いていたやも**]
[その言葉を吐いた自衛団員の胸元に掴みかかり、壁に押さえつける。
懐から取り出したナイフを突きつけて]
もう一度言ってみろよ?
俺がなんだって?もう一度言ってみろよ?
[相方らしい自衛団員は下手に手出しが出来ず、少し距離を置いたところで落ち着けよと声をかけてくる]
ふざけるなよ、お前達は気楽だよな?
俺達が殺しあって死ぬのでも見学してたいのか?
[今ここで彼に言っても、なんにもならないことはわかっていた。
それでも今は抑えられなかった。
押さえつけられた団員は、少し息苦しそうにしながらも視線をそらした。
答えられる言葉なんてあるはずもないから。
声は大きかったので、広間の方にも届いていたかもしれない。]
俺の目を見て、答えろよっ!
―台所―
ん?ああ、俺は丈夫なのが取り柄だからな。
[他の団員に「唯一の」と頭につけられる取り柄でもあるが。
昨日のあれを見られていた事とかすっかり忘れていて、何故心配されているのかは疑問に思ったものの、名を名乗られると。]
おっとこっちも名乗ってなかったな。
俺はダーヴィッド=シュヴァイガート。自衛団員だ。
[井戸の場所は説明されているようなので、特には言わずに見送る事に。
足元にちらばった破片をヘルムートに指摘されれば、注意しながら歩いて。]
ああ、掃除用具なら中のを使った方がいい。そっちの方に置いてないか?
[とフォルカーに勝手口扉の陰になっているあたりを指差した。]
[聞いた瞬間、フォルカーの手を追うようにまた手を当てる。
最初は少し気になっていたものの、今では痛みがないから余計に恥ずかしい。
かぁっと、頭のてっぺんまで血が上った]
ぼ、僕はなんて馬鹿な事を――!
あ、ありがとうございます!
[言うなり、台所から外へ走っていく。
井戸の方へ聞いた通りに向かい、――さすがに外だ。声が聞こえた気がして首を傾げた]
―一階:広間―
……ぁ、オトせんせい、
[向かうときには、ちょうど、天文学者とすれ違った。
疑問の解決は少年には上手くはかれず、台所の面々に任せることとした。
ダーヴィッドの声は聞こえていたものの、広間にいる人の姿が目に入り、]
グラーツさん、……おはようございます。
[暖炉の火を起こすライヒアルトに、挨拶した。
傍の黒猫にも同じように。
その声は、玄関からの声に消えそうな程だったが]
─二階・自室─
[読み進めるうちに零れ落ちる涙。ごしごしと目元を擦って日記を閉じた。忘れずに鍵もかける]
───……。
[言葉は出なかった。気になって日記の一番最後、両親が死ぬ前のものを読んだのだが、その最後には祖父と自分に対する謝罪の言葉が連なっていて。それがまた心を締め付けた]
……何か、飲み物貰って来よう。
[少し気分を変えるように呟くと、部屋を出て階下へと向かう]
―広間―
[マッチの火はすぐに大きくなった。
いつの間にか隣に陣取っていた黒猫を眺めていると、玄関の方の怒声に混じって少年の声が耳に届いた]
お早う。
[暖炉の火にあたりながら、口元に薄い笑みを浮かべて]
―台所→玄関―
お、オトフリートさんもおはよう…って今度は何だ?ちょっと行ってくる。
[オトフリートがヘルムートに向けた問いは気になったものの、同僚の声もするものだから気になって玄関の方へ。
たどり着いた先では、グラーツその1が団員にナイフを突きつけているのが見えて、流石に驚いた。]
お、ちょ、グラーツ殿その1何やってるんだ!?
[うっかり心の声が漏れてるが、そんな事気にせず後ろからエーリッヒを羽交い絞め同僚から引き離した。その隙に締められていた団員の方は、もう一人に手をかされて起こされた。]
……説教をお聞きするとき以外で、
ゆっくりお会いするのは…………
はじめて、の気がします。
[閉鎖的な村の人間特有の警戒心を若干孕みながらも、世間話でもしようと開いた口も暖炉に近づこうとした歩みも止まり、壁越しに玄関の方へ目を向けた]
……なにか、あった…………ん、でしょうか。
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