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だって何か、ヘンじゃんか、
なんていうか、………こえぇ。
[また、下がる。
眉を顰めた。]
…そう。
マイマイ―――日月が急に来て、っ、
[下がる足がもつれかけて、あわや踏み留まった。
距離は、近くなる。]
きゃぁ……!
[右手の攻撃に専念したからか、腹を狙うその動きには気付かず。
軽く弾かれてしまう。
ただ右手には手ごたえは伝わっていて、痛みにゆがみながらもどこか笑みが浮かび]
いたいじゃないですかぁ……
本当に、苦手なんですかー?
[バトンを掌と床の間に。すぐに起き上がり、それを真ん中で握る。
左の腕は動かない事も無いが、まだ痺れが残り]
あの不思議な力、つかわないんですか?
[痛みをこらえてか、にこりと笑って尋ねる。いつでも動けるように、気は張っているが]
あー苦手ですよ?
専ら、走って逃げるの専門なんで。
[逃げ足だけは自信ある、と小さく笑う。
と、続く問いに、僅かに眉を寄せた。]
……、あんま使いたくないの。
──それに使ったら、危険なのはそっちだよ、っと!
[下手に操ろうとしたら、暴走するのは目に見えた。
金属の多いこの場所では、尚更危険が付きまとう。
無理矢理に話題を切り上げるように、床を蹴って
一気に間合いを詰める。
僅かに姿勢を低くしながら、相手の腹部に拳を入れ込もうと]
俺は、何時もと同じだよ。
[主観と客観は違うもので、]
……日月さんか。言ってたな。
何か、不思議な力を使ったとか。
――イチ君は、彼の側なのかな。
[踏み留まるのを見ても歩みは止めず。
更に近付いて、]
走って逃げるのって、ウサギみたいー
[くすくすと笑って、次いだ言葉に首を小さく傾けて]
そうなのかなぁ?
[と、間合いが詰められて。
一歩さがると同時、右手で握ったバトンごと、こぶしでその拳をたたきつけようと。
――たとえ金属を握っていても、勢いは殺せないだろうが]
遷ろいて、希い
[磨りガラスで出来た、寮の入り口に背を預けた。
ガラスの帯びた熱が背に広がる。]
戻らぬ命を探せよ。
[首を後ろに倒して、扉に頭を預けた。
日除けの向こうの空を仰ぎ、目を閉じる。]
絶望し
[あちこちで繰り広げられる出来事。
戦いのその音を、心の軋む音を
聴き取り、身を浸すかのように、瞑目する。]
儚き命を散らせよ。
同じじゃ、ねぇって!
[そう返すショウもまた、普段とは違うのだろう。
変わった日常の中で、2人も以前のままではない。
この場から走って逃げたい衝動に駆られるのに、
身体は上手く言う事を聞いてくれなかった。
続く言葉に、自分の失言を悟るけれど、]
側とか、そういうんじゃねぇ。
ただ、…違うって、思うだけだ。
[近づくヨウスケを、見返す]
ウサギ、可愛いじゃん。
[捨てたモンじゃない。ケラと笑いながら、
しかし繰り出されるこぶしに、僅か軌道がズレる。
腹部を掠めて横へと通り抜けた拳に、小さく舌打ちする]
……っ、
[そのまま、腕を引き戻す。
動きを封じて、膝で腹部に一撃を叩き込むつもりで
抜きざまに、相手の服を掴もうと拳を開いた。]
かわいくっても……!
[ぎりぎりでよけられた拳は、開かれ。
ぐっと掴まれる。
その瞬間、――無我夢中で繰り出した。
足を、股間に向けて。]
………ん、なん、
わかんねぇよ、
[いつもと同じようで、違う仕草]
ただ、今のスケさんは、
…おかしい。
[無意識に、仔犬から手を離す。
地に降り立った彼は、鳴き声をあげた]
[ぐ、と。相手の服を捕らえた。その感覚を確かめると、
相手の身体を引き寄せようとして。]
…っ、な、
[ちょ、待て。
無我夢中とは言え、繰り出される攻撃に。
思わず、ギリと掴んでいた拳に力が入る。
パリ、と。僅かにプラズマが指先から放たれて]
ふーん。
[鳴き声をあげる仔犬を一瞥し、]
変わらないって言ってんのに。
…まあ。
如何でも良いか。
[ポケットに、携帯を持ったままだった手を突っ込んだ。
かさりと、何か擦れる音。]
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