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[ユリアンの言葉と、
オトフリートの姿と、
向こうへ行ったミリィの背中を
眉を力いっぱい下げて、順番に見る。]
…――
[無言で眉を下げて
ふる、と一度横に頭を振り。
くるりとワンピースの裾を翻し、走り出そうと踵を返した。]
そんな反応をする、後ろめたさのあるお前が悪い。
[自分の事は棚に上げる大人でした。]
お前はむしろ、見舞いに来られる側じゃないのか?
[手を伸ばす。がっしり、肩を掴もうと]
……ほんとにな。
よりによって……こんな時に、昇らんでもいいだろうに。
[零れ落ちるのは、ため息混じりの言葉。
先に、薬師に向けた言葉と、彼女に投げられた言葉。
それが、ここに来て、重さを増したような気がしていた。
それでも]
とはいえ、『昇った』以上は、成すべき事は成さないと……な。
[逃げられぬ定めであるのは、自身が身を持って知っているから、静かにこう告げて]
それに……お前が『新たな月』であるなら。
今回の件の事で、伝えておかないとならん事もある。
揺れる乙女心よりはうしろめたくありません!
って、肩はだめだめ!
さっきぶつけてたみたいだし!
[けっこう慌てて、一歩下がって、足がぴきーん。]
エルザ?
[踵を返したエルザに気付いて、その姿を目で追う]
・・・・・気をつけろ。
[けれど引き止めはせずに、声だけをかけた]
[オトフリートの言葉に、お手上げのポーズ。]
いんや、オトさんがそう信じてるならそうなんじゃね。
俺の方だって仮定に仮定を重ねたトンデモ理論だし。
それに、過去の司書が云々言い出したところで、結局水掛け論で終始するだろーし、な。
[だが、続く言葉にはスッと目を細め]
……残念ながら自分で目にしたものしか信用できない頭なんで。
[感情を殺した冷たい言葉。]
だっ
[押える。押えた。頑張った]
……れが、揺れる乙女心かね。
そうか、ぶつけていたのか。
痛い思いをするのと苦い味が好きじゃなければ、
大人しく診療所まで来い。
診療所にいっても、痛い思いと苦い味を味わうに違いないと思うんですが、
そこのところ、どーでしょーか?
[あわれっぽさをよそおってみた]
両方ないならいきまーす
リディねえちゃん。大丈夫…?
お薬が苦かったり、染みたりするのは一瞬だけなのだ。
お怪我がいたいほうが、つらいのだよ?
[薬の苦さなどは平気な性質なので簡単に言う]
泳ぎにいってた、の?
[海ルートの脱出するのに挑戦してるんだっけ、
そう尋ねようとして、何故か躊躇われた]
[ミリィ。オトフリート。ユリアンの会話を黙って聞いていた。少しは遠慮していたのもあるが、全部が全部ではない。
単に、片や医師。片や教師であり司書。片やまだこの街で誰も成してない気球作りに挑戦する幼馴染
知識の絶対量から知恵の扱いかたまで差があるのは仕方ない……そもそもの出来が違うんだとかはあまり思いたくないとか]
…ちょっぴり頭痛してきたかも…
あ、だいじょーぶだいじょーぶって……
[ちゃんとベアトリーチェを見て、
おくすり苦いの話には、ちょーっと目をそらした。
ミリィを見るのも、無理だったかわりに、ぼそっと呟く。]
お怪我の方が良いな、なーんて……
ああ、うん。そう。
でもしばらくは無理だね。
ちゃんと治したらまた挑戦!
素直に来ないとひどくなるだけなので選択権はない。
ベアトリーチェのほうが余程、わかっているぞ?
[きっぱり。]
おーい、そこの男ども。
か弱い少女が怪我をしているんで、捕獲するのを手伝ってくれ。
[先程話していた面々の方へ、大きめに声を投げる。
か弱いと言っている割に、獣か何かの扱いだ]
成す、って。
…どうすれば。
[『絵師』の役割以上に。
そもそも絵自体において、大した知識があるわけもなかった。
己は別の道を歩んで来たのだから]
…何?
[続いた言葉に、目線を上に上げた]
ちょ、ミリィせんせー 卑怯者!!
[慌てた。
慌てて逃げようとしても、決して逃げられないのはもうわかってしまう。]
っていうか言ってることが内容矛盾です!
だいたいひどくするって、すとれすかいしょーにしないでください!
[ユリアンの言葉に、額に当てていた手を降ろし、まっすぐにその顔を見つめた]
では、ユリアン。
お前は「外の世界」の存在を、信じるか?
[問いだけを投げて答えは聞かずに、図書館へと歩き出した**]
[裏拳をミリィがオトフリートにした後、ミリィがリディとベアトリーチェのとこに行くのを見たりしていたためエルザの挙動には気づかず]
単純な考えじゃ駄目なんかなぁ。絵を描きたかったけど絵筆がないから持っていったとか…はさすがにねぇだろうけど
絵師って何代もやってきてて…んで、まだ空に登れてないと思うんだが、だから手っ取り早く心を集めて……だとまずいよな。もっと
[自分で言って自分で固まる]
えと、えと、なんだっけ。
りょうやくは くちに にがし なのだ。
また挑戦できるようになる為にも。診療所に行かないと、なのだよ?
[祖母から教わった諺をやや得意げに披露して、
ミリィが男性たち呼ばわるのを聞いていた]
う。
[ベアトリーチェに得意そうにされて、
少女は言葉につまった。しっかりと。]
……ミリィせんせー、ぜったいわざといたくするんだもんー
ストレス解消じゃない。
お前が懲りれば、止めるんだ。
全く、懲りるどころか、私を避けるだけの者ばかりだ。
[腕を組んで、ぶつぶつ文句を言い始めた。
ちなみに、正面を押えないのはベアトリーチェがいるからだ]
そもそもか弱い少女を捕獲ってのがかなりおかしいような…ってエルザ?
[ミリィの言葉に硬直が解けつつ。ユリアンの言葉にエルザのほうをみて]
エルザ。何か。
何かあったらすぐ家に来いよ。まぁ…親父とかも喜ぶしな
[実際はこんな状況で立場の弱いものがどうなるかと思えば心配で言ったのだ]
[オトフリートの言葉が背中にかかるが
そのまま足を踏み出した。]
…いや…――!
[耳を両手でふさぎ、離れようと走りだす。
肩からかけた鞄が腰で跳ね、揺れる。
ユリアンの声が聞こえ、一度振り返るが
そのまま足は駆け出した。]
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