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おかえり、ミリィ。
[ベアトリーチェが眠りにつくなら、妨げることをしない。
ローザと入れ替わるように戻ったミリィに、微笑を向けた。
笑おうとして笑う笑顔だ]
うん…。
[着替えをして来たいし、何よりも暖まりたい。
気を抜けば、先に目にしたギュンターの姿が目にちらつく]
そうだな。…少し、いいか?
[視線は自然と、下にさがった。
年下の幼馴染、ミリィにもエーリッヒやユリアン同様、
妹分のようにしてかつてを過ごした。
他の二人よりも女の子である分だけ、
ミリィとは近しかったとも言っていい。
12年前を境にして、次第に行き来は薄れたけれど、
未だ特別な思いは彼女にもある]
少しだけ……時間が、欲しい。
[俯いたまま、弱みを口にするように打ち明けた。
暖まる時間が、心を整理する時間が欲しかった。
クロエの心は未だ、雪の中で立ち止まって震えている。
それを動かす時間が欲しいと、ミリィには口にした]
…また、あとで戻ってくるから。
[彼女だけには押し付けられない。
そう思うから、約束を同じく唇に乗せた]
─屋敷の裏手─
[井戸で水を汲み、ギュンターの発見された場所に戻る。
赤が散るその場所に水を撒けば雪が溶け赤が薄れてゆく。
別の場所から降り積もる雪を掬い、その場所に掛けるは
血の匂いを薄れさせる為の行動]
――…これで少しは、
[獣を寄せる要素が薄れるだろうか。
最後まで言葉にせぬまま、息を吐く。
置いた長剣を拾い、桶を井戸に戻して勝手口から屋敷の中へ]
[スープは、ビシソワーズ……ジャガイモのスープにした。冷やして飲むことが多いスープだが、温かくても美味しい。とカルメンは思っている。
最初はベーコンと玉ねぎのスープにしようかと思ったのだが、あんなことがあった直後に肉は嫌だと気づき止めた。
一人ではパンまで手が回らないのでビシソワーズとサラダだけ作り、皿をテーブルへと持っていく。]
……どうぞ。
[旅人の前にも、スープをよそった深皿を置く。黙々と食べている様子>>255を見てから、ライヒアルトがテーブルに置いている御伽話の本に視線を向けた。]
確かに……食い荒らされたという雰囲気では、なかったようですけれども。
人狼だなんて、そんな。
[眉をしかめた。そして旅人が自室へと去ってから、ぽつりと言う。]
もし、仮に人狼が存在するとしたら。
それは──外から来た者なんじゃ、ないですか?
[暗い眼差しで、旅人にとってはきっと理不尽だろう疑いを口にした。]
[そして、今は口に出さないものの。胸の内で、思うことがある。
どこで聞いた話だったか。今、人狼の話を聞くまですっかり忘れていたのだが──
それは、人狼の居るところには『人狼への生贄』の役割を持つ者も現れるという話。
だから。
もし、もしも……本当に人狼が居て。昔聞いた話が、真実だったならば。]
― ベアトリーチェの部屋 ―
[無理に作ったものではない、自然な笑みをクロエ>>263が見せてくれれば。こちらもちょっと安心したように微笑みを返して]
いってらっしゃい。
[そう見送った後は、ベッドで休んでいるベアトリーチェのそばについている。
ベアトリーチェは眠っているのか、それとも眠れずにいるか。
もし魘されるような事があれば、なだめるようにぽん、ぽん、と布団の上に手を乗せるだろう。
物心つく以前に実の母を亡くし、男手一つで育てられた娘は。
子守歌や寝る前のおとぎ話をしてもらった覚えがなくそれらを知らないので、ベアトリーチェの安眠のためにそれらを聞かせる事もできない。
それでも、ベアトリーチェのそばで頭を撫でたり、「大丈夫、そばにいるよ」と声をかけたりしながら。
誰かが交代しにくるまでは、ベアトリーチェのそばを離れずにずっとついているつもりでいる**]
[表には出さぬが普段よりも警戒していた男は
クロエの一瞬の身構えに気づかぬ振りをする。
剣を見ての表情に、ふ、と視線を下げて]
――…探してはみたんだが鞘は見つけられなかった。
[ぽつりと呟くような報告が加わる。
対となるものであり、彼女の作品でもあるそれ。
欠けている事を残念に思っていた]
そうか。
彼女も、ショックだったろうね。
[心の傷を癒すのにどれほどの時間が掛かるか知れず
案じるように、小さく、溜息にも似た吐息を零した]
ん、ご相伴にあずかろうかな。
[誘いに応じるはするが向かう先が彼女の部屋とわかれば
扉の前で立ち止まり躊躇する素振りをみせる]
…探してくれたんだ。
[アーベルの言葉に、ふと目の色が和んだ。
嬉しいと、言葉ではなく表情で伝える。
剣は鞘と剣でひとつの作品であるものだから。
共に作り、大事に思うそれを心にかけてくれたのが嬉しかった]
うん。…見てしまったから。
[ベアトリーチェのことは低い声で口にした。
いたましいと心から思う。
何の気なしに自室へと向かおうとし、
躊躇をみせる彼へと不思議そうに振り返った───
…───表情が、僅かに強張った]
[昨日とは状況が違う。
昨日も作業場と同じく構わなかったクロエに対し、
アーベルはその手で扉を閉ざすことをしなかった。
不思議に思って聞いてみて、理由に少し笑ってしまった。
───却って目立つよ。
そう笑いながら、細くドアを開けておいた。
声はだから、部屋の外にも響いただろう。
それを警戒することもなかったのだが]
… 広間の方がいい?
[今日は昨日と事情が違う。
剣を手に持つ彼と二人になることを、厭う気はクロエにはない。
それは明確な、ひとつの理由を伴うものだ。
けれど自分がそうだからと彼もそうだという理由はなく、
それに気がついたクロエの表情は強張った。
同時に、冷たさが胸の奥を浸す気がした。
それでも暗に、他の誰かもいるであろう場を口にして問う。
彼が頷くならば、その求めには応じるつもりで]
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