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―温泉―
[温もりと潤いと。
ふんわりと包まれている感触。
優しい歌声が聞こえる]
ん…。
[まだ重い瞼をゆっくりと開く。
何だか視界が何時もと違うような]
『あれぇ…?』
[ぼんやり。湯気の中]
[藤色の羽竜が瞼を開けたのを見、私は安堵の息を吐く。
途切れる、歌。
黒き鳥は再び高く舞い上がり、黒き猫は籠を覗く]
……お目覚めなりや?
[問う声は、案ずるよに]
『ナタ・リェさん?』
[聞こえた声の方を見ようとして。
先に視界に入ったのは黒猫の姿。
…なんでこんなに大きいのだろう]
『シシィ?』
[思考は纏まらず、疑問は浮かんで消えるだけ]
『おはよう』
[微笑。といっても見た目では分かりにくいのだろうけれど。
聞こえた言葉にそう返して。
未だ夢現]
[藤色が羽竜は、未だ夢現。
鳴くように口を動かす様子に、私は仄かに目元を和ませる]
…なれば、今しばしの眠りを…
[私は途切れた歌を再び口ずさみつ、乾いた白金の衣を身に纏う。
やがて亜麻色の布を肩に掛け、籠に眠りし藤色の影を手に、共に来る者あらば共に広間へと*戻るだろう*]
『…うん…』
[覗き込み手を伸ばしてきた猫にもされるがまま。
流れる歌声に気持ち良さそうに目を瞑った。
籠の中揺られながら、再び夢なき夢の*中へ*]
─廃棄エリア・第一集積所─
[状況を整理するために考え始めて、どのくらい経ったか。いくら経てども繋がれた陽光の精は同じ場所には現れなかった]
どうやら設定ミスだったみてぇだな?
[軽くユーディットへと言葉を向けて。痛みが引いた身体で立ち上がる。特に目的地を定めず、一通り回ってみようと今居る場所から出て行った]
―第一集積所―
…――ふむ、こういう事か。
[数時間を掛けて地下の構造をぐるりと見て廻った後、
見覚えのある開けた場所を目にして、一つ言葉を零す。
どうやら再び、最初に落ちた場所へと舞い戻ってきたらしい。
勿論、巡る途中に強制排除の名目で襲い掛かって来た
ドロイドの幾つかにも遭遇したが、――遠慮無く不能にさせて頂いた。
休憩とばかりに先程スクラップと化した鉄屑一つへと腰掛けると、
ふわ、と。一羽の鴉が肩へと止まる。]
……此処は随分と興味深くも在るが。
聊か、静か過ぎて心地悪いよ。
[小さく、苦笑を零す。――命の声も。魂の声も響くことの無い]
あの幼き仔は、この静かな場所を喜ぶのかな。
「…エテルノ」
――冗談だよ。
[咎める様な声に、溜息混じりに言葉を返して。蒼を僅かに伏せる。
動きを止めた命の無い鉄塊に、さらりと灰銀が流れた。]
…さて。もう暫し休憩したら。
遣るべき事をやろうか。
[折角此処に来たのだからね。囁くように呟いて。
――何かを想う様に、ゆるりと視線を上へ向ける。]
[第一集積所の出入り口から顔を出してきょろきょろり。ドロイドの存在を確認する]
出来るなら、遭遇することなく移動したいんだが。
[ドロイドが居ることはユーディットがちょろりと漏らしていたために知っている。しかし面と向かってぶち当たるのも面倒だなぁと、居ない隙を狙って移動したいらしい]
…力繰りにくいっぽいしな。
[自分が使うのは精霊魔法。風精が居なければろくに力は使えない。ここにはあまり居ないように思える]
――…おや。
疾風の御仁、何処かへ?
[周囲を見回す相手に気付いたのか。
鉄塊の上から小さく喉を鳴らして、その背中に静かに声を掛ける。
ふわりと床へ降り立つと同時に、ふわ、と鴉が空へと離れ]
[声をかけられ、意識をそちらへ]
ああ、ここがどんなもんなのか見てこようか、とね。
ただドロイドに会うのは嫌だなーと。
どうにもここには風精が少ないようなんでね。
< 猫はそれからしばらく、リディとお話をしてから、メンテナンスエリアにむかいました。かの女もいっしょ、だったかしら。 >
―ファクトリーエリア→メンテナンスエリア―
< 中にはいると、まえに、アーベルがいたところ。
そこに、毛布がおちていました。
人の姿の猫は、それを拾って、たたみました。たたんで、元々あった場所におきました。 >
なるほど。風精の声は、確かに少ないね。
…尤も、少ないのは風精だけでは無い様だけれど。
[機鋼の気配に満ちて、声もあまりしない場所だ。
小さく苦笑しながら、相手へと歩み寄る。]
確かに、この場所でドロイドに会うのは拙いだろう。
必要ならば、着いて行くけれど。
[何処へ? とゆるり問い掛け]
機鋼の気配で埋め尽くされてるな。
人や竜、魔、獣の者はともかく、精霊にはちと辛いんじゃないかね。
[今居る場所を見回すように首を巡らし]
風精を使わなくても立ち回れはするんだが…不安は残る。
そうしてもらえると助かるな。
[悪ぃ、と苦笑を漏らし。どこへと訪ねられれば首を傾げる]
特に目的は無いんだが…ま、足の向くままに。
< それから、少し考えて、色々なものを見ました。
本とか、色々ありました。
猫はふらり、もときた方向へ。
でも、やっぱり、ちかづくと痛みました。
ということは、この竜が―― >
―→ファクトリーエリア―
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