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どう致しまして。
これくらいお安いご用さ。
[アメリアの礼にゆると笑みを返した。
朝食の支度に向かうエーリッヒ達を見送ってから
男は荷物を持ち直し昨夜借りた部屋に戻る。
寝台の横に荷物を下ろし、白布を解き山刀を取り出した。
刃に指を這わせこぼれの度合いをとくと確かめて]
――これなら何とか持ってきた道具で直せるか。
[鍛冶場の方が道具が揃っているが戻れぬのだから仕方ない]
─ 広間 ─
[ローザが暖炉の前に運ばれるのを見ながら広間に入る。
屋敷内の全員が集まったらしいところで、エーリッヒの話が始まる。橋が落ちているのを確認したというローザの言葉も聞いて。]
……私は、届け物をしてくるとしか、母に言わなかったので。居ないことには気づかれても、ここに居ることまでは……どうかしら。
……他の方は、どうなんでしょう。
[他の、1人暮らしではない面々を見回して言い。]
橋が落ちていることに、早くどなたか気づいてくださればいいのですが……。
[そしてアーベルが、向こう岸からの手伝いがないと>>251と言っているのを聞いて、少し考え。]
時々、橋まで確認に行った方が良いかもしれませんね……。
向こう岸の方が気づいてくださっても、こちらでも作業をしなければ橋は復旧できませんし……。
寒いですから、ずっと張っている訳にはいきませんけれど。
[向こう岸とこちら側のタイミングが合わなければ、復旧はどんどん遅れるだろう。そう思った。]
朝食は……厨房の方は、手が足りていそうですね。
後で、お皿を洗わせてください。
[そして、橋の様子を見に行こうかというハンスとクロエの話を聞いて。]
私は……もう少し後で、見に行ってみます。
[先程の自分の考えが間違っていなければ、こまめな確認が大事だろうと思い。寒いから気は進まないが、そうも言っていられないし。]
[しばらく家に帰れないことは別段構わなかった。
外面は良いが、家の中ではとても仲の悪い両親を見ずに済むと思えば、不謹慎だけど少し嬉しいくらい。
小さい頃は、あの大きな手で頭を優しく撫でてくれた父だったのに。どうしてああなってしまったのだか……。]
他に、できることはないかしら。
何かあったら、なんでも言ってください……。
[橋の話の際に少しばかり深刻そうな表情はしたが、特に気落ちする様子もなく。
普段と変わらず……むしろ、ちょっと張り切っているようにすら*見えたかもしれない。*]
それじゃ、あとで部屋でいいかな。
手の空いた時間に持っていくから。
[流石に人前で広げるものではない。
その上、話だせば他人など気にならなくなるに決まっている。
個室でやるのが無難というものであった。
異性の部屋だと気兼ねする風は、ない]
…笑われるかなあ……。
[出てきたのは結局、良く知れた御伽噺と。
…いや、きっとアーベルなら笑わずに聞いてくれるだろう。
そこまでを思い、少し苦笑してオムレツを返す。
返した面は少し焦げがついていて、クロエは更に息を*落とした*]
― 厨房 ―
肉は全部使っていいから。
[緊急事態には物惜しみしないことにしている。
水汲み桶を持ち上げながら料理を始める人達に伝えた]
教会、また届ける。
干し肉なら戻れば増える。
[分ける約束していたライに伝えて外に出た。
井戸から水を汲み上げて、厨房の水瓶をいっぱいにした後で、運びやすい小さな桶にも一杯汲んだ]
うぅんと…?
[ライヒアルトの言葉>>239に、一度首を傾げたものの。
簡単な説明がなされると、]
あ、それお祖父ちゃんに聞いた事あるよ!
あんまりしてくれなかったけど。
[ほんの少し、祖父を恨めしい目で見た後。
蒼と朱の花の聖痕を持つ――人々を導く役割を持つ者。
それを聞いて眼を瞬かせた。]
その人たち、お祖父ちゃんは牙の主に食べられちゃう“いけにえ”って言ってたけど……。
[どちらが正しいのだろう。
少女は分からなくて柳眉を寄せながら、首を傾げた。]
[雪嵐というと、やはり12年前が思い出された。
何があったか仔細を教えてもらえる年齢ではなかったが、祖父が珍しくギュン爺と話し込んで、この屋敷にも何度か泊まったことは覚えている。
それからエリは叔父夫婦に引き取られ都会に行くのだと聞いて、父から貰った財布を餞別代りに渡そうともした。
あれは、自分はもうこの村で一生を過ごすのだという決意の表れだった]
………。
[代わりに自分の弓を作った。
クロやミリ達と遊ぶ時間がなくなったのは残念だったが、彼女達も忙しくなる頃だったので、そんなものだと納得していた。
子供から大人に変わる一歩目。12年前は自分にとってそんな時期だった。
鏃はアベに頼むが、弓は今でも自分で作る。狩人はそうするものだと祖父は教えてくれた]
─ 広間 ─
[アベルさんに運ばれて身体がふわふわ浮くんは、夢ん中で別のもんに変わっとった]
[身体の浮遊感は残っとる。
けど、その周囲にあるんは、水。
浮遊感を生んどった水は一気に枷んなって、うちは夢ん中で水ん中に沈んでもうた。
もがいても浮かばんくて、どんどん息が苦しくなってく。
そこまではちっさい時ん記憶そんままやったんやけど、そっから先がちょい違った。
歪む視界に映る、黒い影。
それが何なんかははっきりせぇへん。
確認しようとすんねけど、歪んだ視界がはっきりすることはあらへんかった。
そんうち息苦しさがもっと増して、夢ん中で意識飛ばしてもうてん]
[夢見とる間、うちは眉根寄せてずっと魘されとった。
水ん中の夢やったから、唸るだけで声にはならへん]
───────ッァ!!
[夢ん中で意識飛ばした直後、うちは引き攣るみたいに息して目ぇ覚ました。
ソファーで横んなったまま、天井見上げて浅い呼吸繰り返してん。
顔も身体も、冷や汗でびっしょりになっとった]
…ハッ……ハッ……ッ………。
は………ぁれ…うち……。
[一瞬、どこにおんのか解らんかった。
やけど、傍にミリィおったから何がどうなっとったか思い出せた。
魘されとったから、ミリィ心配させたかもしれへん]
…ぁぁ…ミリィ、おおきに。
ちょい、夢見、悪ぅて。
[看病してくれてたんは解ったさかい、ぎこちなく笑ろて礼をゆぅた。
大きく深呼吸して、一旦目ぇ閉じる]
あー……嫌やなぁ。
溺れた時ん夢見てもうた。
[右腕持ち上げて目元隠した。
口元は笑ろてたけど、泣きそうやったんよ。
浮かんだ涙は袖で拭ってもうた]
[目ぇ覚めたんは朝食出来る頃やったやろか。
それなりの時間寝とったんやろけど、逆に疲れた気ぃする。
夢んせいやろな…]
― 広間 ―
そうだ。ビチェ。
森の木に近づいたら駄目。
[外を見ながら考え事の態だったが、部屋の中を振り返ってビチェに声をかけた]
太い枝も折れてる。
雪と一緒に落ちてきたら危険。
─ 森 ─
……はあ。
見ただけでも、えらい事になってるとは思ってたけど……。
[踏み込んだ森は、見知った場所なのに、違う場所に見えた]
うわ、やっぱりここ、折れてたか……古い木だったからなぁ……。
[風に負けたか、雪の重みに耐えかねたのかはわからないが、立ち枯れの傾向が見えていた木は大体が無残な姿を晒していた]
……ほん、とに。
あの時と、似たような状態……なん、だな。
[倒れた木の幹に、皮手袋を着けた手で触れて、小さく呟いた後。
軽く、唇を噛んだ]
[ナターリエの説明と微笑み>>241に、こちらもにっこりと微笑んで。
ローザを抱きかかえて戻ってきたユリアン>>229。
そのことに眼を瞬かせたものの。
ユリアンの説明する、との言葉>>245と、
エーリッヒの説明>>243に眼を瞬かせる。]
え?え?
それだと、お姉ちゃん達、帰れない…よね?
あと、ごはん……。
[少女は、まだいい。ここが家なのだから。
村に家がある兄姉と慕う人たちの心配と。
子供らしく(?)食事の心配で。
旅人のおじさんも、同じことを考えていたようで。>>250
贅沢しなければ大丈夫>>257と聞くと胸を撫で下ろした。
後は、ミリィに手伝いを申し出たりして。]
うん、なぁに?
[少女を呼ぶ声>>292は、ミリィの手伝いをしていた時だったか。
顔をそちらに向けながら、ユリアンからの注意を聞いて。]
うん、わかった。
雪は怖いんだよ、とか。
嵐の後の森には近づくなってお祖父ちゃんから何回も言われてるから。
[更に少女は森の深いところまでは行くな、とも言われているから。
言われた事に、素直に従うのだった。]
─ 森 ─
[12年前の出来事。
抜け落ちた部分の記憶は、『両親は雪嵐の夜に外に出て事故に遭った』という言葉で埋められて。
実際には、その死は事故ではなく、酷く不自然な傷によってもたらされたもの。
獣のものと思しき爪と牙の痕が刻まれた亡骸を見た者は限られているだろうが、とにかく、人の手、或いは事故によって死んだとは言い難く。
しかし、何故にそうなったのかの理由がつけられない事と、恐らくは唯一の目撃者である自分の記憶が錯乱していた事。
その点から、表向きは事故としてほしい、と叔父が望んだとは知らないままでいた]
……似たような、は。
状況だけに、しといて欲しいんだが、な……。
[ぽつり、と。
零れ落ちるのは、低い呟き。
深い白を見つめる翠に宿るいろは、冥い]
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