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─宿屋・食堂─
ゼルギウス!?
[イレーネの叫びにも似た声にようやくゼルギウスの異変に気付いた]
そんなにも悪かったのか…!
水を持って来た方が良いか?
[対応出来そうなライヒアルトは今ここには居らず。
対処法も知らぬために出来ることをしようと]
―宿屋・食堂―
安い疑いあいなんて事件解決になんの役にもたたねぇよ。
[ミハエルの言葉にそう、そちらを見て、
宿屋を出る前のこと]
そういえばまだ聞いてなかったなミハエル。
カルメンをなんで人狼だって思ったんだ?
[そう問いかける言葉]
ミハエルも覚悟るみたいだからな、聞かせてもらうぞ?
信じる信用することもわかったはずだからな。
[それは以前に追いかけた後の言葉、ゼルギウスが見えるものだという話も自分は聞かされたこともないことで]
人の証明何の話だ?
…嘘じゃないよ
[胸の痛みは、今も訴え掛けてくる。
怪我はしてないから手首の怪我を見せて。
悲しい顔も、痛ましく笑うのもしたくはなくて、
結局は俯いてしまう。]
…そっか
そうであって、欲しかったのだよ
[誰も疑いたくは無かったけれど。
誰も狼だと想いたくなかったけれど。
死んでしまった人達の事を想い、そう口にする。
頭をなでられれば、有難うと感謝して。]
僕、着替えてくるね
クロエも下に行こ?
[そう言い伝えて、部屋へと戻り、着替えを済ませて廊下に出た。]
……ま、そうかもな。
俺だって、お前相手にいつまでも自分の事、隠せるとは思えなかったし。
[だからこそ、ユリアンに決意を告げた時、全力勝負の例えを使った。
知っているから。
反する立場にいた場合は、文字通りの全力を必要とする、と]
……正反対。そーだな。どこまでも、そうなってる。
[ぽつり、呟く。
ふき出す様子には、ちょっとむっとしたものの]
食事、ねぇ……ま、大抵はそういう事らしいけど。
……で?
ここまで話したって事は、穏便に俺を帰す気は、ないって事でいいわけ?
[ミハエルとベッティの会話は、半分も耳に入っていない。
だからどちらがどうと口にすることも出来ずに。]
ゼル、血。どうして………
[動揺して途切れ途切れに紡げば、ばれた、という子供のような声が返ってくる。]
ばれたって……いつから、なの?
今初めて吐いた、なんてものじゃないんでしょう…!?
なんで、どうして………
[どうして黙っていたのか、どうして血を吐くのか。
手を握って、どうしてと、何度も繰り返す。]
お前さんが口を噤んで呉れるなら……
[蒼を見据える深緑が金色へと変わる]
――…穏便にいけるんだが、なぁ。
けど、正反対のお前さんは……
そんな気にゃならねぇんだろ……?
[距離を保ったまま、幼馴染の返答を待つ]
― →宿屋/食堂 ―
[クロエは一緒に来て呉れたか如何か。
断られれば其れまでで階下へ向かった。]
…あれ?
[先程まで居た姿が見えず、きょろきょろと視線を彷徨わせ。
ベッティの姿も見えぬゆえに娘は頸を傾いだ。]
…皆何処いっちゃんだんだろ
[お外?と訊ねてみようか。]
[改めての説明に]
ああ、つまりゼルギウスはそれができるってことか。
[ライヒアルトを人狼じゃないと知ってるというのは、つまり彼が自分で知ったということ、
アーベルから聞いたのではなかったのだと]
んーー、こっちも悪かったな。
[ひらりと手を振って]
ライヒアルト達、探してくる。
[そう告げて宿屋を後にしようとした]
―食堂―
ご め ん ね
[今朝、音にしなかった言葉を、今は音にする。
悪戯を見つかった、子どものような貌で。]
ん。くれると、ありがたい、かな。
[ミハエルの言葉に返す間にも、唇の端から命の雫は滴って。
それはまるで、砂時計の砂のように、僅かな生の残り火をぽたりぽたりと下へと落とす。
そうこう謂っている間に、先にべッティが水を差し出してくれる。
けれど、それに口をつけようとしないのは、呑むのももう億劫なのか。]
病死でも、1日1人のそれに数えて貰えるのかなぁ。
数えて貰えるなら、その間、ちゃんと皆、考えてね。
それか、人狼のご飯になるのでも、いいのだけれど……―――
[微笑を浮かべながら、そんなことを謂った。]
…ゲルダ。
私は、痛いよ。
皆が視えないものが視得るのに、犠牲を止めることも出来ないことも。
あの男の人が最初に犠牲になったって知ったとき、ゲルダじゃなくて良かったって思ったことも。
棘みたいに、刺さってるよ。
それでも私は、大丈夫だって、嘘、ついてた。
心配、かけたくなかったから。
[俯く彼女に、淡々と言の葉を紡いで。]
だけど…ゲルダには、やっぱり。
嘘、つきたくないよ。
[着替えに行くといわれれば、頷いて。
彼女が離れている間に立ち上がって、蒼鷹と共にゲルダが戻ってくるのを待った。]
[金色に変わる、深緑。
蒼が、伏した]
……例えばの、話。
ここで、俺が何も言わずにいたとしても。
……お前の口振りからして、また、誰かを……殺す事になるんだよな?
[問う声は、静かなもの]
そうだってんなら。
それが、あの場所にいる誰かになるなら。
……止めてぇ、よ、俺は。
[ゆっくりと上がり、金色を見据える蒼には静かな色。
懐の銀の短剣には、未だ手をかけず]
― 宿屋/食堂 ―
ゼルギウスさん!?
[視界に入る吐血の紅に眼を丸くして。
おたおたとしてみるが辺りにライヒアルトの姿は見えず。]
…ど、どうしよう…
――――…ぁ、僕探してくるよ
走るのは得意なのだよ?
─ →宿屋・食堂─
…?
ねぇ、何か…
[ゲルダと共に食堂へと降りて。
何だか騒然としている様子に、どうしたのだろうと思いゲルダに問いかける。
誰か声をかけてくるものはあったかどうか。]
[ごめんねと謂ったのは妻に対して。
問われる言葉には、
相変わらず悪戯が見つかった子のように微笑むだけで。
そっと、握られる手を握り返した。]
─宿屋・食堂─
[ベッティが宿屋を出た後、ゲルダとクロエが降りて来て。
ゼルギウスを見たゲルダがライヒアルトを探して来ると言うと]
待って、探しに行くなら僕も行く。
[一人では行かせられないと、そう申し出る]
―宿屋・食堂―
[宿屋を出る前にかけた質問、ミハエルからの言葉に]
そうか、カルメンも災難だったな。
でもよ、さっきのゼルギウスの言葉のとおりが通るなら、幼馴染どうしで人狼がいたことになるんだぜ。
[ぽつりとそれだけ]
別にミハエルが間違ってるとも、私は言わないけどな。
あんまクロっちに負担は…かけたくねぇな…。
ゼルギウスもその力が負担になってるっていうなら、なおさらな。
[アーベルも力を消費すると言っていたか、それは胸中に]
後、人が勝手に殺されんのがやだったら、自衛団のやつに人だってわかったやつ報告しとくといいぜ。
[他に誰をゼルギウスが見たのか知らないのでそうとだけ]
ゼル兄…!?
ゲル、ダ。
[ゼルギウスの只ならぬ様子に青褪めるも、ライヒアルトを探しに行くというゲルダも心配で見つめ。
ゲルダについていくと申し出た少年に、一瞬表情は翳ったものの。]
ミハエル君、ゲルダをお願い。
私は、イレ姉たちの傍にいるから。
やめ、て
ごめんだなんて。言わないで。
[聞かされる謝罪の言葉は、まるで――――
流れる赤と同じように、青い目から透明な雫が零れ落ちて行く。
病死と、他人事のように微笑みながら告げる夫の言葉に、意識が遠くなりそうで。
それでも、繋いだ手だけは離さずに、
握り返してくれる感覚が、生へと繋ぐたった一本の糸のようだった。]
[伏せられる蒼からの問い掛けに金はゆると細まる]
未だ、足りねぇみたいだからな。
誰かを殺すことになるだろう。
殺して、止めるか?
お前に、俺と――が、止められるか?
[若し、幼馴染が少しでも怪しい動きをしたなら
青年は躊躇わず彼の咽喉に食い破るだろう。
人の姿のままで狩る事の多い漆黒は微かに首を傾ぐ]
―宿屋・食堂→―
[宿屋を出てから、すぐに走るようにライヒアルト達の姿を探して駆け出す。
ゼルギウスの為にとは口にすることはしない。血をはかせた責任が自分にもあるとは思っていた]
まったく、しゃーねぇやつだな。
[そんなことを言う姿を自衛団員に見咎められれば、貴重なお方が死に掛けで緊急事態だと、すぐに駆け出し。
ゲルダ達が宿屋を出るときにはすでに自分の姿は見えなくなってるだろうか。
ライヒアルト達を見つけるのは何時の時だったか、自分の中ではできる限り速く、たどり着くときには少し息を切らせていたかもしれない]
……そ、か。
[返された言葉。蒼は一度閉じて、また、開いて]
そうしないと、止まらないっていうんなら。
俺に選べるのは、それだな。
……他の連中にやらせるくらいなら、まだ。
その方が、マシだ。
[静かな宣と共に、瑠璃のダイスはポケットへ。
空いた右手は、懐の短剣へ向けて、ゆる、と動いた]
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