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うし…
[靴を脱いでズボンをくるくるとまげて上げ、川に入る。
どこが浅いかは地面が教えてくれる。否、教えてくれるというよりも感じ取る。
膝少し下まで川につかり、右腕の袖をまくりあげる。
腰を落とし、川の水の方をじっとみて息を殺す。]
[やむ無く、というと何だが路線変更。
林檎のパイは、栗のそれへと変えられて。
調理にかかる時間は、局地的な『加速』で縮める。
こんな使い方は『疲れない』らしい]
[目覚めたばかりの見知らぬ土地。人里か否かなど知りはしない
声を掛けた少女が人ではないと判断する余裕などなくて、私は反射的に駆け出していた。
緑の隙間を抜け、目に入るは鮮やかな赤。
それが先ほどとは別の人間の――仄かに血の匂いを纏った少女と理解するより先に、空を蹴り天へと駆け上る]
西側……賑やかだな。
[小さく呟く]
あんまり騒ぐと、機鋼王がうるさいと思うんだが……。
[やれやれ、と呟きつつ、ひとまず菓子を作り終え、広間へ。
何はともあれ、と紅茶を一杯味わい、一息入れる]
……?
セレス?
[それから、どこか落ち着かぬ従魔の様子に*首を傾げて*]
……っふ!
[瞬間。
空気を切る音が聞こえるよりも先に右腕には大きな爪と黒茶色の毛が生え、水の中の銀の鱗を弾いた。
後頭部からうなじにかけて白い毛が瞬間揺れるのを、目で確認することは出来るだろうか。
一瞬の音の後、腕の中には大きな魚が収まっていた]
…?
[川の上流の方に向いて仁王立ちしている彼の左側から、声か光か気配かは分からないが何かを感じた気がした。
が、頭をぽりぽりかくと再び水面をにらむ。
パタパタと周りを飛んでいた黒い小さな鳥が、西へと飛んで行った。]
[薄ら笑みを浮かべていたが、ふと背後から感じた忘れ得ない属性の気配に振り向くと]
ミ・ツ・ケ・タ……
[頬が裂けるほどに口の端を歪め、その気配の感じられた方へ駆ける。
樹の間を駆け抜けてアーベルに接近すると、その足を掬おうと足払いをかける。]
─西部エリア・広葉樹林─
逃げたしー。
何?
いまの。
……ちょっときれいだったかも。
[扉を開けて、エリア内へ。どこのエリアも同じような区切られ方をして同じように、中枢部に連結しているらしい。
広葉樹が茂っている]
……あーん、ここは。
[生命と、影輝のちからが強く働いているのを感じた。
リディ自身純粋な、生命のちからの持ち主の為、周囲の空気に気配が同化、意図せず自然と気配が薄れる。]
[不意に天を仰ごうとして、
[がさり、][舞い上がる木の葉]
[数秒の間を置いて飛び込んで来る赤]
[瞬きの一つもせず、]
[避けようとする素振りすらもなく――]
[バランスを崩して地に倒れ]
[その拍子、][顕になる左眼]
[右より淡く無機質な空の青]
[緩んだ手から赤い果実と白い獣とが離れる]
……あれ?
[屋敷へと訪れた面々の中に混じる、識っている気配と、
しかし覚えの無い姿に、きょとりと瞬いた。
まぁ…良く考えてみれば――そりゃそうだ。
オレが『識って』いるのは昔の――仔竜の頃の記憶だし、
それと同じ姿なのも、そうそう無いだろう。
……や、有り得ない話では無いけれど。
…うん。多分、あってる。 ――と、思う。
オレの記憶の読み間違いじゃなければ。]
……まぁ。
[いいか。違ってても。
随分と懐かしい話にもなるだろうし、相手が覚えている確証も無い。
尤も、オレはオレで初対面なんだし。
漸く場所を知ってそうな人たちが――屋敷の中じゃなくて、
外からだったけれど現れたんだから、それで万々歳。
確認も挨拶もそこそこに、必要な事を尋ねる。
相手が如何思ったか知らないけれど、お陰さまでとりあえず
現状把握に必要な事柄を諸々聞き出すことには何とか成功した。
…大変ありがたい。えぇ。何処かの誰かとは大違いだ。
確か彼の倍以上生きてるくせに。]
[溜息を零しつつも、とりあえず濡れた衣服を着替えに
借りた個室の一つで身支度を手早く整える。
すぽん、と服の穴から頭を出せば、隅の方で居座っていたアルが
ひらりと三度頭の上に着地した。
本当は身長が縮みそうだから乗らないで欲しいんだけど
多分、アルには何を言っても無駄だ。
…少なくともオレからは。]
…お腹すいた。
[まだ生乾きな髪の毛をタオル(これも借りた)で
わしわしと拭きながら、腰掛けていた寝台から軽く飛び降りる。
うん。じっとしてても腹は減るし。何か食べ物が貰えたら、儲けモノだし。
そう言ったら、アルには食い意地汚い!って脳天突かれたけど。
ぺたぺたと素足を鳴らして、広間へと向かう事に*決めた*。]
[少女の上を駆け抜けようとして、私は目を見開いた。
少女が動いた先――着地予定の場所には別の人影があった故に]
…っ!
[もう一度空を蹴り、更にその青い髪の上を間一髪越える。
蹄が触れぬよう強く引寄せれば首がうねり、鬣が下枝を揺らす]
[足払いによって倒れたアーベルの上に馬乗りになると、すでに拘束を解いていた右手に握られた魔銃の銃口をアーベルの額に押し付ける。
眼鏡をしたままの無感情な眼と、青年の無機質な青い眼が交錯する。]
[特に探ろうとしていた訳では無いから気づくことは無かったが、逃げた四つ足の獣を追おうとして、南に向け、行く手に何人……もしくは何匹かの存在が在ることに気づく]
[伝わる衝撃]
[けほり、]
[息を吐き出す]
[額に突き付けられた鉄]
[色違いの睛は緩く瞬き]
……、
[押し退ける動きはせず]
[唯、左手を持ち上げ]
[少女の頬へと伸ばして]
[しゃらり]
< とんできた人に、猫は、かれの手からはなれました。
しゅたっと着地するのは、さすが、さすが。
こんなときでも、10点満点です。
うん、だれもきづいてないですけど。
だけれど、ぎゃくに、猫の目は――以前の、知り合いを。 >
ナターリェ!
< でも、言葉、ではないですけど。 >
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