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て、一日二日でどうにかなったら、それはそれで問題な気がするんだけど。
[昨日も、という言葉に、思わずこんな言葉を返し。
続いた言葉と笑顔に、ちょっと沈黙した]
……ええと。
それは、どういう意味かな?
[言いたい事はなんとなく理解しつつ、首を傾げつつ問うてみた。
青年の足元に揺れる白い尾に、白猫を見かけた場所をようやく思い出しつつ]
……ふう。
[さらに何度か深呼吸をするとやっと落ち着いてきた]
うん。もう大丈夫。
多分大丈夫。
きっと大丈夫。
大丈夫なんじゃないかな。
……大丈夫だといいなあ。
[ようやく立ち上がり、酒場の影から出て、酒場の扉をくぐった。
「らっしぇえ!」という気前のいい声を尻目に、イレーネの姿を求めて、酒場の中をぐるりと見渡して、オトフリートの姿が目に入り―――]
―――ほへぇえ!?
[という声が漏れそうになったが、今度はなんとか抑えられた]
え?だって、さっき、広場にいたよね?なんでいるの?え?
[それは、ミリィがいつまでも妄想していたせいです]
感受性豊かな芸術家がその理由もわからないようじゃ、
この先やっていくのに、困るんじゃない?
[視線のみを動かして、エーリッヒに返すのは何処かずれたような指摘]
売り上げ伸びるのは願ったり叶ったりだけれどねえ、
他人の仕事を奪うのは趣味じゃないんだ。
無駄に女を泣かせるのもね。
< なぁ。追従するように、白猫が鳴いた >
おや。中に入られていたのではなかったのですか。
[扉が開くのに振り返り、苦笑しながら頭を掻く]
こんばんは、ミリィ。
今日はこちらで食事をされるのですか?
よろしければご一緒しましょう。
[軽く手を取って近くのテーブルへと誘った]
ええ、間が悪くて捕まっていました。
丁度興味が逸れたようなので、逃げさせてもらったのですよ。アーベルには申し訳ないことをしましたが。
[クスリと笑う]
[眉間の皺には気づいたが、どうしてユリアンがそんな顔をするのかは、気にしてくれているんだ、程度しかまだ分からなかった。
だから平気と、小さく首を振る。]
うん。明日まで仕事、ないから。
途中までアーベルさんに連れてきてもらって。
…あ、ひょっとしてミリィも、なのかな。
[そんな取り留めないことを話し、手を引かれ宿の中へと一緒に入った。
先に居た人らにいつものように頭を下げる。
ふと振り返ると幼馴染の姿を見止め。こちらに気づけば手を振り返すなりするのだが、それは暫くなさそうな。そんな華麗な慌てっぷりを遠くから見たり。]
……ああ、大丈夫。私はこう見えても丈夫だ。
それに予知夢を見たのはこれが最初ではない。
丁度一年前も隣隣村の水害を予知したのだからね。
[乱れた髪を直しながらアーベルに向き直り、自慢げに言う。実際一年前その場所で水害はあったが、それを当時彼女が予言していた事実はなかった。いわゆるいつも通りの妄想だったが]
黒い闇。
それは怒りだ。愚かな人類に向けられた……
そう、この世はやはり塔だった。
そう、言われましても。
[感受性云々、という指摘には肩を竦めて返し。
続いた言葉に、緑の瞳はどこか、遠くを見た]
……まあ、言わんとする所、わからんとは言わんけど、ね。
[割と切実な部分もあったりするのだが、彼に通じるとは思えず。
それに、朝から戻っていない事も、気にはなっているのは確かな事で]
……。
[ぽっぽっぽとミリィの体温が上昇していく]
あ、えう。
先生。おはようございますり。
ご機嫌いかがじゃろうか。
[オトフリートに声をかけられて、思いっきり噛んだ上に、言葉が訳の分からないことになってる]
いや。何言ってるんだ、私。
えと。んと。
あ、あの、今日はイレーネに会いに……ちょっと、トイレ行きます〜!!
[脱兎のごとくその場から逃げ出して、トイレへと駆け込んだ]
……。
[男女別ということもさることながら、個室つきというこの時代にはふさわしくないトイレの共有場所で、ミリィが頭を抱え込んでいた]
ぐおおおお!
何やってんだ、私ー!
こ、これじゃ単なる変人じゃない!もしくは、お腹ピッピー人間よ!
はぅ!
それどころか、このままじゃ、先生のこと避けているみたいに見えるじゃない!
うわーん!
おやおや。
振られてしまいましたか?
[逃げてしまった姿を見送りながら軽い口調で呟いて。
一度カウンターまで行くと軽い食事と水を頼む]
[通じていたとて、意に介するアーベルでもなく、敢えて無視するに違いなかった]
解るなら、行動に移すのも男の甲斐性。
そんなだから、幼馴染の中で置いて行かれるんだ。
[何を指すかは、言わずとも明白。皮肉にもならないだろうが]
あまり余所事に気を移していると、先生の機嫌損ねそうですので。
< カイン、と呼ばれた白猫は片耳を動かして、
じぃっとエーリッヒを見つめた。
白金の眸は人の言葉を語らず、しかし、物言いたげ >
…あらー、ミリィちゃん。
そんなに慌てて、転ばないでね?
[奥からジョッキをいくつか運んできて、慌てて逃げ出す少女とすれ違った。]
はい、おまちどうさま。
今夜も陽気なのねぇ。景気はどう?
[鉱夫たちとの他愛ない世間話。]
アーベル、こちらのお客さんに黒の12年もの出してあげてくれる?
[喧騒の中でもよく通る声。
奇しくもそれは、弟を窮地から救う助け舟になったかもしれない。]
いかん。落ち着け。
こういうときは、素数を数えるといいって、父さんが言ってた。
えーと。
0。
……。
[いきなり終わった]
な、なんか違う。
と、父さん。こんなときに素数なんて思い浮かばないよ……。
いや、置いてかれた、というのは表現としてどうかと。
[そこだけは真顔で突っ込んで。
余所事に、というのは同意できなくもないので、それ以上は言葉を重ねず。
物言いたげにこちらを見上げる白金の眸を苦笑しつつ見返しながら、大げさなため息一つ]
それは初耳です。
[ブリジットの台詞に、目を見開いてみせる]
塔とは何を指すか。
真っ先に思い出すのは創世記ですが。
造られた地であるが故か、何れ崩れる場所である故か、
それとも身の程を知らず、上を目指そうとする愚かさ故か。
[彼女との会話は苦にしておらず、むしろ、楽しんでいる風ですらある]
御話をもっとお聞きしたいのは山々ですが、
此処では、真に聞くものもいるとは思えない上、
先生も御身体を悪くされそうです。
場所をお移しになりませんか。
……そっか。
じゃあ今日は、ゆっくり休まないと。
[先程村はずれの丘でミリィには見せなかった優しい雰囲気をイレーネへと向け。
宿屋の女将に短く挨拶してから、空いている席へとイレーネをエスコート]
……まぁ、多分、ミリィも。
[どたばたと騒がしいミリィを見やりつつ、頷いておいた]
大丈夫かしら、ミリィちゃん…
思春期ねぇ…大人の階段昇ったり昇らなかったりするのかしら…。
[のんびりとした調子で、様子を見に行って。]
えーとね、素数って「素敵な数」の略なのよ。
だから、好きな数を数えたらいいんじゃないかしら。
< エーリッヒをスルーする事に決めたアーベルに代わり、
見つめ続ける、白金の眼。
どうするの?と言わんばかりに、斜めに頭を傾けた >
[首を傾げる白猫の様子に何となく和みつつ]
……ま、心配させるのもなんだし。
これ以上、ここにいても、気が滅入る、か……。
[言いつつ、視線は一瞬ブリジットの方へ]
……それじゃ、気の効かない音楽家は、大人しく帰るとしますかね。
[口調だけは冗談めかして言いつつ、白猫をぽふり、と撫でてから、広場を離れる。
……とはいえ、広場を離れ喧騒から抜け出したなら。
今度は、星空に捕まる可能性も少なからずあるのだが]
大丈夫なのでしょうか。
[ノーラが向かうのを見ながら、少し心配そうな顔になる。
入ってきたイレーネたちにはいつものような笑みを向け]
こんばんは。
ミリィもタイミングが悪かったようですね。
[視線はイレーネの様子を窺うように。
それでも隣にユリアンが居るので何かを問うことはしない]
[トイレの外から、ノーラの声が聞こえてきた]
素敵な数字。
好きな数。
……それって、気持ちを落ち着かせるのに役立つのかな?
ん?
あ。でも、無駄に考え事してたら落ち着いてきた。
サンキュ。女将さん。
えーと、うん、さて、まあ、だね。
[言葉になってない言葉を繰り返し、落ち着かせたとは言え、早鐘を起こす心臓の辺りをぎゅうっと掴むと、意を決して、トイレから出てきた]
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