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…。
[ゆるとはく息。
笛のおとがするりと耳に入ってくればまるで猫のように瞳を細めて]
……。
[猫が日向で尾をはたりと揺らすがごとく音に聞き入る]
[走っては回る]
[戻る]
[どこかへ行かねばならぬのに]
……どう、して
ゆくもかえるも、できへん……?
[笛の音は遠く]
[ぎゅっと握った手の内に]
[守り袋はただひとつ]
[力なきことはわかっているのか]
[風はそよそよ]
[白の香りを運ぶ]
[川はさらさら]
[落ちた花びらを乗せて流れる]
[川を越えることはできるかと]
[着物を手繰って、足をつける]
[膝のあたりまで水の中]
[歩を止めて]
……ゆけん
[進もうとしても、足に絡む水草に]
[深き緑のその奥で。
眠りに落ちる、小さき影。
朱と金の華を確りと抱き、眠る側には小さき獣が寄り添うか]
舞弥の……にいさま……。
[夢にて見るは、露草色の若人か。
紅緋は未だ、現を映さず]
[しかしやがて、泣き止んで]
[もう一度たちあがって]
[その川を離れる]
[ねえさまとは、会う事はなかっただろうか]
[だがそこが不自然に濡れ、その水が森へと向かう]
[その痕は残り]
[ぱたぱた]
[走るその足と]
[拭った目もとが]
[あかく、あかく、染まっている]
[森の中]
[人のなき方へと願ったのに]
[緑の奥には濃色が]
……ふうれんにいさま
[小さな声は、眠りの妨げにならぬようにと]
[しかし小さな獣は、耳をぴくり、震わせて]
[見てきた獣に、しぃと]
[人差し指を口に当て]
[そっとその場を後にしようと]
[そのとき、遠く、遠く鈴の音]
[響いて、慌てて身を引いて]
[がさり]
[草花が、少し怒りの声]
[―袖を引かれる感覚に、夢現から戻られば、夕餉の誘いか童が一人]
ん…もうこのような時間か―
[くああと大きく欠伸を一つ、それだけを縁側に残し座敷へと赴く]
[不意のざわめきは童を眠りの淵から呼び起こすか]
……舞弥……にいさま……?
[それでも、紅緋は露草色を追いかけて。
起きてもしばし、夢幻の狭間を彷徨いて。
やがて、遠くから響く鈴の音に、ゆる、とまばたき。
紅緋はようやく、現を映すか]
[音をたてた草花に、失敗を悟る]
[目を向けた先]
[小さな獣の傍で眠っていた小兄が]
[その名を呼ぶ]
[どこか、それはかなしくて]
[りぃん]
[鈴に、はっとして]
[どうしようかと、迷う間は]
[現に戻った小兄にとって、短かろうか、長かろうか。]
[響く鈴の音、それにゆる、と首を傾げつ]
……ねいろ?
[どこか、慌てたようにも見えるその姿に。
不思議そに、不思議そに、その名を呼ぶ。
その傍らで、小さき獣も首を傾げ]
[りぃん、りぃん]
[逃がさぬようにか鳴った鈴は]
[最後のひとつで音をとめ]
ふうれんにいさま
お眠り、邪魔してしもうた?
……ごめんなさいじゃぁ
[謝って]
[身を翻そうか]
[濡れた着物のその下の]
[あかい痕もみえたやもしれず]
[泣き出しそうな顔も見えたやもしれず]
[ふらりふらりと館の中を、何かを探しでもするように廻り廻って、やがて夕餉の匂いに惹かれるように、座敷へと廻り戻る]
おや、今日は、坊達はまだのようだねえ。
[すとんと腰を降ろすと、心得たとばかりに運ばれる酒と杯]
[鞠を抱えつ立ち上がり、紅緋をひとつ、まばたかせ]
ねいろ、どこ行くの?
濡れているなら、館に戻って、温かくしないといけないよ?
[風邪をひいてしまうから、と。
呼びかける、紅緋はあかの痕に気づくやいなや]
[自ら注いだ酒杯を嘗めながら、座敷の内に視線を巡らせ]
今日は、皆様、外へお出かけになったようで。
何ぞ、面白きものがありましたかい?
……大丈夫じゃけ。
大丈夫じゃ。
ふうえんにいさまも、風邪ひいてしまうよ
[一度、立ち止まって]
おら、は、いちゃならんのじゃ……
いっしょじゃなくのうてしまうもの
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