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女に秘密はつきものよ?
[そんなことを言うけれど、実際の仕事を知ったら、彼は何を言うだろう。]
それとも、気になるかしら?
[ 紅い唇に白い指を当てる女に返す表情は微笑の心算だったが、些か歪なものになったろうか。視線は女の瞳には向けられず、ちらと緩やかなウェーブのかかった髪を見るのみに終わり、軽く組んだ両の手を卓上に乗せ僅か口角を上げた唇を隠す。]
……ええ。
[ 小さな呟き。
やがて使用人が運んで来たのは冷えたワインの瓶と小皿に置かれたチーズ――が、其方には余り造詣の深くない彼には、其の種類までは判らない。]
…気にならない、といったら嘘になるかな。
でも、言いたくないのなら言わなくていいさ。
[秘密があるのは自分とて同じ事。
そしてそれを言えといわれたら躊躇う事は分かっているから]
[ハーヴェイに、気を使わせてしまったかしら。
そんな風に思うけれど、それを今、言うことはできなくて、わたしは申し訳なく思った。
使用人が運んできたワインは、とても綺麗な色をしている。
だけれど、ナサニエルの言葉は、その色よりもやさしくて。]
有難う。
きっとすぐに、わかってしまうけれど、あなたの言葉が嬉しいわ。
[ 暫し視線だけを窓の外へと逸らしていたが、ふっとローズマリーの緑の双眸へと戻す。一度緩やかに瞬きをして手を外せば、口許には普段通りの柔らかな笑み。]
嗚呼。御気になさらずに。
[ 微かに首を傾けて云い、逡巡の後透明なグラスを手に取り深い紅を注ぎ入れる。]
[運ばれてきたワインとチーズにほう、と感心のため息]
白いのはカマンベールだろうけど、こっちのはなんだろうなぁ…
[高級品など縁がない自分にはそれ以上はわからずに。
ローズの礼を言う言葉には少し不思議そうな顔で]
礼を言われる事はしてないぜ?
分かったとしても、それであんた自身が変わるわけじゃない。
言えない事の一つや二つは俺にもあるしさ。
[注がれる赤をそっと見る。
と、ちり、と鈴の音。振り返れば使用人の姿。
いつものことねと、少し思って]
さて、わたしはそろそろ失礼するわ。
……そうね、秘密ごとはいくつか、あるものね。
それでも、ありがとう。二人とも。
おやすみなさい。良い眠りを
[微笑を作る。そしてわたしは使用人と共に*部屋へと行く*]
[目の前に置かれたグラスにワインを注ぐ。
漂う香りがそれだけで高価なものと主張して]
俺なんかが飲んで良いのかね…。
[ぽつりと呟きながらも一口含んで、その味わいに笑みを浮かべる。
あまり詳しくない自分にもこれがどれだけの物かが分かる。
それをじっくりと味わうように飲み干していく]
…あぁ、おやすみ。
良い夢を。
[ローズが何処に向かうかなど知らずにそう声を掛けて。
もう一杯ワインを注いで、それを飲み干して]
俺もそろそろ部屋に行くかな…
でも、トビーはどうしたもんかなぁ…。
[相変わらず眠ったままのトビーを見て考える]
さあ。俺も詳しくないですから。
相当上質なのは、確かでしょうが。
[ 濃紫がかった柘榴石の色に、熟成した果実の香り。グラスを傾け口内を浸せば濃厚な舌触りが感じられた。然し其れは寧ろ何処か、肉の様な味わいをも思わせるか。
使用人と共に去っていく女性の揺れる緑を見送り小さく息を吐く――嘆息。]
……好いんじゃないですか? 御好意には甘えた方が。
[ 然しナサニエルの声に視線を上げれば、薄い唇は微かな笑みの形に変わる。]
折角の好意を無にする方が失礼だよな、うん。
[そう言いながらグラスを置くと、もう一度トビーを見る。
開いてる部屋に、との言葉に頷き]
だよな、このままここに寝てたら風邪ひくだろうし…。
俺の隣の部屋が空いてたっけな、確か。
[そういって、起こさないようにゆっくりと抱えて]
それじゃ、俺も寝るな。
慣れてないなら飲み過ぎない方が良いぜ。
ワインは悪酔いするからさ。
おやすみ。
[それだけを告げて、もう一度トビーを抱えなおして二階の客間へと*向かった*]
ええ。御忠告、有難う御座います。
お休みなさい。
[ 小柄な少年を抱き抱えて去っていく男を視線のみで見送り、軽く頭を振る。ほんの少し頭に霧掛かったような感覚は、酔いが回ってきた証拠か。透明なグラスを傾ければ其れを彩る柘榴の液体が唇を濡らす。小さく喉を鳴らし嚥下して零れ落ち掛けた雫を舐め取った。]
……俺には矢張り、少々強いようで。
[ 微苦笑を浮かべながら云い、牧師や主の義弟と幾らか言葉を交わせば、酒に溺れぬうちに部屋に*戻るだろう。*]
[他愛のない話に、気づけば杯も進み…
昨夜は遅くまで呑んでいたらしい。
衣服を軽く緩めたままの姿で、自室の寝台の上で目が覚めた。]
…いけませんね、醜態を。
[まだ酔いの残った頭を軽く振って苦笑い。
とりあえず、着替えてもう少し*休むつもりだ。*]
牧童 トビーがいたような気がしたが、気のせいだったようだ……(牧童 トビーは村を出ました)
牧童 トビー が参加しました。
[夜も明け切らぬ早朝。ぱちり、目が覚める。習慣とは恐ろしい。]
………あれ? ここどこ…っったーっ!
[見知らぬ部屋に、不思議そうに小首を傾げかけ――痛みに呻く。]
[異様に痛みを訴える首に昨夜の事を思い出し、ぞっと蒼褪める。]
ゆゆゆ、幽霊…! ぃーゃーーっ!
[早く夜が明けてー!と半泣きで布団に潜り込み、*がたがた*]
ふう、みんな引き上げてしまいましたね。
部屋で飲み直すとしましょうか。
[テーブルに残っているワインやつまみを
抱え込み、部屋に引き上げる。
*まだ飲み足りないらしい。*]
−客室→−
[日もすっかり高くなった時刻。
ぐぅぐぅ鳴る腹の虫には逆らえず――そして昼なら幽霊も出ないはず、と――部屋を出る。
既に使用人が片付けたのか、生g…牧師様が掻っ攫っていったのか、広間のテーブルはきれいになっていて。空腹を訴えに厨房へと回った。]
…はい、何でも大丈夫です。ありがとう!
[大きめに切ってもらったパンに野菜と燻製肉の薄切りを挟んでもらい、スープと一緒にがっつく。]
[――お腹が満たされれば元気も出てきて。
幽霊なんて怖くないやいと心を奮い立たせつつ、館の主を探す。
さっさと絵手紙を渡して日が暮れる前に帰る気満々だ。(結局怖い)
やがて辿り着いた最も立派なドアをこれと見定め、ノックする。
――しかし、返答は帰らぬまま。]
……あーれー?
どこ行っちゃったのかなー?
[小首を傾げかけて、再びの痛みにぅーぅー唸りつつ探索開始。
昨夜、きれいなお姉さんが何処へ消えて行ったのかなんて気絶していた彼には *知る由もないのだから。*]
−廊下−
…流石に呑みすぎたかもしれないな…。
[小さくため息をついて思わず苦笑い。
微妙に二日酔い気味のすっきりしない頭痛を抱えたまま、ふらりと階下へ降りる。
厨房にでも行って冷えた果汁でも口にすれば少しは気も晴れるだろうし。]
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