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子らは、それがわからぬものですから。
まだ短き時しか過ごしていないものです。
[老君にわらいかけ、それから飴を受け取る。
そのまま彼らの場所から離れ、――しかしどこかへ到達する前に、壁に手を着くことになった。]
[光が、落ちていたのだ。
西殿にいるのは――王。]
─ →西殿─
[氷竜の言葉に頷くのと同時に、走り出す姿は一陣の風にも等しく。
距離的な近さもあり、西殿にはすぐにたどり着く]
……でもって。
なんだよ、コレ……。
[西殿全体を覆い尽くす、力。
相容れない要素を感じるそれに、声がやや、低くなった]
[そうして思案しつつ足が向かったのが竜都の大図書館なのは、実は彼女の在り方を如実に表すわけで。
自らのチカラで本を宙に浮かし、自分の周りを旋回
→言霊を読み取り本の内容をページを開くことなく読解
→読解済みの本を本棚に戻す
→上に戻る
というルーチンを高速で処理し、知識を蓄えていたのだが、3939冊目に手をつけたあたりでスッと眼を細め、視線を図書館の壁──正確に言うならばその延長上の先にある竜皇殿西殿へ向ける。
それから程なく。外では西殿に光の塊が落ちていたわけで。
それを直接見ることなく、ただし何かが起きたのかはおおよそ把握しながらも、しかし視線は再び本棚に並ぶ本へ。]
……これで序の口。騒動収まることなく、更に膨れる恐れあり、か。
……面倒なことになりそうですね。
[再びルーチンを開始し、周辺を旋回する本に視線を向けつつポツリとそう呟く。]
……そうですね、承知いたしました。
[氷破竜の言葉に頷いて足を止める。当の本人は拒否の言葉を紡いでいるが、既に付いていく気に満ちた疾風と雷撃の竜にブリジットの護衛は十分と判断した]
連絡係も必要でしょうから。
どうか私の事は気になさらずに。
[目を閉じるエルザの邪魔をせぬよう静かに告げて、その場に佇む]
…父上!?
[宮殿の前へと降り立ち、(口元のケチャップはさりげなく拭って)その状況に唖然とする。]
…これは……
[閉ざされた空間は、強固な結界?
触媒の香草に火をつける。]
[ 暫しエーリッヒの様子を眺めていたが、眼を閉じる。
乱れた気配が厭わしい。
腕を広げると共に、意識を広げる。黒布が揺らめき、宙を舞う。
雑音の最中に、声を拾った。]
イズマルーム。
[ 知らず、眉根が寄った。]
老。
其方にも、届いたか。
……十五竜王が集っておきながら、何をしているというのやら。
否、集いしが故か。
ありがとう、アーベル。よろしく頼みます。
[心から感謝しながら、天竜と、心竜へ一礼し]
では、行きましょう。
[既に向かった風竜を追うように、ミリィと共に西殿へと駆けて行った]
[やがて、天青石の光が収まり、変わらず西殿を見つめる視線は普段の笑みを消して厳しい色を帯びている]
封印ですね。一体目的は何なのか。
[そこまでの声は静かに凪いでいたが…]
……無事はいいんですけど、適当に頑張れって…丸投げかよっ!?
[唐突な叫びは、言霊を伝えてきた竜王への罵倒らしい]
[眠りの底に落ちたままの仔の傍らで如何程時が経過したか。
身に感じる違和感に、とぐろを巻いていた身体をゆるりとくねらす。
今では短し身体では在れど、事の異変を察するに支障などある筈も無い。
況してや我が王の事なれば、尚の事。
届く声を、聞き間違う事などある筈も無い。]
…、とと さま?
[ぽつと響く声の持ち主は、何時から目覚めていたのか。
宥める様にその小さき腕に我が身を巻きつけるも、意味など無かったに等しく。
私の存在など気付いておらぬかの様に、ただ一点を見つめたまま。
――仔が見つめる先は、西。
嗚呼、先ほどの王の声は、仔にも通じていたのだと
安堵すべきか、それとも]
……なんか、すっげ、気にいらねぇ、コレ……。
[しばし壁を睨んだ後、ぼそりと呟く。
肩にしがみついていたピアが、落ち着いて、と言わんばかりにてちてちと頭を撫でてきたが、ちょっと無理かも知れない]
……っと。
兄貴?
[とりあえず、一発壁を殴ってみようか、と思った矢先、届いたのは義兄の声。
自分以上の苛立ちを帯びた声でなされるのは、大雑把な説明]
[天を仰いだとき、そのあおさを確認してはいた。
光が生じた後より、それが雲に隠されてゆく。]
――これ は。
[僅かの後に届いた声。
西殿を眺めた翠の目が、僅か闇色を帯びた。]
……申し訳ありません。
[一度目を開き、すまなそうに精神竜へと頭を下げる。
だが再び目を閉じると、深く息をしながら届く声に耳を澄ませた]
―西殿―
[雷竜と共に小走りで向かった先の西殿には、いくつかの影が見えた。
結界らしき壁を睨む様に見つめる風竜の姿と、焔の竜の後姿]
……これは、結界……?
[一歩、また一歩と近づいていく。異質な"封印"の気配に、眉が強く寄せられる]
……ざっけんなぁぁぁぁぁぁっ!
そりゃ、そっちもそっちで動けねぇのかも知れねぇけどっ!
原因もわかんねぇのに、こっちで何とかしろとか、無茶も大概にしやがれぇぇぇぇぇっ!
[自由を奪われた状態に、互いにいらだっていたためか。
事情説明は、いつもの、いや、いつも以上にハードな怒鳴りあいになった。らしい]
[移動するに雷光へと変じようとしたけれど
走る氷竜を見て、同じように走る事にした。
先を走る疾風の竜の後ろから、西殿が見えてくれば目を細めてくいと眼鏡を上げた。]
…これは。
一体誰が、何の為に。
[嫌な予感はしたんですよね…と、溜息をついた後。
きりと背筋を伸ばして睨むように西殿を見る。]
封印を受けていては、仕方無いことであろうよ。
[ 機鋼竜の叫び。何を言われたかは想像に容易い。影竜王は影竜王で、封印の内の場を均すこと、何より、彼女のほうが重要であろう。
……とは言え、とは言え。
思考をしても、それは仕方はあるまいか。]
試練と思うしかあるまい、機竜の仔。
[額に当てられていた手が落ちる]
…ノーラ殿にもか。
この様子では皆にも届いて居るじゃろう、この異変は。
何をする暇も無く閉ざされたのじゃろう。
何が原因かまでは、はきとせぬが。
[大きく息が吐かれた。何か起きねば良いが、と話をしていたが、まさか本当に起きてしまうとは。今後如何にすべきかと頭を抱えそうになる]
…む、他も集まり始めたかの。
[風の如く駆けて来るティルの姿、宙より舞い降りしダーヴィッド。異変は須らく皆に届いているらしい]
―西殿―
流石に集まってるよなぁ…。
なぁ、何があったんだ?結界張られたって…。
[言いながら、自身も前へと進み出て、結界のそれに近づき様子を伺う。
流石に触れることはしないが。]
…マジみたいね。
あーあ。えー…誰か、これ解けそうな奴いる?
あ、ちなみに俺は全然全く無理だから。
[威張った。]
あぁ、ティル殿。
落ち着いて下さい?
[傍らの疾風竜に、柔らかめの声をかける。
かけつつも、自身の手の先からはパリ、と雷の音が小さくなった。]
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