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えらいねえ、ベアトリーチェお嬢ちゃんは。
良い子だよ。貴方は。
[そして、思いついたように手をポンと叩く]
そうだ。
貴方がエーファちゃんを守ってあげるのと同様に、私もベアトリーチェお嬢ちゃんを守ってあげますよ。
何か危ないことがあったら私を呼びなさいな。
すぐに駆けつけてあげますからね。
[老婆が微笑む。いつものように]
それが必要だと思えば、俺のことも確かめろよ?
ただし。
[数歩近寄って、黒髪に左手を伸ばす]
一人で抱え込まずにな。
何も言って貰えずに、最期だけ告白されるのも辛いんだよ。
下手な意地張ってないで、信頼できる相手、見つけろ。
[ウェンデルの声にも、ひらと手を小さく振って返した後、ふいに入ってきたヨハナの声に。]
…あまりそういうのは好きじゃない。
命に、優劣なんてつけたくは、な
[そう言いかけて――少し口を止めた。
額に手をあてやや間が空いたが、耳に届いたアーベルの声に軽く頷き返した時には、表情は元に戻っていた。]
…とにかく、何事も起こらなければ問題ない。
[そう言い、厨房へ行き盆にゲルダが作った料理を二人分、一通り乗せすぐ戻ってくる。
机の空いていた場所に置き、盆から降ろし並べて、余っていた椅子に腰掛けた。]
[左手の甲。
痣というには鮮やかな痕。
体内から溢れ出たばかりの血の如く。
朱が描くのは、茨を纏った花だった。
白に隠されていく色彩に、息を吐き出す]
ありがとうございます。
[少しだけゼルギウスの反応を窺う眼差しを向け、すぐ背けた]
……はい。
覚えて頂いていて、光栄です。
[アーベルに返す台詞は、努めて平静に]
出来れば、ここ以外の場で再会したかったものですが。
[それは、彼に対して以外も。
そう考えると、気は重くなりがちになる]
……何故、
[浮かびかけた疑念を、振り払う。問うても、意味はない]
おばあさま、ありがとう!
でも、無理しないでね。もうお年なんだから。
[嬉しいような、照れくさいような。]
[わたしは、つい憎まれ口をきいてしまう。]
[知っていて、放置しているのか、という言葉。
軽く、唇を噛む。
教会の真意は、自身も知り及ぶ所ではなかった。
ただ、人狼という存在に対し、教会が何らかの干渉をしている、という事。
それだけは、以前の出来事の中で理解していたから。
だから、教会から離れる道を選んだ]
……別に、俺を気遣う必要もあるまい。
家主殿の道は、家主殿が決めれば良い事だ。
[返す言葉は、やや、抑揚なく。
感情を押さえ込もうしているのは一目瞭然。
それでも、髪に触れた感触と、向けられた言葉に、それは崩れて]
あ……あのなぁ。
確かに、俺の方が年下だが。
撫でられて喜ぶ年は、当に過ぎたぞ……。
ほっほっほ。
ベアトリーチェお嬢ちゃんも言うようになったねえ。
まるで、ナターリエちゃんや、ゲルダちゃんの昔を見ているようだよ。
ふふ。
きっと、貴方はあの二人に負けないぐらいの美人さんになるだろうねえ。
[笑みを絶やさぬまま、そう告げ]
だから、もし何かあったとしても、最後まで諦めるんじゃないですよ。
ばばとの―――約束。
[先程は少し離れていたからか気付かなかったが]
[近くでウェンデルの痣を見るとその色は不気味なほど鮮やかで]
[ある意味見慣れた色であることに気付く]
[これで居て彼は痛みは無いと言う]
[更に不思議だったのはその形]
[通常の痣でこれほどまでに形の整ったものはあるのだろうか]
[表情に訝しげなものが浮かんだ]
ん、汚れたりして取り変えたくなったらまた分けてあげるよ。
[視線をウェンデルの左手から彼の顔に向けると、視線はこちらに向いて居なかった]
[珍しいと思えど、何も気にしていない態をとる]
職業柄、覚えるのは得意でね。
…と、有難うございます。
[神学生に話す途中][食事が運ばれ]
[礼を言い席へ]
まったくだ。
…言うに事欠いて、人狼だなんて。
[小さく頭を振り]
[視線の端][朱を捉えた]
[歩みを進めた後、一つの扉が目に留まる。
それは、話し声が聞こえたため]
だれか居るの?
[ノックとともに、そう問い掛けた]
―→1階物置―
ふぅ…。
[しばらくして、汗をタオルで拭き]
さて、そろそろ降りるか。
[身支度を軽くすませると、
先ほどから賑やかな様子を感じる階下へと歩を進め広間へと入り]
よぉ、話は何か進展したか?
[広間にいる人物に軽く手をあげて挨拶をしながら中へと]
目の前で沈まれてるのを見て、楽しくなるよな性格はしてないぞ。
[抑揚ない言葉に、溜息一つ。
だが、すぐに崩れた態度に唇の端を上げた]
別に、年は関係ない。
弱って見える相手にはこれが一番らしいんでね。
[踵を返して扉の前、振り返る]
俺に出来ることなんてたかが知れてるけどな。
それでも、早く終わらせたいと思うよ。
邪魔したな。
[キィ、パタン]
お世辞は良いよ、ヨハナ婆。
[戻ってくると聞こえた声に、軽く首を竦めて。
アーベルにも席を勧めながら、まだ熱いスープに口をつけて、ゆっくり胃に流し込む。
アーベルの呟きには。]
そうだな…。
早い所、元の村に戻ってくれると有難いんだが。
[御伽噺と、言い聞かせ、そうあるようにと思っているが。
拭えぬ不安は確かに内に残っていた。
あの死体を見たからだろうか。]
はい。
……汚すような事態に、ならなければ、いいのですが。
[ウェンデルの顔に浮かぶ笑みは、苦い。
言葉に篭められた意味は、奥深くに沈んだ。
食卓へと向き直りシルバーを手に取るも、進みはしなかった]
ご迷惑はかけないようにします。
今は、誰も、大変な状態でしょうから。
よぉマテウス。
[広間に顔を覗かせたマテウスを振り返り片手を上げて]
進展、してんだかしてないんだか。
[これまで聞いていた話を思い返し]
[少し曖昧に返した]
[降りてきたマテウスに、食事の手を止めひらりと手を振り。]
私もさっき降りてきたところだ。
…進展といえば、ええと、そこの子が起きられるようになったと言った所か。
[そう言い、エーファの方へと視線を一度向けた。
そういえば、名はまだ覚えていない。]
全く、ですね。
[人狼。
その単語は、敢えて繰り返さない]
悪い冗談です。
……いえ、彼らも真剣なのでしょうけれど。
だからと言って、
ああ、駄目ですね、上手く言葉にならない。
[アーベルの眼差しの捉えたものは知らず。
巻かれた白の下、朱い花は眠っている]
[ナターリエの言を聞くと、大きく笑った]
ほっほっほ。
私はお世辞を言えるほど、器用な人間じゃありませんよ。
それは、貴方が人気あるというのを、貴方が知らないだけなのだから。
実際、私のところに、ナターリエちゃんや、ゲルダちゃんのことについて聞きに来た子が何人いたことやら……ふふ。
まあ、その様子を見ると、その後実行に移した人間はそういなそうだけれどねえ。
全く、意気地のない連中ばっかりだよ。ほっほっほ。
[ウェンデルが込めた言葉の意味]
[最初は一般生活でのことかと考えた]
[けれど思い出したのは先日ライヒアルトと会話した時に予測した事態]
……そうだな。
[それだけを紡ぐと席へと戻り]
[ウェンデルとは異なり冷めかけた料理へと手を付けた]
誰もが大変だからこそ、支え合うのも必要なんじゃないか?
一人で抱えて押しつぶされちゃ意味がない。
[食事を進めながら、ウェンデルにそう語った]
わ。
[唐突に開いた扉に、思わず廊下の壁を背にするよう後退り。
微かに睫毛を揺らすだけの、驚きの表情]
なんだ、エーリッヒか。
え、と。ご飯出来てるから。いるなら食べて。
[とりあえず、必要に思えたから口を開く]
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