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……は、すまん、白井氏。
無視した訳じゃないが、身近な知り合いに意識が引かれた。
[ニヤリと笑う雪夜に、さらりと返す]
[直後、千恵の無邪気な呼びかけに、なんとなく、かくり、となった]
……いや、だから。
せめて、おにーさんと呼んでくれ……。
[やっぱりそこらは、微妙な気分らしい]
この状況が司と憑魔という存在によるものなら。
均衡を崩したら何かが変わるとかでしょうか。
[雪夜のどうするという問いに返したのはそんな言葉。
結界というものに対し一般人が持つイメージはこんなものだろう。
史人の言い分もあれば間違いないかと思うかもしれない]
―中央広場―
え、家主不在時の悪戯は基本だろ?
[にやと笑いながら言ってのけた。
聞かれないことに返事をすることもなく、ポケットを探り]
あーそだ、鍵ありがとな。
返しとくわ。
[言葉と共に鍵を投げて]
いや、この子が帰りたいって言ってたからさ。
ほら、この人が礼斗お兄さんだよ。
[簡潔に説明しつつ、千恵に礼斗を示す]
[千恵の嬉しそうな声には、こちらも笑顔で返した]
そうだよー。
うちのお守りは効果抜群なんだから。
もっと大きくなったら、他のお守りも色々と必要になるだろうから、その時はまたお買い上げしていってね。
[正直、うちの神社で買ってたのか、ということはあまり思い出せなかったが、それでも商売のために宣伝しておくことは忘れなかった。
ある意味、本調子に戻ってきたと言っても過言ではない]
はぁい。
でもちえ、ひとりじゃないからへいきだったよ!
[瑞穂にもう一つ注文されて、こっくりと素直に頷く。
心配かけたといわれれば、そうささやかに主張した。
雪夜が、どうするべきか、というのにはきょときょとと大人たちを見回した。
わるいのはひょーま、それにつかさ?ほかにも?
そうは聞いたが、どうすればいいのか意見するにはまだ知恵が足りない。]
─繁華街─
分かった。
[中央広場へ、そう言われたなら一言返し、頷く。
俯いたままに答えると、母親はそのままオレを抱き寄せて来た。
演技はバレていないらしい]
…………。
[怖いなんて思いは微塵もない。
けれどオレは沈黙を保った。
母親の態度から、直ぐに敵に回ることは無いと考える。
それなら利用してやろうと思った]
……行こう、千恵を探さなきゃ。
[少しの間、背を撫でて来るのを受けてから、もう大丈夫だと言わんばかりに母親から身を離す。
表情は見せない。
見せたら不審がられてしまうだろう。
オレの口元には嘲笑が乗っていたのだから]
[史人の丸投げや雪夜の声に礼斗の方を見ていたが]
声、届かなかったみたいで。
一人でなければまだ良いかと。
[瑞穂に頭を下げられると小さく首を振った。
そも連れて行くとは言っていない。自分が去ると言っただけ]
―中央広場―
……いえ。
何も。
[巫女の視線からは目を逸らした。
丁度別方向から掛かった声をいいことに]
あ、うん。知っててくれたんだ。
稲田さん、ね。
[自己紹介に頷いた]
― 繁華街 ―
[息子を励ましながら私が怖がってどうするの。
震えるのを抑えながら、私はぺろりと唇を舐める。
私と夫が恋人だった頃からの、習慣。
私が辛い時、彼はいつもそっと口付けしてくれた。
それが、日常だった。
伽矢は知らないだろう。
「こいつには20年早い」
彼はそう言って、伽矢の見えない所で口付けを交わしたから。
それが「10年早い」になり、「8年早い」になった頃。
夫は永遠にいなくなってしまった]
ん、行こうか。
[何年ぶりかに抱きしめた息子。
夫の葬式以来だろうか。
顔を背ける息子を見て、照れてるのかしらと少し前を歩き出す]
[史人の言葉に、不機嫌そうに頬を膨らませた]
もー!ノリ悪いな!
そこは、
「ああ。ついているな。目と鼻と口。
どれもキュートだよ。お嬢さん」
ぐらいの返しを期待していたのに。
そんなんじゃ彼女出来ないよ?
[今時、そんな古いナンパのような言葉を一体誰が使うというのか]
何の基本だ、なんの。
[投げ渡された鍵を受け取りつつ、突っ込み一つ。
それから、続けられた言葉に、はあ、と一つ息を吐いて]
……帰りたい、ね。
つまり、現状を打破する方法を、説明しろ、と。
[史人の言わんとする所をそう、解釈して。
ぐるり、周囲を見回す]
壁を破る、というか。
この状況をどうにかする方法。
……より、多くを生かすならば、術は一つ。
『憑魔』を見つけて……『還す』。
[『還す』は、かつて共にいた『司』からの受け売りの言葉]
[瑞穂になでなでされると目を細める。
おにいさんでしょ、といわれてちょっと間を開けてから。]
えっと、ひふみにいちゃ。
[言いなおした。
史人に言われると、もうひとついいなおし。]
あやとにいちゃ。
[そして史人にした質問を、礼斗にもしようとしたが、答えは先に返される。]
……かえす?
[首を傾げた。意味がよく分かっていない。]
[礼斗の言葉に頷く]
うん。この結界を破るには、憑魔を全て浄化しなければ抜け出せないようだからね。
だから、みんなで力を合わせて、残った憑魔を退治していかないといけないんだよ。
あ。こういうのは大人の仕事だから、みずちーとか、ちーちゃんは関わらなくても大丈夫だからね。若い子だけで怖かったらまたせったんでもつけてあげるし。
後は、何処にいるんだろうね。憑魔。
最初と違って中々出会わなくなってきたから、きっと、ちょっと頭のいいのがどっかで隠れているのかな。
すみません、気づかずに。
[黒江の声かけには気づかなかったので謝って再度頭を下げる。
それとともにそのときのことを思い出したのか、
少しだけ頬が赤くなったとかすぐに意識を別に向けようと史人との会話]
はい、TVや雑誌で何回か。
あの時はすぐに気づきませんでしたけど。
[史人の返答にそう答えて、雪夜の返答に頭に浮かんだ言葉「ツンデレ」。]
そっかー。
それじゃ、ちえおこづかいもらったら、また買いにいくね。
[最初に買ったお守りは、神楽の神社のものではない。
その時に神楽にあっていれば、強烈な巫女さんを覚えていないはずがないのだから。
けれどそう言われると、買ったような記憶にすり替えられて、こっくり頷き、約束した。
うさぎは微妙な顔をしている。]
―中央広場―
……すいませんでした。
[神楽の返事に額を押さえる。
ツッコむこともなかった]
……ダメだ、下手に絡むと絶対大怪我する。
[周りの話す声に紛らせて、ぼそぼそ呟いていたりする。
苦手な理由はそれらしい]
[雪夜の様子に、瞬き一つ]
……別に、そうは言わんが。
[何故、そこで突っかかられているのか、理解が及ばす。
天然ボケ満載の状態で首を傾げ]
[律儀に言い直す千恵に、妙に和むものを感じつつ、一つ頷いた]
……器を、大地へ、魂を、天空へ。
『憑魔』を見つけ出して、『還す』ことで、壁は消える。
まあ。
そのためにまず、探し出すのが、厄介と言えば厄介なんだが……。
─繁華街─
[母親と父親の間で為されていた習慣は勿論知らない。
その習慣から派生した母親の癖も知らないし、俯いていたためにそれを見ることも無かった]
─ →中央広場─
[母親に先導されるようにしてオレは中央広場へと足を踏み入れた。
その先に見えたのは数名の人影。
遠目から判るのは、周囲よりも一際小さい従妹の姿だった]
千恵!
[オレは母親を追い抜くようにしてその近くへと駆ける]
うん。待ってるよ。
[千恵ににっこり笑顔で返し、史人には]
分かればよろしい。
次会った時は、もっと楽しい返し文句を期待してるからね。
[などとハードルを上げた]
それは普通逆効果だと思う。
[ぽつりと落とした感想は神楽に向けて]
還す、その方法は?
[礼斗を見た]
探すのは…。
[史人を見た。マンションでの事を思い出しながら]
難しいんですか。
[礼斗と神楽の説明を聞きながら千恵に]
『憑魔』っていうのを『司』っていうのが浄化、
ええっと退治するとお外に帰れるようになるみたいだよ。
[千恵にもわかりやすいようにそう説明をしながら]
『憑魔』が悪者で『司』が正義のヒーローみたいな感じかな?
[その説明で千恵が納得いくだろうか?
神楽の言葉に]
綾野さんの言ってた表から見てもわからない人ってやつですか?
氷雨さんにお世話になってばかりも悪い気が。
[先ほどの態度から遠慮する気持ちもわいた]
― 中央広場 ―
千恵ちゃん!
[姪の姿を視認し、叫んだのは伽矢と同時だったろうか。
周りには顔見知りの人々と、瑞穂ちゃんが居た]
[神楽の史人とのやり取りには、]
…………はぁ、いつも通りだな。良くも悪くも。
[頭を抱えてそう呟く。
どう見ても悪い意味の方を多めに捉えてる模様。]
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