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─東殿・回廊─
[エーリッヒと共に移動しながら、強まる風の気配を感じ取る]
…こりゃあ…。
ティルも暴れとるようじゃな。
と。
[右手を額に当ててやや顰めっ面。対たる属が東殿内で集まる気配を感じ取る。やれやれと溜息をついたところでにゅるりと目の前に垂れる蔓状の黒。うねりこちらに向かってくるそれを左手を振って弾き飛ばした。エーリッヒの目の前を横切ったかも]
あまり悠長にもしていられんな。
また囲まれる可能性があるぞい。
[そうエーリッヒに告げながら、感じ取れる対の気配を追うように足を速めた]
[風と雷と水の合体技による嵐が、東殿通路の中を荒れ狂う。
途中に、混沌のカケラは幾つも浮遊していたが、今の勢いを止めることは誰も出来ないだろう]
風の。
予想が確かならば、影のは、この混沌のカケラが一番密集しているところにいるはずですわぁ。
そこまで、連れて行ってくださいなぁ。
[風に巻かれ、空中をくるくると吹っ飛びながら、ナターリエがティルへと笑いながら言った]
雷のは、周りの注意を怠らないでくださいねぃ。
カケラはともかく、誰かに当たったらただでは済みませんからねぃ。
[言いながらもくるくる回る]
[ぷすぷすと煙を上げたり、ぐっしょり濡れた壁の中。
たっぷり力を解き放ち、どこか爽やかにすっきりした顔をして雷竜は風の残滓に髪を揺らしていた。]
…さて。
ザムエル殿を探しましょうか、ノーラ殿を探しましょうか。
あぁ、そういえば、ナターリエ殿は白だって昨日食堂でダーヴィット殿がおっしゃってました。
[ふと思い出し、本人の目の前で告げてみた。]
―東殿/回廊―
[黒布を手繰る指に視線を向けながら、呼ばれた名に頷く]
えぇ、随分と騒ぎになっているようです。
混沌の欠片も雷雨が怖いとも思えませんが。
[室内に多く現れた欠片を揶揄してから、影輝竜の髪に隠れた右頬に視線を流した]
影に似て影に在らぬもの。
あなたのようですね。
[口元に浮かぶ笑みは穏やかなもの]
―― 東殿・回廊 ――
[ぼうっと、外を見ながら歩いていると、目の前を、黒い欠片がびゅんっとすっ飛んでいった]
わわ!
[目をぱちくり]
わ、わかりました。
[言われた言葉に頷いて、足を早めた]
…注意はしますけれど、これだけ伝わる物が多いと、制御しきれるとは言い切れませんねぇ。
[どこかのんびりとした声を、ナターリエに返す。
これだけ密集した霧が立ち込めれば、勝手に走って少々何かを破壊してしまう雷もきっと。]
首飾り?
[音で気付いたのかと、ゆるやかに首を傾げ。]
ああ。
ずっと前にいただいていたものなんです。
チェーンの音がしましたか?
[タイは外さずに。]
どうかしました?
―西殿中庭・噴水―
[影が幾つか傍にあるのも見えたが、とりあえず避けて水面に手を伸ばした。強く思い浮かべる師の姿。
機鋼の竜と共にあり、酷く傷ついた様子もなかった。
思わずもれる安堵の息。だが改めて見ればカケラが異常に活性化している様子で。不安になり他の場所を見ようと手を動かした]
りょっおかい!
[返事の威勢がいいのは、絡み合う力の持つテンション故か。
途中、薙ぎ払われたカケラにピアが合掌していたのはさて、何人気づくやら。
そのまま、突っ走ったところで、ふと、感じた、対の気配]
ちょ、やべっ!
一旦、ていしー!
向こうから、爺ちゃんくるっ!
[風の力を逆に利用し、ぎりぎりブレーキかけてみる]
―東殿・回廊―
[ごうと焼けるような音が聞こえたところで、角からひょっこり顔を出す。
どうやら砂の化け物は消えていたので一安心と。]
いやー悪いなー。
翠樹の連れたままだったから助かったわ。
[二人にベアトリーチェを片手で抱きなおしながら、ひらり手を振る。
その奥で、ブリジットの姿が見えたのでそちらにも手を振った。]
[雷の言葉に、ナターリエが笑い出した]
それじゃ、当たった方は運が悪かったということで済ませましょう。
おほほほほ。
[ひとしきり笑い、ダーヴィッドに調べられたということを聞くと、朧気に昨日のことを思い出した]
……ああ。
道理で、胸糞悪い熱さを感じたと思いましたわぁ。
[白く見られていることよりも、占われたということのほうが重要だったようだ]
─東殿・回廊─
…エーリッヒや、この状況でぼーっとしておるとまた食われるぞ?
[さっきはまだ食われてません。溜息を漏らしつつ忠告し、その先を急ぐ。近付く対の気配。それは急速に近付いていて]
ぬぅ!?
[何事かと砂の翼を展開したところで急ブレーキがかかった。果てさてきちんと止まれたのか否か。突っ込んできた場合に備えて、翼は己とエーリッヒの前に壁を作り上げている]
そもそも、怖いなどという感情が在るのでしょうか。
……貴方には、感じられますか?
< 左に顔を傾けると、右の顔を隠す髪が流れる。
声には僅か、冗談めかしたような響きを帯びさせて。
しかし、次いだ言葉にそれも散り失せる >
だとしたら、私もあれから生まれたことになりましょうか。
< 眼を細める。笑みとは趣が異なっていた。
顔を背け視線を外したのは、此方のほうだった >
それにしても……影輝の力が、暴走したのでしょうか。
欠片であるなら、触れなければ発現しない筈なのに。
―東殿・回廊―
[奥の方で、命竜がひらり手を振るのが見えた。
翠樹の仔も一緒のようで、遠巻きには大人しく抱かれているように見えた。
さらに、月闇の気配と火炎の気配も感じ、そちらの方へと向かっていく]
また、"かけら"があらわれたのですか?
[状況を確認するように、尋ねた]
―――っ!?
[風に乗ってくるくると回って楽しんでいたが、急停止がかかると、声なき声を上げて、床へとくるくる回って落ちていった]
うひゃう。
[べちゃり。
さながら、柳から垂れた水のように、ナターリエが床に突っ伏した]
…いや……。
[誤魔化す月闇の眼鏡の奥を見据える。
音は確かに似ていた。それに…アレの帯びる力のひとつは、我が対のもの。
奪われてしまったのではという懸念と、それは重なり合うようで。]
どの道、調べりゃ判るさね。
…調べられたくない理由なんか、別に無いよな?
オトフリート。
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