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[薄暗い室内。
簡素に纏めた荷。
外から聞える音も、
窓から降り注ぐ光も、
別世界の如くに遠い]
[往かねばならないと、
理解はしている筈なのに。
身体は意志に反して動かずに]
いや、気にする必要はない。
滅びることは判っていた。
[ポットからカップへと、良い色の紅茶をいれて]
どうぞ。
[ナターシャに差し出す]
[緋が散る]
[地に、天に、樹に、己に]
[口端に落ちた緋を舌で舐めとる]
[僅かに歪んだ口許]
[其れは笑みを模っているように見えるやもしれず]
[襲い来る切先は]
[水の流れのように]
[風の流れのように]
[揺らぐように避けて]
多少の傷を負ったとて、すぐに治るだろう。
[突き立てる]
[鈍い肉の感触]
[振り払うように]
[鋭く横に切り裂いた]
ありがとうございます。
…ん、美味しい。
[受け取った紅茶に口をつけ、再び微笑む]
[幾度と無く聞こえてくる音に、先刻の「飲まれる」の意味も流石に気付かされていたが。
その音をできるだけ拾わないように、紅茶に集中しようとした]
[すぐに治る、と言われれば、確かに、と呟いて。
数歩、後退して影をおびき出し]
……はっ!
[低い、気合。
低く構え、前方へ、勢いをつけながら飛び出し、横薙ぎの一閃を]
……にしても、まあ。
こいつらも、引き時っつーもんをわかってねぇなぁ……。
[生きてこその稼業だろうに、と。
呆れたように呟いて。
断空。
舞い散る真紅は色彩鮮やかに]
それなら良かった。
[それからちらりと窓の方を見る]
[色彩は目に入れたくないが]
…さっさと片付けてほしいものだ。
[かなり酷いことを言って。]
[チョコレートを出してクローディアに差し出す。]
[伝う汗は。
震える手は。
過去の想起。
護ると誓えど。
足手纏いにしか。
結局は、何も――]
……
[強く首を振り、
部屋を後にして、
緩慢に階下へ向かう]
……偶に居るからな。
[生きてこそ]
[其の言葉に呟く]
命よりも金が大切だと言う者が。
大概……そうせねば家族を守れぬという者ばかりだが。
[そう言いながら]
[奔る銀は少しも鈍ることは無く]
[地に伏せるのに視線を送ることすら無く]
[駆け抜け]
[左足を軸に向きを変えようとして]
[砂の音と共に一瞬崩れる体勢]
[振り下ろされるのを無理に避けようとするも]
[腕を裂かれるのは防ぎ切れず]
[其れでも裂いた影を上下に断ち割って]
[チョコを一粒自分で食べつつ、ふと、気づいたそれに顔を上げる。]
[クローディアも同時に。]
今晩和。
[声を投げかけ、紅茶を新しく。]
……ま、そうかも知れんが。
[家族を守れぬ、という言葉。
それは瞬間、翳りめいたものを紅の瞳に呼び起こすが。
それはすぐに失せて]
てめぇの生命を守れねえヤツには、何にも護れやしねぇんだよな、生憎とよ!
[言葉とともに、繰り出す剣でまた一つ、影を断ち]
……まだ、動けるな!
そろそろ、終りが近そーだし息切れしなさんなよ!
[腕を裂かれる姿に投げるのは、こんな言葉]
誰が動けないと言った?
[返す言葉は傷が極浅いものと思わせるような]
[けれど緋色は]
[左の袖を既に染め上げて]
……せめて、送ってやろう。
出来得る限り苦痛を受けぬようにな。
[払う銀を伝うのは]
[斬り伏せた闇に混じり]
[自身の緋]
[低い体勢]
[地を切先が裂いて行く]
[一気に懐に入り込み]
[跳ね上げるようにして]
[斜めに引き裂く]
[返答に対して浮かぶのは、笑み]
……その程度で動けなくなるようなら、ここまで生きてられんわな。
[さらり、言いつつ。
銀煌の舞は生命を一つ、夜闇の奥へと飲み込ませる]
そこまでしてやるギリはねー気もするが。そんなん期待してたら、この稼業、できんだろ。
[軽い言葉と共に、剣を握りなおす。
闇を見通す、真紅の瞳。
それは、闇に紛れて不意打ちを試みた者の気配を、捉え]
……仕事に関係する情報は、きちっと集めろってな。
俺に……『迅雷』に、闇討ちはきかねーってな、それなりに有名なつもりだぜ?
[背後に迫る気配に向けて、呟く。
くるり、その身が反転し。
その勢いを乗せた剣が、影を断つ]
[聞かれてもぼんやりとそれを見つめていたが。
やがてハッとなってコクコクと肯いた]
はい、良かったら一つ下さい。
[そうして無意識に押さえていた手首から指を離し。
そっと手を伸ばした]
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