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[呼吸の度に緋がごぼりとあふれ、目は光すら捉えられず。
それでも指先は、帯に仕込んだ針に手を伸ばし、エドガーの気配がする方へと投げつけようと。]
ま、そうだろうね……。
[立ち位置じゃ、という言葉に、ふ、と笑んで。
続いた言葉には、ほんの一瞬、戸惑いが過ぎろうか。
しかし、それはほんの一瞬のコトで]
……ま、この状況で、いつまでもここにいるのは危険極まりない、という事で……。
[ばさり、と。
唐突にその背に開くは、漆黒の翼]
一時、撤退させてもらうよっと!
[直後に、漆黒の羽が周囲に乱舞する。
羽を利用した目くらまし──奇襲時の常套手段の一つ。
その羽の乱舞に紛れつつ、普段は押さえ込んでいる力の一部を解放し、*ふっとその場から姿を消した*]
か、は……。
[ほんの一瞬だった。
目の前にルイが現れた。
それはあの日、あの時、姉のナナエと共に一生忘れえぬ記憶となったワンシーン。
必死に伸ばされた二本の腕は、無残にも引き離されていく。
やめろ!
この場面を見せるな!
本能と理性が互いに反発しながら絶叫する。
――それが、糸を視界から消してしまった。
次の瞬間、体の複数箇所から同時に出血した。
心臓は守った。
だが腹部は複数の内臓を損傷し、足は腱が切られ、首に至っては頚動脈と頚静脈を傷つけなかったが、そのまま項まで刃は貫通していた]
[倒れるが痛みを感じない。
無意識に閉じていた目蓋を開くと、体から黒い糸が天井を越えて天に向かって伸びていた。
それは死んでいく者が死神に刈り取られる命の糸。
それが見えるのは、その体が死ぬ寸前である証]
ル……イ……。
すま、ねぇ……。
姉さん、後はたの……。
[そこで吐血した。
すでに視界は白濁し、命は消える寸前だった。だが、彼は最後にミュウを道連れにし、エドガーにルイを救ってもらうための、最後となる一手を使った。
胸部につけてあったC4の起爆スイッチを
――レッグの体は紅蓮の炎によって爆散した]
[粉塵の奥に影が見える。倒れているようだが、まだ動いている。]
[まず腕へ、次に他の急所へ向けて、連続で射撃。弾倉に一発残して、撃ち尽す。]
[見えない瞳を見開いて、針を飛ばしたその瞬間新たな熱。幾つもの緋い華が...の身体に咲き誇り。]
[...の意識は緋色の中に*閉ざされた*。]
何っ!?
[倒れ行くレッグの腕が胸元に伸びる。
虫の知らせ、或いは本能的な何か。
咄嗟にリボンを戻し、襲い来る衝撃に合わせて後ろへと跳ぶ。
だが狭い室内のこと、その程度で勢いを殺せるはずも無く。
人の限界を超えた柔軟な身体を持ってしても昏倒するほどの衝撃を*受けた*]
[もう粉塵は晴れ、そこに緋色を見る。]
[周囲を警戒し、この場に敵がいない事を確認すると、銃の弾倉を交換し、懐にしまう。]
[アヤメの側に歩み寄り、跪くと、その目を*閉じさせた*。]
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