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― 広場・露店 ―
遅くなりましたー。さっ、出遅れた分取り戻さないと。
[露店への道すがら、買ってきたジンジャークッキー数個(いくつかはブラックホールに飲み込まれたか)、売り物の小皿に移して、一個つまむ]
美味しいー。もう少し甘くてもいいかな。
[クッキーの乗った小皿を師匠の前へ置いた後、指についた粉を舐め、商品の位置を確認しながら]
師匠ってエルさんと知り合いだったんですねー。一体どこで知り合ったんですか、隅に置けませんねっ。
そう言えばさっき別れ際、何を話してたんですかー。あ、もしかして、デートの約束ぅ?
[にやにや]
それと……何だか自衛団の人の動きが、昨日よりも活発でしたね。
旅人が行方不明になったって噂も耳にしましたし、それ関係かなー。アタシは、単に夜のうちに旅に出ちゃっただけかなって思いますけど。願望込みで。
[お金の位置や盗難避けマジックアイテムを確認して、広場へと視線を移し]
あ、そこのお兄さん、地図はいかがですかー。
手書きでおすすめの観光スポット入り。お祭り見終えた後、ついでに廻ってみてはいかがですか?お安くしておきますよー。
[しばらく売り子の*お仕事*]
[それから少女が向かったのは
入れば少し花祭の雑踏も遠のく裏通り。
するりと小さな体を暗い道に滑りこませれば
薄暗いそこに、姿は紛れ消える。]
て、っと…
確認確認…。
[引き上げたマフラーの中、少女は小さく呟くと
見るからに悪そうな男達の隙間を縫い、奥へと*]
─裏通り─
[薄暗い中でも目立つ赤いシャツ]
[周囲より抜きんでた身長と右眼に走る傷]
[華やかな街では異質なそれは、裏通りでも同じだった]
[己に注目し機会を窺っている者も少なくない]
情報も持たねぇ奴に用はねぇ。
手応えのねぇ奴を相手にするのも飽きたしな。
[口元に手巻きタバコは無い]
[周囲の連中を撒くようにして路地を歩いた]
―裏通り―
[ぽんっと。
音でも立てるような勢いで、少女は裏通りのやや太めの道に飛び出した。
飛び出してきた先は、比較的安全(?)な、裏通り。]
あ れ?
[何時もる、道の端に座ってくだをまいている連中が
一点に視線を集めているのを見て、
釣られるようにそちらを見た。
隻眼の男が、居る。]
おじさん、物騒な所に居るなぁ?
[手を振って声をかけてみた。]
[駆けられる声は野太いものばかりと思っていたが]
[別の声が聞こえ隻眸をそちらへと向ける]
……そりゃこっちのセリフだ。
ガキの来るところじゃねぇぞ、ここは。
[両手はジーンズのポケットへと捻じ込んだまま]
[一見隙だらけにも見える態で子供に返す]
─某所─
[イキシアの街の北。ここには彼女の支援者、いうなればパトロンがいる
今日はここへ最終の打ち合わせに来たのだが]
……どういうことですか?
提示額がお約束の金額より少ないのですが
[ジッと卓の対面に座る屋敷の主であり、彼女の支援者である人物を見る]
[失踪事件の噂で思っていたほど集客が上手くいっておらず、現状の報酬として出せるのはここまでが限界とのこと、と申し訳なさそうに言う主人
……だがしかし]
(……実の所、噂による影響はそれほどでもなし
集客も何ら問題なく集まっている
…………事件をいいことに私腹を肥やそうと考える業突張りか)
[彼女の情報網は、それを嘘と断じれるだけの情報量を誇り、内心で彼の浅ましさに呆れ果てる
だが、表にはそれを出すことなく]
……少し考えさせてください
[僅かに目を伏せ、それだけ言うと*席を立つ*]
ガキじゃねぇって。
カヤだって、名乗っただろ?
[憮然とした表情を作り、腕を組んで見上げる。
帽子のつばの下から、眉を中央に寄せた侭]
来る所も何も、俺の庭みてーなもんだぜ?
ここらの屋根煙突はぜーんぶ俺がきれーにしてんだ。
[ふふん、と得意顔。]
ふむ。
まあ、腹八分目って言うし、今日はこんなもんにしとくかな。
[でかい串を楊枝代わりに口に咥えながら、宿屋の自分の部屋に戻ると、部屋の中に数枚の手紙が来ているのに気付いた]
お。
まーた、親父からか。
[どかっと、ベッドに行儀悪く座り込んで、手紙の内容に目を走らせた]
ガキはガキで十分だ。
いくら仕事で慣れた場所でも、今は人攫いの噂もあるんだ。
あまり近付かねぇ方が良いぞ。
[相手の表情など気にすることなく]
[己の腹辺りまでしか無い子供を見下ろした]
用がねぇならさっさと出ろ。
[そろそろ口元が寂しくなって来たのか]
[ポケットから滑り出させた右手を胸ポケットへと移動させながら]
[歩を進めて子供の横をすり抜けようとする]
―――1枚目―――
「やはやは。元気かね、愛しの我が愛娘よ。
ハッピー☆ラッピー☆よろピくね☆
あひゃーっはっはっはっは!!
どうだい?おっぱいのほうがまた大きくなった?
もう、父ちゃんそれだけが生きがいでなあ。
お前が年々でかくなっていく姿を見ると……フフ……下品な話ですが……勃起してしまいましてね。
いやもう、冗談冗談。
あひゃーっはっはっは!!
それに父ちゃんはおっぱい星人ではない!ケツ派だ!
そこんところ間違えないようにな!!」
なぁんだ、おじさん物覚えが悪いだけかぁ。
人攫いなんて、俺に追いつきっこねーよ。
[むぅっと睨み上げながら
横をすり抜ける自分より随分背の高い男にイーッと歯を剥いて
振り返ると背中が遠ざかるのにもう一度]
なんか探してンじゃねぇのか?
それともだれか、か?
[声をかけた]
―――2枚目―――
「さて。本題に入らせてもらおう。
お前はこの街で多発している連続失踪事件の噂を聞いたか?
聞いていないならお前はただの間抜けだ。バーカバーカ。
いっつも、俺は周りのアンテナは張り巡らせておけと言っているだろう。
そんなことでは、早々に死ぬぞ。
せめて、俺におっぱいの感触を確かめさせてから死ね。
それで、だ。
今回の仕事の依頼は、この連続失踪事件の件についてだ。
お前にはそれを解決してもらいたい。
まあ、お前がバカでこういうのに向いていないのは重々承知ではあるが、今の俺が他の事件を担当していて動けないので、渋々お前に頼まなければいけないんだ」
…井の中の蛙大海を知らず、か。
そう思ってるのは構わんが。
後で泣きを見ても知らねぇぜ。
[ちなみに記憶力は良い方だが(じゃないと仕事が成り立たない)]
[言い返すことでも無いために捨て置いた]
探してちゃ悪いか?
俺が探してるのはその人攫いか、事件の目撃者だ。
[何を探して居るか]
[それを隠しもせず言葉に出す]
[やり取りの間に胸ポケットから道具を取り出し手巻きタバコを作り上げ]
[口に咥えて火を灯した]
―――3枚目―――
「お前も自分がバカなのは承知だとは思うので、一人で解決しようなどと思い上がったことはせず、色々な人の助けを借りて、解決してみろ。
最悪、お前が解決しなくとも、他の奴が解決するだけでもいい。
少しは頭を使え、バカ」
(……あんまりバカバカ言うんじゃねえよ)
「しょうがないだろう、バカなんだから」
(手紙で返事すんな!)
「一応、自警団のほうに少しは話は通してあるので、情報を聞きたいのならばそこに行ってみろ。
バカのお前では理解できんかも知れんが、少しぐらいは概要が分かるだろうから。
じゃ、気ぃつけて、頑張れ」
……ふぅ。
[手紙を読み終えると、レナーテが小さく息をついた]
なるほど。めんどくさそうな仕事だ。
迷子探しのように簡単には行きそうもねえな……ん?
[手紙の裏に、もう少しだけ文章が続いていた]
「追伸
父ちゃん、赤の下着はちょっと派手だと思う」
……。
[その言葉を見た瞬間、ビッリビリに破り捨てて、壁に投げつけ、蹴りつけ、何故かこんなときだけしっかり剣の形に抜けた魔剣で切り捨てて、思いっきり叫んだ]
―――娘の下着を覗き見てんじゃねー!!
―広場・露店―
おかえり。
[遅くなったというのにはゆるく頭を振った]
[売り物の皿をそのまま使うのには苦笑する]
[それでも寄こされれば一つ摘んだ]
程好く風味が効いてるね。
甘さは好みが分かれるだろうが、土産にはなるかな。
[売り子は少女に頼む方がウケが良い]
[場所を変わったところで欠片を詰まらせ咽た]
……ケホッ。
いきなり何を言い出すかと思えば。
エルザとは昔馴染みだよ。
同じ街に生まれて、年が近くて、行動範囲が同じだった。
別におかしいことじゃないだろう。
―広場・露店―
[詳細を語らなかったのは避けたい話題も絡むからと]
[続けられた言葉に仏頂面となったからだった]
[ニヤニヤ笑いに仏頂面を向けて]
何処に泊まっているかを聞かれただけだ。
家での食事にベッティも呼んで、と言われたんだが。
[ニュアンスによって変わる表現を使いながら]
[半眼で少女を見下ろした]
断ってくるべきかね。
貴重な家庭的な食事の機会になると思ったが。
本人にそのつもりが無いんじゃな。
[そこまで言うと奥に下がり背を向けた]
[話を聞かない振りをしたりと大人気なかったかもしれない]
…俺がなんか力になれっかなって思って言ってんのに
なんで喧嘩腰なんだよ…
[ヴィリーの言葉に、目を伏せて肩を竦め手を天へ向けて
まるで年配者のような大仰な振りをする。
それから言われた言葉には、首を傾けて]
あー、その噂かぁ。
自警団が頑張ってるって聞いてるけど、
爺っちゃんが信頼できないクチ?
[言ってから、はた、と動きを止め。
マフラーを引き上げて口元を隠しながらきょろと周りを見て]
なんか、情報合ったら買ってくれるクチ?
[声をひそめた。]
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