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[─割り当てられた部屋の中。頭上を舞う12枚の紙。
その一枚が糸を切られた短冊のようにゆらりと落ちる]
あぁ、始まったんだね。
そして、一つ…終わった。
さよなら、オーフェン。
[床に舞い落ちた紙の結合した繊維が少しずつほぐれ粉になっていく。それを一滴指で掬い、口に含んだ
─見上げれば頭上では更に二枚の紙が舞う]
…次に終わるのはどっちだい?
[数刻前に会話を交わしたシャロンの姿が目に浮かぶ]
願わくば、君に『紙』の加護のあらん事を。
気配がハッキリしない以上は、
――白の姫君を追った方が、事が明確に成るかも知れませんし、ね。
[ディーノの、溜息交じりの言葉に小さく言葉を返して
ジョエルの返答に了解の意を応えると、
走り出す相手を追う様に、其の後へ続き部屋の外へと]
[小型の拳銃は見る事が出来ない。故にその黒の手は、それまでの手に撒きつこうとした。
紅の視線はもう一人に。
――そしてその先の出入り口に。
自ら受けたその様子に、僅か警告を覚えるも。
此の状況で此処に留まるのに良いことは、無い。]
ッ!
[足を下ろしたそのままに、もう片足は踏み出して――其れは隙を突いたように、何とか退路を切り開いたようには思えたのに]
……ああ……確かにね。
[マイルズの言葉に、一つ頷いて]
……裏目に、出ちまったか……。
[呟く言葉は、微か、苛立ちを帯びるか。
ともあれ、右手の時計をどこへともなく隠すと、二人に続くように、部屋の外へ]
―円卓会議場―
[十三宮のメンバーは誰一人おらず、警戒されないようにとひとまずはメイドに軽い食事を頼み。何気ない調子で世間話を交えながら他に誰か来なかったかと問えば目的の人物の名。エドガーの部屋を聞かれたと答えられ。表情は変えぬまま。]
ん、ありがとう。
[礼を述べたその時に、二つの大きな気配のぶつかり合いが届き、唇にそっと人差し指を当て。]
あぁこれは……彼ら?
[くすくす笑う。理性では無駄な損傷は避けた方が無難とは思いつつも、本性は其れを望んでいる。
ぶつかり合う気配をBGMにして、ゆっくり食事を楽しんだ。]
終わった、か……私の出番、ね。シャロンのことは後回しにしましょうか。
[口元をナプキンで軽く拭い。]
ご馳走様。
[かたりと席を立ち、手をひらひらさせながら、円卓会議場を出て行った。]
[触手が...を狙うが、銃撃を受けた上、本体が視認出来ていない為動きが鈍い。]
[と、シャロンが「味方」を挟んだ位置から飛び出した。射線が通る、シャロンには見えていない。]
[一瞬でその無防備な急所を照準、微塵の躊躇もなく引金を引いた。2発。]
[一度自室に戻り扉を開ければ、差し込まれたメモがひらり落ち。拾い上げ確認すると、灰皿の上で燃やし尽くして。その後、気配がぶつかり合っていた方へと向かった。]
―→オーフェンの部屋―
[――だから、銃は嫌いだ。
ぷつりと体の中に這入って来る其れ。幾ら小さくとも衝撃は伝わり、体がぐらりと崩れた。
銀のチェーンのその下。小さな銀のメダルの裏側に、小さく折り畳まれたカードは在るのに――せめて此れだけは守らなければと思うのが、意識としての最後か。
其の時、反応の遅れた黒の手は、今までの様に彼女を守りはせず、
只、ほんの微かに照準を外させただけで、殆ど変わりは無いのだった。
止めなどささずとも、もう――其の体に動く力は無い。声を出す事も出来ない。
ただ黒が僅かに震えて、床に根を下ろす。カードを取られないように――其れは殆ど力を成さないのに。]
[せめて、誰だったか位、教えられればと、
若しかしたら其の時に考えたかもしれない。
只、其れが叶うほど命は残らず、
口唇から頭から背中から紅は零れ、紅の瞳よりも彼女を染め上げる。
胸元の紅い花は、甘い血のにおいに埋もれ。
もう、指先も動かないのに。
見開かれた紅の瞳は――其処を映して]
[猫は走った。ひたすら走った。
飼い主ではない、ただ一人の心から認める友の為に。
それは猫の持つ野生の勘と言うものでしかなかったのだけれど、ただただ走る。
やがて、かすかに扉の間の隙間を抜けて彼女の元へと辿りつく。
一歩、二歩、と歩き出し。
ゆっくりゆっくり彼女に近づいた。
生きているのか、死んでしまったのかもよくわからなくて、とりあえず猫は彼女の頬をぺろりと舐めた。
彼女が生きているなら、きっと喜んでくれると思ったのだ]
[ノブの動きに変化はない]
はぁ。こんな事ならシャロンについてた方がよかったかなぁ?
[そんな事を呟きながらぼんやりしていると、唐突に二つの殺気が膨れ上がった。
はっとして、そちらに向かおうか迷っている間に、殺気の一つは消えうせた]
……誰か死んだのか?
いや、死んだな……。ったく、これだから殺したがりの死にたがり連中は……。
「レッグ様」
ナナエか。誰が逝った?
「オーフェン様にございます」
[あの、何処か寂しげな少年の顔を思い浮かべ、大きく溜息をついた]
どうせなら年寄りが死ねってのなぁ。
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