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結界の内側?
まだ暴れておるのか?
[別方向の心配が頭を擡げる。何かを探しているのかと訊ねられると]
ギュンターはどこへ行ったかと思うての。
流石に竜郷の様子を見に行かねばなるまいて。
[ティルに対しそう答える。ミリィからの返答には]
なるほどの。
結界の式はブリジットが調べておるようじゃが、芳しくないようじゃのぅ。
全て読み解くにはかなりの時間を有しそうじゃ。
……暴れるのは、とまんねぇんじゃねぇかな……。
[ぽそーり、と呟いた。
思うように動けない事もさる事ながら、自由に飛べない、というのは義兄にとってはかなりのダメージのはずなので]
ああ……ギュンターの爺様なら……。
[それから、告げられた名に結界の方を振り返り]
十中八九、こん中……。
[告げる言葉はため息まじり。
結界の話題に対しては、ユーディットからの説明が入るだろうか。
どちらにせよ、説明はあちらに任すしかないのだが]
[疾風の竜に同意されれば、一度顔を綻ばして笑うけれど
こほん、と咳払いをして顔を引き締めた。
それでも逆の手は手に擦り寄ってくれるピアを撫でていたのだけれど]
いえ、勿論冷静に考える事もしますけれどね。
[んん、と咽を鳴らしつつ、
考えても判らないなら動いてしまえ、と思う迄の時間はとても短い事は黙っておいた。
それから、ザムエルの方を向き言葉を聞いて、ふむふむと頷いた。]
竜郷の様子を。
そうおっしゃられておられる随行の方も何人かおられましたが、私は此方が心配なので此方を見ていようかと思います。
雷が竜は、各地に散らばっておりますし…何かあれば、雷光となって直ぐにはせ参じられますから。
何でも在り得る、のですか。
それで無差別に…困りました。
諸事に対応できる方が減るのはよろしくありません。
……養父が。
[影輝の竜より齎された言葉に、固く唇を引き結んだ]
そう、ですか。
そうきましたか。
[ミリィに撫でられ、ピア、ご満悦。
そうやってるとごく普通の小動物にしか見えず、とても風獣王の末娘には見えない、というのはさておき]
オレは、考える時間も惜しむ方かもなぁ。
[黙っていた部分が聞こえていたら。
多分、似たもの同士認定していた事請け合い。
もしかしたら、だからこそ、ピアが気を許すのかも知れないが]
―常闇の洞―
[仔らを寝かしつけようと、そっと部屋に押しやった。
奥方には、いつものごとく、いつものごとくであった。
何がされたなどとは、オトの口からは語られまい。]
[闇はオトにとって安らげるものであった。
が、その闇に何か他のものがあるような気がして、すっと目を凝らした。]
……生憎、私は唯の影ですゆえ。
判じたのはティル様であり、私は聞き及んだのみ。
ですが、姿が見えないのは事実です。
[ 揺らぎはなく、淡々とした声が紡がれる。]
ひとまず郷に戻られる方、
残って探知を続けられる方、
様々におられるようですが……
「不機嫌」の影響が何処まで広がることやら。
―命竜王の宮殿―
[逃げる、という手は生命の素の真隣では流石に使えず。
あそこに居た命竜勇士一同のおかげで、大蛇もどきは何とか排除できた。
現在は、傷ついた命竜の治療にほぼ一人で当たっていた。
この方が効率がいいからなのと、ここを離れれば残った命竜で対応させねばならないため、彼らの体力温存を兼ねてだ。
ひとしきり、終えた後で溜息一つ。]
…あー。で。
以後あんな黒くてふよふよ浮いてるよく分からんものには触るな。触れなきゃアレは襲ってこねぇからな。
とくに生命の海付近では注意しろ。
絶対に、アレを海に入れるんじゃねーぞ。
あとそれから、琥珀のカーテンの様子を…それと、海の管理についてだが。
[何か引率の先生みたいな事言ってるなと。
他いくつかの、注意事項を口をすっぱくして伝えておいた。]
……停滞を嫌うお方じゃしのぅ……。
地竜王様も対処はしておるとは思うのじゃが…。
[対である己が竜王が必要以上に暴れぬよう抑えていると願いつつ。続く言葉に一瞬思考停止]
……何じゃと?
何ゆえあやつがこの中に…。
[外は強固な結界。如何にギュンターが力を持っていようとも、容易に破れるものではない。思考を巡らせていると、ユーディットから結界についての更なる説明が入り。張られた結界が複雑である理由と、虚竜王が不機嫌であることを知る]
……何となくいやーな予感がするのは気のせいかの。
ふむ、他にも危惧しておる者は居るか。
儂のところも各地に散らばっては居るし、あやつも留守居役として残っておるから大丈夫だとは思うのじゃが…。
この目でも確かめておきたいしの。
[ミリィの言葉にはそう返し]
ここに残る者も居た方が良かろう。
この事態じゃ、ここを空にするのもあまり良くない。
ああ。
部屋に入って下さい。ね?
[すぐに戻して、仔らをちゃんと寝かしつける。
荒事にある程度は参加していて良かった。
部屋に入るなりに張った闇の結界は、ちゃんと外を隔離してくれている。]
不審なものは、近付かせられませんからね。
[暫くしてから外に出たとき、それは既に無く、とりあえずは奥方の部屋へと行った。
そのまままた捕まることになるとは、当然ながら考えるはずもなかった**]
―― 東殿・食堂 ――
[竜達の影も減った食堂で、珍しく大人しく考えに沈んでいると、天聖竜がやってきて、かなりアレな伝言をノーラに伝えるのが聞こえてしまった]
…虚竜王様の不機嫌で無差別取り込みって…
[口あんぐり]
それ、揺らぐ者の干渉よりタチ悪くないですか?
[あーあ、言っちゃった]
…古くから居るモノの「勘」という奴でしょうか?
このエミーリェにもとても「いやな予感」が付き纏って仕方ありません。
[上機嫌に見えるピアには、思わず頬を緩めてしまいながら、ザムエルへと言葉を紡ぐ。
手はピアに伸ばしたままふぅと何度目かもう判らない溜息をつき]
当たらなければ、良いのですけれど。
[なんとなく何処かで、当たってしまうような気はしていたのだけれど。]
……めーわくかけるよな、ウチのバカ兄貴ってば……。
[妙にしみじみと呟いて]
少なくとも、自分で入った訳じゃないと思う。
時空の姉さんの話とも合わせると、恐らく、結界張ったヤツに押し込められたんだろね。
ちょっと前に、なんていうか……風が、不自然に揺らいだ感じがしたから……それが、関係あるかはわかんないけど。
[未だ、察知に至った由縁には思い至らぬため、曖昧な説明をして]
んー、気のせいじゃない、と思う。
なんかこう……ざわざわするの、抜けてねぇし……。
[言った矢先、ざわりとした感触が増した気がした。
瞬き一つ。
視界を何かが横切った。かも]
……。
五分五分か、それよりちょっと悪いくらいじゃないかな。
[ 機鋼の竜に対する言葉は、僅かもフォローになっていなかった。]
結界の内にあるってことは、外にはそんなに漏れないだろうし。
結界が解ければ、機嫌も直るだろうし。
多分。
[ 真実か否かは、虚竜王のみぞ知るといったところか。]
えぇ。
私で何らかの力となれるかは判りませんが、出来る事は全て致しましょう。
[ザムエルの言葉に、伸ばした背筋をもう一度伸ばしなおす。
チャリと肩から出た鎖が音を立て――ティルの言葉に、腰を落として瞬間臨戦態勢を取った。
目線を素早く回りへと向ける。]
…今、何か…――飛んで居る?
[ピア、こてし、と首かしげ。
こっちも相棒同様、何か感じているようです]
当たんなきゃいい、って思う事ほど、よく当たるよね……うん。
思うからそーなる、とか、たまに聞くけど。
[言いつつ、こちらも『風雷棒』に手をかけて]
やっぱ……なんか、見えた?
[確かめるよに、ミリィに問う]
今までの経験からと言うのもあるじゃろうな。
[ミリィも「いやな予感」を感じていると言う。おそらくは、当たってしまう勘であろう]
風の気性そのままであるからして、致し方ないとも言えるがのぅ。
[嵐竜王に関しては苦笑を禁じ得ない。ティルにそう返しながら]
ふむ、結界を張った者……「揺らすもの」、か?
もしくはその干渉を受けた者じゃろうかの…。
不自然に揺らいだ、となると、何かしらの影響を受けておるのかも知れんな。
[右手で顎鬚を撫で、いつもの考える体勢に。老いた眼に横切る何かが映ったかは定かではない]
[胸に手を当てる。微かな揺らぎはすぐに消えた]
ここでギュンターが姿を隠せば、事態の収拾はより長引きかねません。自ら姿を眩ますようなことは、滅多にしないでしょう。
それにティル様は違和感を感じているとのお話があったような。
私にも他に判断の基準がございません。なればそれを仮定とさせていただこうかと思います。
[静かな声で返すと、外を見た]
不機嫌の影響…。
これ以上大きくならずに在れば良いのですが。
[それが既に出ていたりするのはまだ知覚の範囲外で]
[そうしてようやっと帰路についたのは、大分時間が経った後。
帰りも、転移を使い、帰った先は。]
―西殿・結界付近―
うぉっ、ここに出たか。
…よー。
[結界前に居た竜に、力なく片手を振った。
珍しく、疲労の色が濃い。]
……。
身も蓋もありませんね、エーリッヒ殿。
[一瞬の沈黙の後、思わずツッコミのような反応を返した。
しかし否定はしなかった]
ノーラ様の仰るとおりであると思います。
…あれば良いと、思います。
[溜息混じりに言い直した時点で、失礼なのは変わらないだろう]
飛ぶ?
[ティルとミリィの言葉に疑問を口にする。同時に現れたのはクレメンスの姿]
こやつのことかの。
どこか行っておったのか? クレメンスよ。
[ボケた一言を言いつつ、クレメンスに右手を上げ挨拶]
―― 東殿・食堂 ――
確実に三割り増しでタチ悪いですよ。
[ノーラの言葉に対する反駁は真剣そのもの。いっそ苛立っているようにも見えたか]
外からの力ならともかく、虚竜王様の空間を超えた取り込みなんて、俺にも防げ……。
[言いかけて、はたと己の口に手を当てた]
[ザムエルの言葉には頷き、
ティルがロッドに手をかけるのを確認しつつ落とした腰は、あげない。
目は宙を睨んだまま、ティルへと低い声を返す。]
何か…素早くは見えませんでしたが。
ふよふよと…黒っぽいものが。
自由なる事、奔放なる己が性を解放し、常に巡る事で正しき『循環』を促すが、我ら風の『律』。
……とか、カッコつけてるけど、ねぇ……。
[ふ、と一つ息を吐き]
どっちにしろ、爺様が自分から入る手段も、方法もないし。
今、爺様をどうにかしたい、って考えるのがいるとしたら、他にないんじゃないの?
なんでか、まではしらねぇけど。
[言いつつ、意識は周囲の風と同化する。
異変を察知し、対応するために]
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