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[分かたれたもの。それが欠片であろうと、半身であろうと、充分に意図は取れた。
アマンダとミルフィオリ、両者の意外な関係に驚きこそすれ、ミハエルに同情や哀れみは無く、いわば力そのものである精霊のその存在が分断されたときの事を想像しようとしたが到底叶わなかった。その理由を問うこともせず、ただ黙って工房まで歩いた。]
[一つに戻りたいと思うことはあるのだろうか。]
[帰途浮かんだ問いは、夜の静寂に消え]
―南通り・宿屋の一室―
[毎晩遅くに宿へ戻ることを、主人に怪しまれる事は最近すっかり無くなった。
部屋へ入り、朝を待つ間に、驚くべきことに眠りへ落ちる。
極度の緊張の所為か、または急激な変化の所為か
ミハエルは人の器であっても眠りへ着くことは数える程しか無い。
夜が訪れるまで、目覚めずに眠り続けている。]
[じんわりと染み入るように。]
[流してしまわないように。]
[いつもとは違う、チカラの使い方。]
[額を汗が伝っていく。]
[それでも、変わらない。]
[ゆっくりと目を開く。]
……僕のチカラではどうにもなんない、か……。
わかってはいたけども。
それでも……。
―現在/礼拝堂―
良い線までということは、何か入る方法でも見つけたの?
[それは遺跡に、ただ、入るのではない。
封印に入る、という意味を持ち。]
わざわざ入ろうと思っていたのなら、
君も、鍵が欲しかった?
否、違うな。
君は、鍵が欲しかった?
[首を傾げる。]
─広場/日中─
[Kirschbaumを出て、真っ直ぐ向かったのは広場の時計塔。
昨夜、異様な音色を奏でたというそれは、今はそんな素振りも見せず。
刻まれる旋律は心地良く、彼の本質──無限なる刻の虚無を満たした。
そのまま、しばし『記憶』の虚空を彷徨い。
その後、ゆっくりと遺跡へ足を向けた]
─…→遺跡へ─
ー教会・礼拝堂・現在ー
見つけたというか、これならばと思う方法を考えついてはいましたのでね。
[微笑む]
いいえ、欲しかったわけではありません。
[そっと袖を元に戻して。]
[そのまま糸が切れる様にベッドの上に顔を伏せ、深い眠りへと落ちていった。]
[ふわり、春の匂いを感じながら。]
─北の遺跡/夕方─
[今日も今日とて、遺跡は人で賑わっていた。
走り回る自衛団員が何やらぴりぴりとしているような気がしなくもないが、そちらに気を回す余裕はなく。
人気のない奥まった場所で無限鎖を展開し、『陣』を形作る]
―西の桜の大樹・午前中―
本当に大きいのね。
向こうの桜より少し色が強い?
[その大きさに少々圧倒されつつも近くへと歩み寄る。
するとその根元にはぐっすりと眠る人影が]
アマンダ?
……そう、大地の力強いものね。
[傍で守るようにこちらを見る千花を見て]
アマンダはお休み中なのね。
あなたにならば触ってもいいのかな?
[おそるおそる手を伸ばしてみた]
―現在/教会 礼拝堂―
どういう方法だったか、って、聞いてもいい?
もう無駄だけれどね。
[微笑みは絶やさぬままに苗床は尋ねる。
シスターが聞いていることなど、わかってはいる]
欲しかったわけじゃないんだ。
じゃあ、どうしてわざわざ探っていたのか、聞いても良い?
ー教会・礼拝堂・現在ー
[頷く]
いいですよ。確かにもう無駄ですが。
あなたならご存知でしょう、当代の精霊王の継承者を選ぶ際、界の狭間で起こったという精霊珠の暴走のこと。
あの出来事から思いついたのですよ、この世を形作る14の力、その力を全て合わせ用いれば、難攻不落の迷宮も開くやもしれぬとね。
この街には元より強い力を持つ方々が集まりやすい、その中で、これはと思う力の持ち主に協力を願って、道を開けはせぬかと思っていました。
先日オトフリートさんにお会いして、いよいよ叶うかと思ったのですが、ねえ…
[心底残念そうなため息を漏らす]
[時空を超える、探査の輪。
それは刻を見通す紫の瞳を与えられし、虚の申し子たる彼の力の分身。
今は、皇竜の刻印によりその力の大半は抑えられているものの。
その輪を阻める、或いは害せるものなどは、そうは存在しないはず──だったのだが]
……なっ……!?
[不意に、白い焔が『視えた』
真珠を思わせる聖らかな……それでいて、どこか異様なものを感じさせる、焔。
それは空間を舞う輪を飲み込み]
……打ち消しただとっ!?
―今朝・ハインリヒの自宅兼事務所―
[...はドンドン扉を叩くが誰も出てこない]
オジサマ、自分から「朝一番で自警団のところに行く」と言っておきながら、寝坊とかないよー
隊長、起ーきーろー!
[いつの間にか「オジサマ」から「隊長」に呼び方が変わり、「探偵と助手」というよりは「探検隊」と成りつつある。
ハインリヒが起きて扉を開けると、半分膨れ面で座り込んでいる...の姿が見れることだろう]
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