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甘いものがお好きなら、マロンパイもどーぞ。
[ハインリヒの返事ににこりと笑って言いつつ、紅茶の準備に取り掛かる。
その際、広間を覗き込む気配に気づけば、くすりと笑って、白梟をそちらへと。
興味を引かれたか、セレスティンもととと、とそちらへ]
(やっぱりオトフリートさんだぁ。それにユリアンさん?)
[何故こそこそしてるのでしょうか。本人にも分かりません]
(あとは人間の人と…良く分からない)
[分からないと思ったのはユーディトのこと。
でもその属性は何となく感じ取れる物があって。
ちょっとだけじっと見てしまったかもしれません]
[広間へ現れた見知らぬ者には]
あ、どーも。
[何とも軽く言葉を返す。案内をしてくれた輪が青年─オトフリートの手首へと戻るのを見ると、彼がここまで導いてくれたのかと知る]
んー?
[ハインリヒの言葉に指を顎に当てていたが、スッと眼鏡を外すと途端に無感情な眼になり]
……何。ハインリヒ。こっちの方がいいわけ?
私がいる経緯は、恐らくそっちと変わらない。
……理由も一緒かは知らないけど。そもの理由も含めて、ね。
[淡々と事務的に感情なく聞かれたことに返答。]
こんだけ美味しそうな匂いしてれば、十分でしょうに。
[今は見えない三本の尻尾がぱたぱたと振られているのが、判る人には判った、かもしれない]
おや、そちらさん達はお知り合いなのかな?
奇遇ですねえ。
[見知った様子の三人に、少し驚いたようだ]
そうなんですか。でしたらお邪魔するのも申し訳ないですね。
珈琲の時だけ担当することに致しますね。
[にこりと笑ってかえし、ふと気がついたように質問を口にする]
珈琲は不得意なのですか?
ひゃっ!?
[と、注意を逸らしてしまった側からバサリと目の前に飛んでくる影。白い翼が目の前で振られて尻餅ぽてん]
あっ…と、ヴィンター。
お久しぶり?
[そのまま照れ笑いのようなものを浮かべて挨拶を。
後ろからついて来た少年にもぺこりと頭を下げて]
……。
[何故かじーっとお見合い状態に突入]
[そして三度目は、]
[ガツッ、]
[屋根に叩きつけた。]
[透明な壁を殴った時と似た行動]
[しかし枷には傷一つ付きはしない]
[ぱらぱら、]
[代わりに屋根の一部が僅かに削れた]
[振動は然程伝わりはしなかった筈だが]
それはどうも?
[尻尾は見えなくても、気配は感じたらしい。
くすくすと笑いながら、手際よく準備を進めていく]
うん、そっちは任せるよ。
不得意というか……苦手でね。恐らく、美味くは淹れられないと思うんですよ。
[ユーディットの質問には、軽い口調でこう返す]
あーっと、そうだったのか…。
良いお得意さんだったんだが…っと、そんなことじゃねぇな。
てことはここで働いてるって訳でもねぇんだ?
ま、生活に困ってないだけ良いか。
[けらりと笑うがユーディットがここに居る理由は結局分からず。ましてやここがどこなのかの説明も得られていないために推測すらままならない]
おっと、両方頂くな。
[紅茶が出てくる前にマロンパイに手をつける]
んで、ここがどこなんだか知りたいんだが俺は。
[紅茶を準備するオトフリートにそう言葉を投げかけた]
「お久しぶりですね」
[尻餅をついたブリジットに、白梟は悠然と挨拶を]
「…………へいき?」
[セレスティンはと言えば、小首を傾げて、こんな問いを投げかける]
以前仕えていましたお屋敷のお客様です。
知り合いというほどでもないかもしれません。
顔と名前・・・ それにお仕事くらいしか存じ上げておりませんので。
[くすりと意味ありげに笑う]
あ、うん。大丈夫。
[少年には頷きを返して。その奥で先ほど見つめてしまった人が手招きしてくれたのが見えて]
こんばんは…こんにちは?
[時間認識していなかったので、挨拶の言葉は微妙になりつつ。
ゆっくりと立ち上がると広間の中へ。
中に居る人達全員に向けてぺこりと頭を下げた]
あー、いやいやいや。
眼鏡かけてる方が似合ってるね、うん。
[眼鏡を外したミリィが変貌するのに、はっはっはっ、と乾いたような笑いをする]
俺と同じ?
てことはお前も知らないうちにここに着いてたってことか?
理由なんざこれっぽっちも心当たりがねぇぜ。
[オトフリートと知り合いらしい青年─ユリアンの声が聞こえれば]
ああ、奇遇で済むんだか知らないが、顔見知りではあるな。
ご自分の苦手なものだと上達するものでもありませんよね。
わたしもそれほど上手に淹れられるわけではありませんが、鋭意努力はしてみようと思います。
珈琲のお好きな方が来ているのでしたら、ですけど。
器具は一応あるんでしょうか?
[首をかしげ]
[紅茶を淹れる、その時だけは『加速』は用いない。
これは、細かいけれど決まり事。
程なく、独特の香気が漂うか]
……ここは、『機鋼界』。
十五番目の精霊界。
どうやら、そちらも無差別呼び込みに巻き込まれたご様子で。
[ハインリヒの前にカップを置きつつ、問いには簡潔に答えを返す]
[マロンパイに齧りついたところで新たな人物が広間に入ってくるのが見えて]
(もごもごもご
[租借しながら頭を下げた。一口分食べ終えると、少女の視線がマロンパイに注がれているのに気付き]
…食っても良いんじゃね?
[テーブルに並ぶマロンパイを指差した]
「だいじょうぶ、よかった」
[ブリジットの返事に、従魔は小さく呟いて。
それから、ふい、と上を見上げてどこかへと駆けて行く]
……セレス?
[それを訝りながらも、ブリジットに視線を向ける時は、そこにあるのはいつもの笑み。
最後に会った時は、未だ右目が癒えぬ時だったか、と思いつつ]
や、お久しぶり。
……一人、かな?
ええ、ここへは少し前に来たばかりです。
呼ばれていたようですけど、詳しいことはわかりません。
旦那様は満足して亡くなられたようですから気になさらずに。少々、高望みが過ぎたようではありますが。
でなければ命を落とさずにすんだでしょうに・・・。
[ふぅとため息をつく]
……そ。
[これまた無感情にそれだけ言うと、再び眼鏡をかける。途端、もとのにっこりした顔に戻ると]
やー、よかったよ。ハインリヒさんがお仕事モードで喜ぶMじゃなくて。
[……何気に酷い。]
[強い疾風の精霊力と、どこか異様さすら感じる翠樹の力、二人はまぎれもなく人間で、しかしその精霊力は、彼にとっては親しみ深いもの。そしてもう一人は…人、に見えはするのだが]
『びみょー、つか、この隠し方は逆に人間じゃないっぽいー』
[密かに断定]
[ぷらぷらと左手を振る]
[しゃらりと鳴る鎖の音]
……。
[手首の枷は軽くは無い]
[足首の枷の重みも同様に]
[外すのは諦めたか腕を下ろして空を見上げる]
ああ、調理機材や食材は一通り。
[どっから集めてきたんだか、というのは置いといて]
苦手とかってレベルを超えてるせいか、俺は全く上達とは縁遠いんで、ね。
[ひょい、と肩を竦める。
ユーディットが何者であるか、は特に気にかけてはいなかった。
……得体の知れないものに興味を抱いた場合、それが魔族だとロクな目にあわない、なんて思っているかも知れないが]
あ、はい。ありがとう。
[ハインリヒに示されればちょっと嬉しそうに頷いて。
空いている席の一つへと向かい]
オトフリートさんもお久しぶりです。
…うん、一人…。
[はぐれてしまった相手を思い出し、声は尻すぼみに。
不安は二つ。傍に居ないことそのものと…後で怒られそうなこと]
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