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─ 自宅 ─
[聞かされたのは、母のこと。
母が死んだ理由。
それは母が、自衛団長と同じ、結社という者だったから。
結社員である母は、人狼騒ぎの中で出会った父と二人、生き残って。
娘を産んですぐ、結社として向かった先で命を落としたのだと。]
おとうさん、もう、いい。
もういいよ、ねぇ。
[今まで聞かされたことはなかった母の話。
母のことは聞いてみたかった、知りたかった、でも今話している父の顔は、痛そうで、悲しそうで。
もう話さないで欲しい、そう思ったからもういいと言ったけれど。
まだ話すことがあると、父は話すことをやめなかった。]
―回想―
[自衛団長の話が進むたび、表情は変わらないまま瞳には剣呑な光が宿る。]
ふざけんな。
[低く低く呟いた言葉は本音を滅多に吐き出さぬ青年の本音。
宿屋に集まった全ての人が青年と同じ感情、というわけではないけれど。]
……ん、あぁ、わかった。
ロミちゃんにはホットミルクあげるよ。
[エーリッヒの言葉>>333に、そちらへ視線をやって笑みを浮かべる。
平静を保てていたかは青年には分からないが。]
[ブリジットと同じ方向に顔傾けつつ
チラと視線の端に彼女の髪が舞うを見て。
思わず、手の平を縦にして指を広げ、挟もうと手を伸ばす。
背を伸ばすような動きにバランスを崩してたたらを踏み、
数歩の先にヨハナの優しそうな笑みが見えたのだった]
あ、あの、あ、いえ…
な、なな何でもない、でです。
ブリジットも、う、うん。
[止まった時、両手で裁縫箱を抱えてしまったから
伸ばした手は結局淡茶を掴む事出来なかった]
(――団長夫人が此処に居るのは、ある種の担保だろうか)
[人狼の嫌疑者には人質として。村人に対しては己の公平さを示す証として。ヨハナは捧げられたのかも知れない。
老女が辛そうに零す吐息に、そんなことを思う]
くれぐれも、気をつけて。
[そして、自宅に戻ると言うロミを見送りながら]
……全く、こんな可愛らしい人狼がいるものかね。
[感じる遣る瀬なさに花飾りを握り締め、誰にとも無く呟いた]
― 広場 ―
[無言だった。視線が如実に、エーリッヒの頭に文句を言いたげだった]
動いてもいる、食ってもいる。
後は何が必要なんだ。
[両親共に小さかった、遺伝だろうなんて事は自分では認めない]
どこの刺客だお前。
つってもすぐそいつだって分かるとは思えないけどな。
[齧った痕跡は、鼠とも間違えられるのではないかと、
真面目に予想して。
そして悲観的な予想に、エーリッヒの体を上から下まで見た。
見た挙句に、神妙に頷いた]
うん、
お前はやめとけ。
─ 自宅 ─
[結社として向かう事が無かったとしても、母が生きていたとしても。
娘を守る為に、母と共に暮らすことはできなかったと言われた。
母から託された、たった一つの望みが守れなかったと泣きながら父が話す。
他にも、母の人となりとか、どんな見た目だったとか。
ぽつぽつと、父が話し終えるまで、娘はただ、黙って聞いていた。
けれど、今朝、家を出る前に誰にも見せてはいけないと言われたもの。
その理由については、聞いても教えてはもらえなかった。
見せてはいけないと言われた、胸に咲く薔薇のような痣の持つ意味も。]
─ 地底湖 ─
[しばし、翠を伏せて物思いに沈んでいたものの。
結局、答えにはたどり着けなかった]
……これから、何かが起きる、って、決まってるわけでもないだろってのに。
[行き着いたのは、逃げの思考。
何もおきなければ、もしかしたら、変わらずに済むかもしれない。
理知の側面はあり得ないと否定する。
けれど、感情の側面は、それを求めたいと願っている。
まとまらない、感覚。
それを振り払うように、頭を思いっきり、水に漬けた。
そのまま、息が続かなくなるまで、文字通り頭を冷やす]
だ、大丈夫、です、あ、あ、あありがとうございます…
[動きを止めてから、ヨハナをじっと見詰め。
ゆるゆると、口を開く]
…あ、あの。こ、こここ、に、いるということは、。
よ、容疑者みんないるな、ならば…
じ、じ自警団長のは、話からす、すれば、
人狼と、い、一緒に、い、いるって、こと。
…ヨ、ヨハナさんは、こ、怖く、
な、無い、ですか。
[辿々しい口調で、機織師へと言葉を投げる]
[こうやって頭を冷やすのは、細工にかかる前の精神統一としてもよくやるもの。
息が続かなくなった所で頭を上げて、強く首を振る事で水気を飛ばす]
……ノーラさんの玉の清めは、もう少ししてから、だな。
俺自身が落ち着いてないんじゃ、どうにもならんし。
[壊れた腕輪は、道具一式と一緒に持っている。
頼まれた方を作り上げるのが難しいなら、こちらに先にかかるのもありか、との思いから持ってきていたもの]
……今日は月。
出るかねぇ。
[そんな呟きをもらして。
黒髪を濡らしたまま、ゆっくりと歩き出していた]
─ 自宅 ─
[父が話し終わったのは、どれくらい経ってか。
長かったようにも思えるが、時間としてはそれ程でもなかったかもしれない。]
おとー、さん。
私、ちょっとお外、いってくる。
[娘を見る父の顔は、酷く苦しそうなままで。
父のそんな顔を見ていたくなくて、父の返事も聞かず外に飛び出した。]
─ →外 ─
[家へと戻る、と言うロミに眼を瞬かせたものの。]
……ホットミルクは後で作ればいいか。
[ぽり、と頭を掻いて。
紅茶を淹れようと厨房へ向かいかけた所で、ヨハナの視線>>436に気付くと]
いくらでもいていいよ、ヨハナの婆ちゃん。
ヨハナの婆ちゃんの家から、ここ来るのも面倒だろうし。
[と、気楽に返答をし。
母親も、「いいわよ、何人でもいらっしゃいな」と、笑みを浮かべて答えた。]
いつもの部屋あいてるかしら。
[何年も前に家出する度に使った宿屋の部屋。
宿代は出世払いと言われたのに
稼げるようになった今でも女将に受け取って貰えていない]
きいてくればよかったわ。
――…どちらにせよ、また宿屋にいかなきゃ。
[ギュンターの言葉を思い出せば
憂鬱な気分になってしまう。
ふぅ、と溜息にも似た息を吐き出し
トンネルに背を向けた]
―宿屋―
[視線を向けられました>>429が、僕にも何だか分かっていなかったので、そのままお姉さんの方を見ます。
髪の毛が舞った時には団長の奥さんの方を見ていましたから、その時の動きには気が付けませんでした]
……。そっか。
[何でもない>>433と言われたので頷きました。
彼女の話し方はいつものことなので、特に気にも止めませんでした]
─ 外 ─
[外に出たはいいが、行くアテも用事もあるわけではない。
昨日の雨で畑の花や果物が傷んでないかとか見ておきたかったけれど、父の側にいるのが今は辛かった。
だから、どこに行くでもなく、とぼとぼと歩いて。
周囲から聞こえるひそひそとした声の中に、自分の名前が入っていることに気付き、足を止めた。]
[ゲルダのとつとつとした声に、
口にした答えは凪ぐように静かだった。]
…そうねぇ。私も人狼は怖いわ。
御伽噺も勿論知っているし。
あの人から人狼の話を聞くたびに、怖くて震えて…眠れなくもなったわ。
[あんまり怖がるものだから、そのうち仕事の話を全くしなくなったわねぇ、とは少し目を細めて口にして。]
でもねぇ…。
私が本当に怖い事は、人狼じゃないの。
だから…まだ少しは落ち着いていられるのかしらねぇ。
くっそ、今に見てろ。
[文句は子供染みた物。
エーリッヒの身長を親の仇のように睨む
――が。
諦めたように、すぐに溜息に変わった。
笑うのは、少しばかりじとりとした視線が向かった]
あぁ、大丈夫。
気をつけるわ。
まー、見に行くだけだしな。
[しゃーねーな、と口元には笑み。
案じられるのには、素直な頷き]
そんじゃ、今から行ってくるわ。
早い事水が引けば良いんだけどな。
あ、婆ちゃんはいいよ。
これ、重いから。
[どうせなら全員分淹れてしまえ、と半ばやけ気味に、
紅茶を淹れるセットを持って出てきて。
気持ちの乱れがお茶の味や香りに影響する、と半ば経験で知っているから。
出来上がったカップから、いる人へと差し出していく。]
―宿屋―
……。うーん。
絶対いない、とは、言い切れないよね。
[呟かれた言葉>>434を耳にして、今度はその人を見ました。
村の人ではないけれど、よく見る行商人さんです]
御伽噺だと、弱そうに見える人が実は……っていうのが、多かったみたいだし。
[ちらと、扉の方に目を向けます。
僕より2つ下の子が外へ出て行ったのは、つい先程のことでした]
……でも、違って欲しい、とは思うよ。
─ →宿屋 ─
[髪を濡らして地底湖から戻る様子は、村では既に馴染みの光景。
子供の頃はうっかり全身ずぶ濡れもあったのだが、それは余談としておいて]
……よ。
[宿に戻れば、未だ解散には至らぬ様子。
中にいる顔ぶれを見回して、それから]
あー……俺にも、お茶くれ。
[荷物を下ろしつつ、茶を淹れているアーベル>>452に声をかけた]
わ、私、は。
[ヨハナの言葉に、裁縫箱を抱えたままじっと立ち尽くし。
見詰められる視線から逃げるように俯いて、
足元へと目を落として――小さく、言葉をつむぐ]
い、色々…こ、こわい、で、です
人狼も。
こ、ころすことも、うた、たがうこと、も、
ころ、されるこ、ことも、疑われ、るこ、ことも、
そ、そ
それ、に。
[言葉は、いったん止まる]
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