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[小さな前足を出されて、一瞬きょとんとする。
だがすぐに笑って]
おはよう、千花。
あなたが元気なら、アマンダもきっと元気になるね。
でも、せっかくゆっくりと休んでいるのを起こしちゃいけないから、私はもういくね。
[ひとしきりその頭を撫でてから、そっと立ち上がると千花に手を振って、町の方へと歩き始めた]
ー教会・礼拝堂・現在ー
探していたのは、封じ直すため…いや、いっそ消滅させても良いかと思っていましたよ。
何しろ、迷惑きわまりないものですからね。アレは。
−午前・西の桜の大樹−
[アマンダはやってきた少女にも気づかず、昏々と眠る。
千花は影輝の精霊を無害と判断したのか、友好的に見つめている]
「チチッ」
[千花は気遣いを見せて去る少女を、円らな目で見送った]
んぁ……。
[大きなあくびと共に目を覚ませば、ベッドは既にもぬけの空で。]
だぁ……やっぱ慣れないコトはするもんじゃないな。
…無理しなきゃいいんだけども……。
焦りたくなるキモチはわからないでもないけど、ね……。
[ぽつり、呟いた後、重い身体を引きずるようにシャワーへと向かった。]
……あり得ん……いや……確かに、天聖の力を用いれば、時空の力に干渉し、打ち消す事もできる……が。
[焔に飲まれて消えた無限の輪。それを思い返しつつ、低く、呟いて]
だが……いかに封じられ、制されているとはいえ……この俺の力を打ち消せるだけの天聖の力を操れるものなど……。
[そうは、いないはず。
そして、無限の輪が何であるか、知っている者となれば、自ずとそれは限られ]
……まさか?
いや…………考えられなくはない、な。
彼の属の領域、それが示すのは……。
―現在/教会 礼拝堂―
あぁ、あのときのことだね。
知っているよ。わざわざ見に行こうとは思わなかったのだけれどね。
[思うは影の王の姿か。しかし苗床はすぐにそれを消し、話の内容を聞き始める。]
確かにすべての属性で行えば、封も解けよう。
だが、それにもかなりの力を使うだろうね。
そのとき、封が解けた書を封印するなどと、君にはできると思っていたのかい?
少なくともそれはとても危険だと、言わざるを得ないね。
―夜・南通りにある宿屋の一室―
[眠りに落ちていたという事に驚いて、暫し呆然としていた。人間で言えば”寝惚ける”という感覚にあたるのだろう。
既に陽は落ち、気温が下がったのも手伝って室内には冷気がわだかまって居た。睡眠中の力の統制が取れて居なかったようだ。]
[身支度を整え、部屋を出る。
これまで朝の早かったミハエルが夜まで部屋へ居た事に、宿の主人はまた驚いていたようだ。]
……さて、どうしたものか。
確証は、ない。全ては状況からの推測。
その上……。
[茜から、色彩を変え始めた空を見上げ]
……真面目に問い詰めようとしても、するするするするかわすのだきゃあ上手いからな、あの愉快人。
[愚痴る瞬間、思いっきり素が出た]
[クレメンスとティルの問答を静かに聞いていたが]
……では、神父様にはあれを消滅させる算段もあったと?
[その視線は刺し貫くように鋭く]
―中央広場・現在―
[あれから町の中をまたぐるぐると歩き回り。
見れなかったのは一箇所。北の遺跡。
ちょうどそちらへ行こうとした時には自警団員がいて、少女の姿を見ると来てはいけないと追い払われたのだ。
仕方がなしにそのまま森の方へと抜けたのだけれど]
何かあったのかな?
おじさまに聞けば分かるのかな?
[彼の仕事場は南通りにあったのだったか。
この後Kirschbaumで会えればその時に教えてはもらえるだろうが]
どうしようかな?
[水路の石段に腰掛けて、ぼんやりとそんなことを考えている]
−現在/北東部・墓地−
[さすがに夜ともなると、肌寒くなってきます。くしゅん、と嚔が零れました。]
ずいぶんと、時間が経ってしまったようだ。
[春とは云っても、お日さまが沈んだ後まで居ては、からだが冷てしまいます。小さなてのひらに、はあっと息をかけました。くるんと向きを変えると、服がふわり風に揺れました。いつもなら、「Kirschbaum」に行くか家に戻るのでしょうが、今日はどちらの気にもなれなくて、ひとりで道をあるいてゆきます。]
ー教会・礼拝堂・現在ー
[危険、という言葉には肩をすくめる]
そうでしょうか?
[それから、くすくすと笑う]
いや、実は、一度、混沌の王や秩序の王の気配に触れてみたかったという好奇心があったというのも事実ですが。
そうですねえ、もし危険であれば、誰か強い力のある人間でも一人か二人、そのまま封印に使ってしまえば何とかなるのではないかと思っていましたよ。
[浮かぶは、魔の笑み]
…………んあ?
[扉を叩く音。
ソファから飛び起き、懐の懐中時計で時間を確認。]
寝過ごした!
[慌ててドアを開け、入口のユリアンにひたすら平謝り。]
すまん、マジにすまん。
……どうも、昨夜のアレが影響していたらしい。
[ベアトリーチェやエーリッヒ、アマンダと違って自分自身には
影響がないものと思っていたのだが。
地味に痛いタイムロスだ。]
[シャワーで調子を整えた後、階下へと。]
[ラム入りのアイスコーヒーを飲みながら、自分がいなかった間に話された事をマスターから聞き。]
……さぁて。どうすっかな。
戻ってくるのを待つか、それとも……。
[思案にくれながら、ぼんやりと庭先の薄紅を眺めていた。]
―広場・現在―
[広場まで出て、漸く様々な事を思い出す]
嗚呼、そうだ。書が………奪われて。
[安直に、遺跡を目指すことにした。北通りへ、ふらりと足を向ける。人波は既にまばらだ。]
−午後・西の桜の大樹−
[アマンダの力が幾分か回復した頃には、千花も少しうたた寝していただろうか?]
「…アン?」
[やがて掛けられた柔らかな声に、千花が糸みたいな寝ぼけ眼で見つけたのは、小さな翠樹の姿。
アマンダは彼が来て喜ぶ樹の気が心地よいのか、深い眠りのまま。
彼の手から木の実を貰ったりしつつ、桜の樹を見上げる姿を一緒に眺めたりしていただろうか。
やがて彼が去った後。
心地よい気が消えたからか、アマンダもゆっくりと*瞼を開ける*]
―今朝・ハインリヒの事務所―
[やっと出てきたハインリヒに]
この借りは昼食おごってもらいますよ、隊長。
早く行こうよ!
[...というなりハインリヒを引っ張りながら走り出す。若い疾風にハインリヒがついていけるか知らない]
―…→自警団詰め所―
まったく、君らしいと言えばいいのかな。僕は。
[一人か二人、という言の葉に、呆れたような顔をする。]
好奇心は猫をも殺す、というだろうに。
君が知らないわけはないだろうに、君も滅びに惹かれるのかい?
乃至、変化、混沌に。
そこまで惹かれるようなものかい?
世界は変わらぬままにあればこそ美しいものであろう?
君一人の我侭で、ひとを封印に使うなど、非道いことを言うものだね。
まあそこが君らしいのかもしれないね。
なあ、ユリアン。
お前は大丈夫か。何も影響してないか?
昨夜のアレ、何か後遺症があるかもしれんぞ。
[何もなければそれでいいが。]
……しまったな。自警団での聞き込みの後、『別の場所』にも
行く予定だったんだけどな。
先越されてるか、そろそろ?
[ぶつぶつと、少々大きな独り言。]
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