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[家に帰るか、診療所に行くか。
しかし診療所に行けば当然ながら怪我の原因を訊かれる事になる。それは避けたかった。 のだが]
……、荷物忘れた。
[石の袋だけ持って道具を入れたリュックは置き去りだった。
となると、間違いなく騒ぎの源にあるわけで]
…諦めようかな。
[いかんせん、自衛団長の老爺とは相性が悪かった。持ち主が誰かなど容易に知れるだろうから、無駄な抵抗に近いが、身近な問題からは目を逸らしたい。
現実でも騒ぎの方向からは視線を外して、深い緑へと向けた。
まだ目覚め切らぬ森の中に、気配がある]
しかし崖崩れとは団長さんも大変だァね。
か弱い年寄りにゃ手伝えもせんし、後で差し入れでもするかなァ。
[前足で栗の毬を突付いている猫に話しかけると、やる気の無い鳴き声が返った。それを機に腰を伸ばす]
よいしょ、と。
もうこれ以上はあたしゃ無理だよ。
一度帰るかねェ。
[とことこと大通りを歩いていると、後ろから自衛団員が追いかけてきた。
何事か、と振り返ると、崖崩れの現場の近くに置き去りの荷物があったとか。
けが人がいるかも知れないから、治療の準備はしておいてくれ、と言われ]
……あららぁ。
わかりました、それじゃあ、急いで診療所に戻って支度をしますねぇ。
[一応、真剣なのだけど、緊張感がないのは口調のせい……だと思われる]
……それにしても。
[自衛団員と別れ、診療所へと向かいながら小さく呟く]
……やっぱり、かしら、ねぇ。
ねぇ、リーリエ?
[問いに、白い鳥はくるる、と鳴いた。
同意してるのかも知れない。
診療所に帰り着いたなら、天気が荒れる前に往診に行ったきり、戻れそうにない師匠に代わり。
治療の準備に*取り掛かる*]
せめて「さん」は付けろと言ってるじゃろに。
[ぴしりと言い置いて、音の鳴る方へ鋭く目を向ける]
取れたかどうか直に見るがいいさねェ。
あたしゃアンタが隠してる物の方が気にかかるよ。
どうせ怒られるような事しでかしたんだろゥが。
そっちのほうが言い慣れたんだから、仕方ない。
[鋭い言動に、浮かべた笑みはあっさり消えた。
隠す仕草は無意味と知れて、石を左手に受け渡すと、観念して右腕を差し出す。足は逆に、一歩引きかけたが。
落ちて来た石のぶつかった腕には、赤い筋が走っていた。
規模を考えれば、それだけで済んだのも幸運だ]
大した事はないって、腕だけだしさ。
悪運だけはいいらしくって。
仕方ないで何でも済ますんじゃないよ、坊。
まァそんな事より、そっちの方が大事さね。
[逃げようとする仕草に火箸で地を叩き、ずかずかと歩み寄る]
確かに悪運だけはあるさねェ。あたしに見付かるんだからなァ。
……ふゥん。
大した事無いなら、栗が焼きあがる前に診療所に行きな。
団長さんの耳に入る前に娘ッ子に手当てしてもらえばいいさね。
[栗が焼き上がれば告げ口するぞと脅して、左手の袋を見る]
で、それはなんだい?
……ヨハナ婆は当分お迎えが来なそうだ。
むしろ、来ても追い返すな。
[自衛団長から逃れて元機織に見つかったのは悪運が良いのか悪いのか、答えは青年の心の中。微妙な表情が物語ってはいたけれど。
降参、とばかりに肩を竦めた]
ああ、これ? 石だよ、石。
この時期には、魔力が篭ったものが採れるんだ。
細工師も欲しがるから、なるべく早くに採ろうと思って――
わっ、
[鳴き声に退いた拍子、締まりきっていなかった袋の口から、薄い青を帯びた石が一つ零れ落ちる]
……なんだよ、ツィムト。
早く行けってこと?
なァに物騒な事言ってんだい。
あたしゃまだまだこの世に未練があるさねェ。
[団長で脅せば言う事を聞くと知ってる婆は、坊の生意気な言葉も鼻で笑って石に興味を向ける]
あァん、もうそんな時期だったかねェ。
この季節は栗に早生りの林檎と忙しいからさね。
おや、お手柄じゃないかツィムト。
[薄い青を帯びた石にじゃれる猫に声を掛けて、石を拾おうと屈む]
そりゃ、失礼。
ヨハナ婆のがなり声が聞けなくなったら物足りないだろうから、うれしいことだね。
[憎まれ口か本心か、笑みを滲ませながら言う。
皺の刻まれた手の内に収められようとする石を見ても咎める素振りなく]
欲しければあげるのに。
研磨して貰って、首飾りにでもしたら?
[そう言いながら、見るのは老婆ではなくて猫の方ではあったが]
[ふっと、眼差しは緑へと逸らされる]
そうか、林檎も、もうすぐ時期か。
シュトゥルーデルが食べたいな。
[声には少し、ねだるような色が篭められた。
視線を手元に戻すと石を詰めた袋の口を結ぶ。断続的な痛みが一瞬強まって、眉を顰める]
…その前に栗が焼きあがるだろうし、行って来っかな。
はァん、アンタも言うようになったねェ。
どうせならその笑顔で村の娘ッ子でも口説きゃァいいのに。
[噂話が増えるのは婆には何よりの楽しみだと笑い返して、手にした石を前掛けのポケットに突っ込む。エーリッヒの視線を受けて、猫が返せと婆の足元に伸び上がった]
おやまァ気前のいいこった。
はいはい、坊はお前にくれるってよ。首飾りじゃなく首輪にするかねェ。
それじゃァ、あたしゃ栗を焼きに行くさ。
診療所の先生に世話になりたくなきゃ、さっさと隠れて手当てしてもらうんだァよ。
言う事聞くいい子にゃぁ菓子を、悪い子にゃ妖精の悪戯さァ。
[ねだる響きに婆は楽しげに口角を上げた]
そうさね、さっさとお行き。
シュトゥルーデルはさ、林檎が手に入ったらなァ。
話の種は他の奴に求めてくれよ。
町に出たがる娘はいても、森に引っ込みたがる娘は、そうそういないんだ。
[芝居がかった溜息をひとつ落とすと、左の指先に紐を引っ掛ける]
はい、はい。
悪戯も面白そうだけど、今は菓子のほうがいいや。
楽しみにしてる。
[手の代わりに振られた火箸と御機嫌そうな猫の尾を見送った後、濡れた草を踏みしめ、人目を避けつつ向かう先は診療所。自衛団長のお叱りを受けることになるか、内密に済まされるかは、*荷物の行く末次第になりそうだった*]
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