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…Ritterにはなれない。
できるのは一振りのSchwertになることくらいだ。
[一度戻って再び端末を操作する。
自分と彼の残した「祈りの言葉」を知る者以外には開けないように]
タッチダウンまで。
いざという時は道を切り開けばいいんだろう。
…命の対価は命で払うよ。
[最後の言葉は目を瞑って。誓いの響きを帯びていた]
[腰の後ろで手を組み、ゆっくりと大きく踵から地面に足をつきつつ、楽しげに歩く。
階段をゆっくり降りれば、廊下を曲がって玄関から外へ出る。]
いいお天気ですねぇ。
[目を細めて天を仰ぎ、空気の匂いを嗅いだ。]
ま、気が付いて貰えない時はそれまでだ。
[符丁でもある組紐、そしてこのメッセージ。
他に証立て出来そうな物は何も無く。後者は機密に関わるものでもあるから、これ以上の危険は冒せずに]
後は、為るための準備をしておくしかないな。
また不安定にでもなったら目も当てられない。
ただでさえこの身体は…。
[自嘲の笑みを浮かべながら、自室へと*戻った*]
―中央・廃墟郡―
[カツ、と足音を響かせて、廃墟の並ぶ通りをゆっくりと歩んでいく。
かと思えば、気まぐれに横道に入ったり――
明らかに、目的は定まっていない足取り。]
「宝探し」って言っても…地図も無いんじゃ、ただの探索ですよねぇ。
[昨日話していた通り、暇潰しに娯楽の探索に勤しんでいるらしい。
地面に転がる小さな墨消しを、踵で踏んで。
少しだけ体重を掛ける。乾いた音を立てて、あっけなく崩れた。]
[瓦礫を迂回したり、時折乗り越えたりして――如何進んだのか。
ふと、突き当たった今にも崩れ落ちそうな建物の一つを見上げて、
僅か考え込むように、ゆるりと首を傾いだ。
屋外よりは危険が増す気は、するけれど。]
虎穴に入らずんば虎児を得ず、でしたっけ?
…ま、大声でも出さない限り
大崩落なんて事は無いですよね、――多分。
[崩落したら、その時はその時で。
緊張感の欠片も無い響きでけらりと笑って。
その足を廃墟の中へと進めて行く。
天井は崩れ落ちたのか、吹き抜けの様に随分と高い空間。
屋根の隙間から差し込む光を潜り抜けて。]
あははは。物騒ですねぇ。
[いつも通り。
いつも通り、虚空へと語りかけながら歩く。
「ご主人様」と彼女の、秘密の会話。
建物を出てから、近くの廃墟をウロウロとしていたが]
……?
[ふと、音が聞こえた気がして立ち止まった。
キラリ、金色が反射した気がして。]
[誰かに見られていたとも気付かずに。
ゆったりと何かを探索するように歩を進めながら、
ふと、室内の奥に位置する細い階段に気付いて――
数寸思考を巡らせた後、その一段目に足を掛ける。
時折足元が崩れかけたが、何とか無事に上りきって。
ロフトにも似た半二階へと辿り着いた。]
…よ、っと。
[眼に着いたのは、瓦礫の中に埋もれるように、
骨組みだけになった卓上に鎮座する、
金属製のケースに気付いて、ゆるりと翠を瞬いた。
少し大きめのその蓋の表面を、指先でかつりと軽く叩く。]
[警戒心も薄く、光が反射したように見えた場所へと歩み寄った。
廃墟の中、砕けた壁や落ちた屋根煉瓦が目立つ建物、その中から見えた気がして。
中に入るのは少し躊躇われて、外から建物を見上げた。
何か、音が聞こえた気がした。]
…誰か、いるのかなぁ…?
[口の中で呟く。]
…何ですかね、これ。
[開けてみてもいいのかな、と、ぽつり呟く。
尤も、許可を得ようとしたところで、持ち主は既に居ないのだろうけれど。
煤汚れたケースを再度かつかつと鳴らす。
…手に取って持ち上げてみると、意外に重かった。
視線をを手の中へと落として、暫し思案する。]
――…これで開けたら、クリーチャーと戦闘。
なーんて。
[ミミックじゃあるまいし。]
[左掌にケースを持ったまま、それでも暫し思案して。
漸く決心がついたのか――にしては、案外思い切って蓋を外す。
暫く外気に晒されていなかったそれは、ぱかん、と乾いた音を立てて。]
――…フィルム?
[ぐるりと円形に巻かれた黒いそれに、ぱちりと瞬く。
写真か、映像かは知らないが――プラスチックに似た材質のそれは
恐らく呟いたとおり、フィルムに間違いなかった。]
…何で、こんな所にあるんですかね。
[何かの作業場だったのか、ゆるりと首を傾いで。]
[ひょい、と建物の中だけ覗いてみる。
すぐに人がいるわけではないようで――]
?!
[ぱかん、と小さな音が聞こえた。
やはりこの中に人がいるのは間違いないようだが]
…入りたくないなぁ。
[小さく呟く。]
[カツ、と踵と床に音をさせながら、広間らしきところには入る。
ある程度の広さと明るさはあったが、中にいると思われる人物は視界には入らずくるりと回ると]
…あれぇ?
[ふと入ってきた玄関を振り返ると、遠くの方、黒い髪の男が歩いているのが見えた。
あれは、確か]
…ユリアンさん?
[だった気がする。
こちらに気がつく事もなく、まっすぐにうろうろと歩いているようだ。
た、と入ったばかりの玄関から外へと戻る。
埃が、足元で円を描くように舞った。]
[ふわと風がふき、スカートと前髪を揺らした。
建物の中はイヤだったので入らず、ユリアンも見送って、廃墟のあたりをうろうろと*散歩*]
[白銀のケースから、束になったそれを取り出す。
左人差し指を中央の輪へ通して、滑らせるように表面をなぞると、
と或る部分で軽く引っかかった。ゆるく瞬く。]
――ん、
[あった。 フィルムの、始めの部分。
セロテープで止められた端は黄色く色褪せて、
爪先で軽く削れば、難無く剥がすことが出来た。
ただの興味本位。 一体何が残っているのか。
しゅる、と乾いた音を立てて、引き伸ばす。
数十センチ、伸ばした黒のフィルムを翳すと、
天井から降り注ぐ光に透かして]
―――…、
[沈黙。
見えた其れに、僅かに翠を見開く。
一つ喉を鳴らして、息を飲み込んだ。]
――、…下らない。
[ようやく、ぽつりと零れる言葉は何処か冷えて。
ゆっくりと、黒い記録を巻き戻す。
再び、薄汚れたケースへと仕舞い込んで。
金属の蓋を、僅かに力を込めて、はめ込む。
其の中に、見えない何かを封じ込めるように。]
[ケースを、卓上の元の位置へ戻して。
足早にその廃墟を後にしようと、半二階から、階下へと飛び降りる。
固い地面へ難無く着地すると、煽りを食らって砂埃が舞った。
――振動にか、遠くの方でガラリと何かが崩れる音がする。
しかし其れにすら、ゆるりと翠を瞬くのみで。
…周囲のものが、全て彼らの物かと思うと
あまりにも下らな過ぎて、触れる気すら起こらなかった。]
――本当に、
[下らない。
嘲笑うかのように、小さく鼻を鳴らして廃墟を後にする。
荒んだ廃墟を吹き抜ける風が、さらりと金を*揺らした*]
−中央部・廃墟−
[相も変わらず、片手に端末、片腕に鞄、そして学生服という態で歩む。足取りには以前より緊張のいろが窺えるものの、やはり、素人レベル。]
東が湿地帯で、南が砂漠――
一番使えて、難しいのは、やっぱり此処…… かな。
[彼女なりに気を遣ってはいるらしいが、足音はちっとも潜められていない。
遮蔽物が多く、隠れるにはいいだろうが、その前に転んで自滅しそうだった。]
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