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戻る!
[逆方向に全力疾走しようとしたが
マテウスが速足で戻るのに気づき その後ろについた。
たまに 抜かしてしまう程脚は急ぎ気味で。
館についたら 乱暴な音を立てて扉を開く]
おい、誰がもってかれた…っ?!
[声も知らず 上擦る]
[マテウスが先行していたおかげでイヴァンの軌道修正をする必要がなく。
ただ二人の早足はこちらにとっては軽く駆ける速度だったかもしれない。
館に着いたときは少しばかり息を切らしていて、誰が居なくなったのか確認する余裕がなかった]
[先頭に立っていた筈が、最終的にはイヴァンに抜かされ、その後に続くように館の扉をくぐる]
………
[問いたいことはイヴァンと同じだったので、何も言わずに、そこに居並ぶ者の顔を見渡した]
―館内・廊下―
[座り込んだ姿勢でふらふら。
意地を張ろうと思ったけれどやっぱ、力尽きてぱったり]
きゅー。
[謎の声が漏れた。
『秘宝』の力じゃなくても、今の状態に王の力は。
こうかばつぐんだ]
─館内・廊下─
[しばらくきょろきょろ、くんくんと黒江を探し回っていたのだが]
…ごしゅじぃ〜ん…。
黒江、連れてかれちゃったぁ。
[戻って来るなり状況を訊ねて来るイヴァンにしょんぼりした様子で告げた]
[今度は何処に向かうのか、と半ば他人事のように見守っていたそれが、己の処に来るのを悟ると流石に慌てた]
わ、ちょっ……待たれ、
[殆ど反射的に翼を広げようとしたのだが、到底間に合わず。
目の前が金の光に覆われ――]
―館内・廊下―
あ、おっさんたち…。
ハ、ハノスケが連れてかれちまった。
[おっさんらの姿が見えたら、あたいもポツリと呟いたのさ。
エーリッヒが言うのが早かったかもしんねぇけど一応な。]
んで、ハノスケも違うって、ゲルダが―――って
ゲルダ?
[ぱったりしたゲルダに慌てて近づいたのさ。
でも多分ハルナのが早く動いた予感。]
―館―
[息を整えながら周囲の話を聞き。
エーリッヒやナタルが口々に告げる名前に、それこそ意外だと言うように眸を瞬かせた]
黒江さんが……?
いったい、彼のどこが犯人に見えたと言うのでしょう……
[王が選ぶ基準がさっぱり解らなくて、眉間に皺を寄せて玉座のほうを睨んだ]
―館内・廊下―
[館にいなかった人たちもきたらしく、イヴァンの問いかけにはエーリッヒが答えていた。
外にいた人たちが来たときには、自分はうつぶせにべちょりと潰れたような状態でいるだろうか]
む〜…、クロ〜…、連れて行かれたの〜…
[それからゲルダのほうを見ると力尽きてばったりとしていて、
かさかさっとそのまま這うようにしてゲルダの方へと]
ゲル〜……
[心配するようにその手をぎゅっと握った]
―反省房―
[――そうして]
ッた!
[目を見開いて、どさ、と房の床に落ちた。
翼は広げていたが、風を拾う前に腰から落ち、痛さに表情を歪める]
―館内・廊下―
うぉ、ハルナも倒れてたのかよ。
二人とも大丈夫か?
[なんかどっかで見た虫みたいな動きしたハルナがちょっとアレだったけど、あたいは二人の上にふよんと浮いたのさ。]
立てるかー?手ぇ貸すぞー?
[って一応二人に手は差し出したけど。
ゲルダの方とか特に大丈夫か?これ。]
[黒江が連れていかれたと聞くと、考えるように、口元に手を当てる]
……まさか、とは思うが、王に会いに行った者から順に連れて行かれて…いや、まさかな。
[まさか、まさか、と、思いたいようだった]
―館―
[ちり、と左手がなんだか熱を持ったように感じて無意識に右手でにぎりしめながら呟く]
黒江さんも、王に話しかけに行ってました、ね……
[しかし黒江が王を怒らせるようなことを言うとは思えずに考えるように眉を寄せ]
ゲルダさん? だいじょうぶですか?
[小さいゲルダを一瞬見逃していて。
ベッティや榛名の様子ではじめて気づいたように声を掛けた]
黒江…――違う?
犯人じゃねぇって事、か?
[エーリッヒの姿を見てほっとしてしまった表情を
隠す程器用では無い自分を、少し、恨む。
が、直後、続いた言葉にはてなを並べ]
…、ゲルダが言う、って。
ゲルダも、所謂「感知」みたいな事が出来る、っつーこと…って、
[ぱちり 眼を瞬いてゲルダをみると 駆けよる輩]
お、おい?!
大丈夫か、何かあったのか?
―館内・廊下―
[事故なんだろう。きっとそうだ。
そうじゃなかったら後で暴れてやる]
ちがう、のにぃ。
おうさままで、ふあんてい、いくない…。
[榛名に手を握られて、ベッティに名を呼ばれて。
でもまだ頭の中はぐわんぐわんしていて、へろへろな声で呟いた]
[やがて倒れているゲルダと榛名、そして近づくベッティに気づくと、そちらへと歩み寄る]
これは…休んだ方が良さそうだな。
[その場しのぎの癒しでは、特にゲルダは回復には至らなそうだと感じられた]
―館内・廊下―
[ベッティからの声があれば、手をひらひらと振って返して、自分は大丈夫だと。
ゲルダの手を握ったまま上体を起こし、
周りの、なんで黒江がという会話が耳に入り]
王が〜、きちんと選べてない〜……?
[ゲルダに意識が向いていたので言葉の把握は正確でなかったかもしれない]
―館内・廊下―
[片方の手から榛名の気配。
いつも近くにいるヒトの気は今の状態にとても優しい]
だ、いじょ、ぶ。
おうさま、いらだってる、ね。
[翡翠閉じたまま、もう少しはマシな声を出した]
あー。ごめんなさぁい。
[やっぱりまだ痺れてるような状態、らしい]
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