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[その力が捉え、捕らえる様が、魂に直接触れて、流れる。
偽りの姿に化けた魔と…
『寂しい?』
干渉する感情は、そんな言葉に聞こえた。
『残されるのは、寂しい?』
唇から紡がれるものではなく、思いを言葉にすればこんな形だろうか?
歪められた力は、影たる少女を捉え、捕らえて…。]
…クレメンスが。
書を持っているのではなかったのか?
[礼拝堂に背を向けたまま、立ち尽くす。
空を切った手で、己の襟元を掴んだ。]
あの男が結界へ取り込まれたというのに
それなのに、何故。
[闇に落ちた意識の中、最後の瞬間がフラッシュバックする。
視界の端に映った、こちらに伸ばされた手が]
ミハエル、さん……
[けれどその手は届かない。
それでも思わずそちらに手を伸ばそうとしたとたん]
……?
[闇の中から意識が引き離されていった]
[声もコエも出せず、やがて苗床は総ての子らを――
それは根と葉を含めて。
花だけ除いて。
自らの体内に招くと同時。
ユリアンの腕にかかる重みは*少し重くなったろうか*]
−中央部・広場−
[巨きな力が二つの存在を呑み込んでゆくのを、ベアトリーチェはどこか遠くに感じていました。ぼうっとした緑の眼は、一度ゆっくりとまたたかれます。
けれどもそれに興味を示すことなく、ベアトリーチェは誘われるように、光から離れて闇へとあゆんでゆきます。するとそこに融け込んでいた魔はゆらりと揺れ、影のような女の姿をかたちづくったのでした。]
……それが、そうなの?
[問いかけは誰へと向けたものだったでしょうか。]
……波動が。
意思……を?
[小さな呟き。
明確に、なに、と感じる事はできなかったものの。
その力の波動には、結界の力の持つ本能以外の意思が感じられた]
[ゆっくりと瞼を開く。
薄暗い空間、背中には固い感触。そしてどこかじめっとした空気]
……ここ、どこ?
[流石にいきなり認識は出来なかった。
いつものようにきょとんと首を傾げて呟いた]
[相対していた鏡像のような二人。
大地に近しい翠樹と、それとよく似た欠けぬ虚像。
アマンダは、欠けたモノは戻らないと知っている。
だから、うねりに飲み込まれ消えたのは、虚像と直にわかった]
…ティル、よか…
[安堵の息を吐こうとして、もう一つの気配が消えたことに気付く。
昨夜は気が動転していて気付けなかった、精霊の消える気配]
ミハエル? ブリジ…っ!?
[見回して、ミハエルの姿を見つけ。
その視線の先、誰も居ない空間に微かに残る気配に気付き、呆然]
[しばらくの間を置いて、小さく肯きます。]
……………うん。
[見つからないように、無くならないように。
天の力、魔の力、相反する二つの封印を用いて、“なんにもない”もののように、見せかけて。彼の残して呉れた力を使って、流れを逸らして。かたちを、変えて。]
[血のついたナイフを軽く振るいながら、コボルトの屍骸を蹴り飛ばしたその後に。]
ん……?
[モンスターとは違う気配が散らばっている事にやっと気づく。それは、精霊としてのチカラと言うよりも、冒険者としての感覚。]
もしかして……ハインリヒとエーリヒか?
いや……それだけじゃぁないな。
[唇に触れ、じっくりと気配を感じ取ろうと。]
[ミハエルの言葉に、がらんとした礼拝堂を見回して]
ああ。
それは、間違いない……が。
探偵さんの言葉……存外、的を得ていたのかも知れん……。
[複数犯、という言葉。
それが、今更のように思い出されて]
[...はティルの頭をぽふぽふなで続けていたが、
ミハエルの声を聞いてはっとした]
そうだ。鍵の書はどこだ!
[許されて翠樹の力を使う...とは違い、
明らかにクレメンツが行使した力は巨大なもので。
鍵の書を使ったのは間違いないのに。
辺りを見回しても鍵の書らしきものは見あたらず]
[きょろきょろと辺りを見回す。
気配を探るために力を放つのも忘れて]
えーと、だれかいる?
[まだぼんやりとした意識のままに声を出す]
……やっぱ、そろそろエーリッヒの所に戻った方がいいか?
[いざという時の戦力が、ギュンター一人というのは心もとないような気がする。
しかも、蛇の気配はすれど人の気配はなく。]
……ああ、そうか。
[ここにいるかもしれない『誰か』の為に、マップを置いていけばいい。
モンスターにマップが読めるわけがないから大丈夫。多分。
早速、メモに先程までの地図のコピーを書き記して床に置いた。
重石代わりのライターと、書置きも残して。
『この地図を頼りに、探索すべし。 Heinrich Neumann』]
ま、これでいいだろ。
[マップを頼りに、エーリッヒの所へ戻る事にした。かなり心配だ。
主に、エーリッヒではなくギュンターが。]
[マップを頼りに、うろうろと歩き回る。]
……しっかしまあ、広いな、広すぎるな。
[すでにマップはメモ帳10ページ分に及び。
ぶつくさぼやきながら、元来た道を辿っている。]
[役目を終えた影は、闇の中に融け込みます。また黒い猫となって、辺りをさまようのかもしれませんし、再びベアトリーチェのもとを訪れるのかもしれません。ただそれを、ぼうっとしたかおで見送りました。
その左の手首には、しゃらん、と揺れる鎖の腕輪がありました。]
[じゃらり、と音を立てて、鎖を舞わせる。
陣、と呼ばれる型を、周囲に展開して]
……まだ、追えるか……?
[低く、呟く。微かなりとも、残滓があれば、それは叶わぬ事もない。
そう思いつつ、礼拝堂の中を再度見回して。
ふと止めた、視線の先には、小さな指輪]
……あれ……は?
[それは、先ほど、強い天聖の力を放ったものと、気づいて]
他にも。仲間が居たという事だな。
奴を助けていたものが。その書を、鍵を、受け取って
いまもそれを守っているのだな。
[ひとつひとつ確かめるように、言葉を落としてゆく]
…そう。
[短く返して]
きっと、彼女には彼女なりの――想い(意思)が…ね?
[アマンダは何故という言葉に、答えにならぬ言葉を返しながら、ミハエルの肩を軽く叩こうとする。元気付けるように]
[鎖を一度、右腕に巻きつけて。
指輪を、そっと拾い上げる。
感じるのは、強い天聖の力。
それから、ミハエルを振り返り]
……恐らくは。
だが……。
[一体、何のためなのか、と。
呟いて、指輪をそっと、*握り締め*]
おーい、誰かいるかー?
[元来た道を辿りながらも、いるかもしれない『誰か』に
向かって呼びかけてみる。
やはり声のボリュームは控えめに。
単独の戦闘行動は死ねる。]
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