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さて……。
封護の内であれば、他の皆もいるはずだが……。
[呟きつつ、周囲を見回して]
……探して、合流するべき、か。
あ、おじさま……
アーベルさんも……
[エーリヒの傍で力なく座り込んだまま。
どこかぼんやりと二人を見上げた。
ギュンターは、まだ戻っていないのだろうか]
[たしかに対と云えるものを持たないが故に、対と云える存在(もの)――時空の属性を抱く竜の、消失。ぽっかりと、巨きな穴が空いてしまったように思えました。きゅぅと、首から提げていた無限のかたちの輪を掴みます。けれどもそこに籠められた力はもうほとんどなくて、なんにも感じることは出来ませんでした。ほっとしような、ぞわりとするような、あの感覚ももう、ありはしません。]
……わからない。
[ベアトリーチェは眉を寄せて、どこか苦しそうなかおになります。]
エーリッヒに、嬢ちゃんに、俺。後は拾ってきた二人を入れて五人。
……っておい?!
[ギュンターがいない事に気付いた。]
じっちゃん何処行った。迷子か?!
[いやちょっと待とう。]
[手出しをする隙を窺って居たが、剣戟の間に割って入る隙は無く、結局はナターリエとオトフリートが消えるまで、見守る形になった。]
[ダーヴィッドが崩折てやっと、動き出し]
[駈け寄って、肩を掴む]
[深く裂けた傷口からは止めどなく血が溢れ
その香りは、こんな状況の中にあってもどこまでも甘美。]
わからない、わからない、わからない、
[おんなじ言葉をなんべんも繰り返しながら、鎖を引き千切ろうとします。拒絶の意志は力となって、たやすく首飾りは壊れてしまいました。さっきの指環のように、捩れた輪はベアトリーチェから離れて、転がり落ちました。]
……要らない。
じっちゃんって、自衛団のおじさん?
その辺見てくるって。さっき。
[気軽に見送ったので、どこに行ったのかは知らない。
本当に迷子になっている可能性だってあるんじゃないだろうか]
まあ、なんにしても……だ。
[呟きつつ、展開したままだった無限鎖をひゅっ、と舞わせて]
……封護の番ども、か。
[近づく気配に向けるのは、冷ややかな笑み]
マジか、マジなのか。
[その場で頭を抱える。]
じっちゃんは筋金入りの方向音痴なんだ。
……ヤバいかも。
[冷や汗だらだら。]
うん、ちょっとだけひさしぶり。
……イレーネも大変だったものね。
[彼女が取り込まれた時の状況を考えれば、かなり消耗をしているはずで。
心配そうにその腕の中を見た]
[アマンダはただ呆然と、ベアトリーチェの行為を見詰めるばかり。
指輪を拾い、囁くのを、ただ黙って見ていたけれど。
「……わからない」と呟く声に、ようやく我に返っただろうか]
……ベア、君は……君は、
何を 知りたかったの…?
[アマンダは立ち尽くしたまま、オトフリートが居たはずの場所で苦しげに眉を寄せる子どもに問うた]
……自衛団長さんって元気なんだねぇ。
やー、まぁ。
方向音痴ったって……。
[暢気に考えていたが、流石にハインリヒの顔色を見て、本当にヤバいと気づいたらしい。]
……エターナル・ロンド。
斬魔陣。
[短い言葉と共に、鎖が舞う。
高速で、交差するように舞うそれは、金属製の鎖ではなく。
漆黒の、光の輪を連ねたが如し。
その煌めきに、忍び寄ってきたもの──蛇と人とを掛け合わせたような奇妙な容貌の獣人たちが一瞬、怯む]
そうなの?
[朗らかに出て行ったから何も心配していなかった。
この迷宮がどれほど入り組んでいるのかも知らないから]
まずかった?
[見送ってはいけなかったんだろうかと]
……いや、嬢ちゃんのせいじゃない。
俺の管理不行き届きが原因だ。
[長い事ほっぽらかしていたら、こうなる事は予想できたわけで。
いや、確かに色々トラブルはあったんだが。蛇とか蛇とか蛇とか。]
[革鎧の肩当てすらやすやすと切り裂いた刃は、鎖骨を断ち切るほどまで達していて。
傷口から溢れる真紅の甘露が、地面へと滴り落ちていく。]
今、ちょいと苛立ってるんでな……。
……八つ当たらせてもらうっ!
[それは、理由としてどうなのか。
勿論、そんな突っ込みをできる者はこの場にはいないだろうが。
漆黒の、光鎖の乱舞。
ある者は鎖の縛に息を止められ。
またある者は漆黒の光の尾を引くそれに切り裂かれ。
鮮やかなる黒の乱舞の後、周囲は沈黙に閉ざされる]
……違うよ、アマンダ。
[しばしの間輪を見つめておりましたが、ゆっくりと顔を挙げて、首を左右に振ります。そのかおから表情は消えており、いつものようにぼうっとしておりました。]
知りたかったのではない。
ただ、足りないものを、埋めたかった。
でも、この世界に生きるベアトリーチェでは駄目なんだ。
[それはやっぱり、謎かけのようであったでしょうか。]
……あとは、最後の、均衡を。
[ぽつんと呟かれた言葉は、ひとりごとのようでした。]
えーと。私が探してもいいんだけれど。
[そのまま、また動けなくなる可能性はあるわけで]
どうしよう?
[しかもギュンターの気配は微妙に探りにくい気がした。
元気そうな気配を辿ればいいのだろうか]
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