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< なくこえと、おちるすがた。
音に溶けるように、集っていた影が崩れる。
影を継ぎ合わせて作った偽りのものは消えて、
己が主の許へと還っていく >
『……すみません、剣では――…願いを叶えられなかった……』
[きっと誰よりも青年の願いが叶う事を願ってくれた竜――
オティーリエへと心を寄せて、刻印を壊した青年は竜と人との混じり合った姿で*力尽きた*]
―中庭―
馬鹿が!おせぇよっ!!
[アーベルの声は、彼の背後に立ってから届く。
怒るように怒鳴り、慌てて近づいて、傷口に手を当てた。
怪我は酷く。大量の琥珀の粒子が集まり、舞踊る。
それでもゆっくりと、触れた場所から傷はゆっくりと癒されてゆくだろうか。]
ごめんね、
ありがとう。
< 囁きは誰の口真似でもなく。
温もりを抱いて眠りに落ちる。
* 光と闇の合間に、堕ちることはなく *>
[握るだけで精一杯。
全精力を込めて鎮まるように願う]
扱え、は、しません。
これは、我君との、繋がりを利用し、てるだ、け…。
[切れ切れにオトフリートへと答える。
闇の剣が構えられたのを見て奥歯を噛み、どうにか正対する]
扱えるのは、本来の持ち主のみ。
だから――だから、お願いですから。
別の方法を、探して、くださ、い。
―中庭―
[急にアーベルの背後に現れた命竜には、驚くような視線を向けて]
クレメンス!一体貴方今までどこに……!よく、無事で……
[身を案じての言葉が出たが、直ぐに首を振って]
――ッ、ううん、今はそんなことよりも!
……容態は、どうなの……?
[辛そうな表情で、琥珀の粒子越しに命竜の瞳を見つめた]
―西殿:地下―
命竜王ですら出来なかったのに?
[呟きの言葉は、届くか届かぬか、小さい。
打ちかかろうと闇の剣で切りかかる――!]
[筈だった。]
―西殿地下―
それが、求めるべき望みであるならば。
[カクリ、と力が抜けた。
左膝を突いて、オトフリートを見上げる。
刻印から流れ出す血が床に流れてゆく。
それでも剣から手は放さずに。覚悟を決めた、その時だった]
……?
ノーラ、…っ!
[音も無く静かにその足元へと戻る影すら気にした様子も見せず
――否、もしやすれば気付いておらぬのかも知れぬ。
しがみ付く様にして彼の影竜殿の腕へと飛び込んだ。
安堵したか嬉しさにか、仔は力一杯に抱き締める。
所詮は仔の力故、他の者に比べれば些細な物ではあろうが。
髪を撫ぜるその指に、口許を綻ばせた。]
……、?
つかれちゃった?
[ふと僅かに掛かる重みを感じてか、ゆると幼子は首を傾ぐ。
眠りへと落ちた影竜殿からの問いは返らぬ。
幼子は一度その目を瞬き、私を見て、最後に影竜殿を見やった。
運ぶ事も呼ぶことも出来ぬ仔は、考えの末に
身動ぎをせぬままその腕へと収まり続ける事にしたようであった。]
…おやすみ?
[起こさぬ様、小さく言の葉を漏らして。
幼子はその背の向こう、閉じられていた結界が
漸くにして音も無く崩壊して往くのを*見つめていた*]
[それが止まるのは、届くのに慣れた心のため。]
[何故、と思うだけではなく、
そこに、奇妙なほど、静かに伝わるこえ]
……っ!
[突然に止まることはできない。
ただそれは、エルザへ迫るほんの数瞬前に、傷つける意志をうしなう]
―中庭―
まぁ色々な。後で誰かに聞いてくれ。
[全く疑いない様子でこっちにくるブリジットには、もう苦笑するしかなかったが。説明その他は後にまわして。
自分は半竜のアーベルの傷口に手を翳し続ける。]
最悪って所だな。
が、死ぬ前で良かった。
生きてりゃ俺に…いや、生命の欠片に癒せないモンはねぇ。
[万全ではない、本性の解放は出来ない。
代わりに自分の内側から灰銀の光を出した。
琥珀のかわりにある、自分の内側にある生命の欠片。
それも使い、分け与えて。
周囲に蛍火のように琥珀と灰銀の、命の欠片、光が舞う。]
……アーベル殿?
[何があったのか。
受け止められ、剣を引く。]
[胸騒ぎは消えない。]
[だが、その剣の波動――勝手に動いたのでしかないのだろうが、それが伝わり。
使わぬようにとしていた力は、弱い混血には強すぎる。]
[まして、疲労が重なっていたのだから。]
―中庭―
……? ええ……。
[苦笑する姿を、どこか少しだけ不可思議に見つめて]
……最悪、か。
でも、そう。癒せるなら、良かった……、良かった……。
[どこか、安心したかのように、地へと座り込んで。
琥珀と白銀の粒子が舞うのを、ただじっと見つめている]
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