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……ほんとうに明日には治って欲しいです。
[ハーヴェイの苦笑交じりの言葉に、涙目でひたすら同意する。
なんだか昼間より余計に痛くなった気がして包帯に手を遣ると、ほんのりと熱を持っている気がして、溜息。]
……大人しく寝た方がいいのかなぁ。
コーネリアスさんに謝りたかったんだけど…明日にします。
…おやすみなさい。
[どうせ謝るのなら昼間の方が心臓に良さそうだと、未だ鶏さんな心臓を宥めつつ席を立つ。
ハーヴェイとネリーに挨拶して、*部屋へと戻っていくだろう。*]
[椅子を引かれて、少し躊躇って]
…ありがとうございます。
[ぺこりと頭を下げる。内心申し訳ない気持ちもあったが、ご好意を無駄にしてはと素直に座ることにした。
その後の問いには]
あ、はい。
昨日から…お務めさせて頂いて。
[首肯し、言葉を続けた]
うん……。
でもばーちゃん、意地張るからなあ……。
[二人に頷いた後、小さくため息をついてこんな呟きをもらし。
ひざ掛けを、という言葉には、少し嬉しげに笑んで見せた]
……取りあえず、手紙書いて、届けてもらう事にします。
それじゃ、ボク、部屋に戻りますねっ。
お休みなさいっ。
[聞いても、素直に状態を教えてくれるとは思えないけど、と心の奥で呟きつつ。
二人に一礼してから、*やや慌しく客室へと戻って行った*]
さて。
私もそろそろ自室に戻りますね。
部屋に持ち込んだワインとつまみの片付けもありますので。
[コーネリアスに会釈し、*自室へ戻る。*]
[ 流石に涙目なのを見れば瞳には僅かに心配の色が宿り、去っていく少年に軽く手を振ってお休みと見送る。再び頬杖を突き直して、殆ど冷めた紅茶を一啜り。]
ああ、そう……だったんですか。
[ こんな辺鄙な地に――と云うのは幾ら何でも主に失礼かと、言葉を選ぶ。]
……場所が場所ですから、苦労されたでしょう。
あの吊り橋も、渡るにはなかなか勇気が要りますし。
…えぇ、おやすみなさい。
[二人を見送るが、なんとなく部屋に戻る気にもならず。
戯れに左手の指先を鍵盤に落とせば、こぼれる音色。
擦り剥いた右手は、まだ微妙に痛みが残ったままで。]
そう、ですね。
怖かったです。…その、少し。
[実際は少しどころではなかったのだけども、取り繕うように付け加えて。
そういえばあそこで地図を落としてしまったことを思い出せば、また少し落ち込んだ気分になり、一瞬俯くが]
…でも、折角雇って頂きましたから。
他に行くところもありませんし…
[顔を上げて続けた]
まあ、俺も、何度通っても慣れませんから。
[ 俯いた少女のおさげが微かに揺れるのを見遣りつつ、微苦笑。然し続いた言葉には嗚呼、と小さく声を洩らした。全く持って自分には配慮が足りないと思う。]
……其れは。
アーヴァインさんは、優しい方ですから……直ぐ慣れると思いますよ。
今は珍しく人が多いですが、普段は静かな館ですし。
そうですか…
[気を使って頂いたのかとは思いながらも、それでも幾らかは安堵した。
それから微妙な反応に慌てて微笑みを作る。自分の身の上など話す必要はない]
ええ、良い方だと伺っております。
…珍しいんですね、やっぱり。先ほどもまた御一人来られたようですし…
[天井をちらりと見た]
少々変わったところもありますが、ね。
[ 少女の表情が微笑みを映せばやや違和感を感じつつも青年も其れに倣う。然し後の言葉を聞けば緩やかに瞬きをして、視線が動く。]
また? ……本当に、珍しいな。
[ 天井を仰ぎ、次いで広間の外を眺めてから再びネリーを見遣り、]
此処に来て初仕事で其れは、骨が折れそうだ。
変わった…
[ローズマリーの去り際の言葉を思い出す。今も奥方様を愛していらっしゃる…と。
あの様な職の女性を呼んでいながら、愛している。良く分からなかった。少年の前だからそのように言ったのかも知れなかったが]
…いえ、私はそれ程では。元からいらっしゃる方のほうが大変そうです。
[その後の言葉には、僅か苦笑を含めてそう応えた]
[ コーネリアスの姿を認めれば軽く会釈をして、まだ、との言葉には苦笑。]
ああ。今晩和。
……今日は起きる時間が遅かったもので。
そうそう、トビーが謝罪をしたがっていました。
[ 流れる銀の髪に丹精な面立ちは、確かに薄闇の中から現れ出でたならば此の世ならぬものと見紛うか。
空のカップを片手で弄びつ、自分の発した言葉を小さく繰り返すネリーに僅か首を傾げるも、俄か含められた苦い表情に気を取り直す。]
何方も大変だと思いますよ。
甘えてばかりいないで、自分で出来る事はするようにしないと、かな。
[昨日の“幽霊”―銀髪の男性が入って来たのに気付いて会釈をした。肖像画が館の主の妻のもので、彼はその義弟ということはあの後聞いていた]
そうですね…頑張らないと。
あ、お代わりのほうは?
[青年の言葉には些か神妙に頷いた。
空のカップに気付いて僅か立ち上がる]
[ コーネリアスが首を傾げる様子に、嗚呼、騒動の要因だという自覚は無いのだなと思いつつも其れを告げる事も無く、白磁のカップを置き弄んでいた手を口許に当てクスと小さく笑み声を洩らす。]
……理由は本人に訊いてみるのが宜しいかと。
[ 立ち上がり掛けたネリーには、そうですねと少し視線を巡らせて、]
折角ですし、御願いします。
[微かに笑みを浮かべて云う。]
…あぁ、ついでに僕にも何か適当に…
[そう、女中姿の少女に頼むと手ごろな席へ。]
本人に、ですか…
明日にでも伺いましょうかね。
[青年と男性の会話、その様子にほんの少し笑ってしまう。自分も昨日幽霊と聞いてびっくりしていたのは棚に上げておく]
かしこまりました。
[2人分の注文を受けて、彼女は厨房のほうへと引っ込む。言われたものを手に再び現れるまでそう長くは*かからない筈だ*]
[ やがてトレイに乗せて運ばれて来た紅茶を礼を言って受け取り、一口飲めば小さく息を吐く。矢張り淹れる人物が異なれば味も変わる様で、普段の使用人が淹れるものよりも些か柔らかく感じられた。]
……そう云えば。
昨夜は大分飲んでいらしたようですが、大丈夫ですか?
[ 自分も他人の事は云えないのだが、気を遣いそう訊ねる。]
[同じように、紅茶を受け取りつつ。]
えぇまぁ…。どうも強い人と呑むといけませんね。
ついつい、付き合ってしまって。
[苦笑いを浮かべつつ、紅茶を口にする。]
…何か拙い事とか言わなかったでしょうね…、どうにも記憶があやふやなもんで。
……牧師殿は、あれでなかなかのようで。
[ 僅かに目を伏せ冗談めかして云う。]
少なくとも、俺は聞いていませんね。
……拙いような事が……
[ 御有りで、と其れくらい一つや二つあって当然だろうかと口を噤む。自らにも、無いと云えば嘘になるのだから。]
あのお方は、本当に。
[およそ牧師という職業に似つかわしくない彼のことを思って苦笑い。]
いえね…以前酒の席で客人に無礼なことを多少…。
ま、若気の至りというやつですよ。
其れは、俺も気を付けなければ。
酒は飲んでも飲まれるな、と云いますしね。
コーネリアスさんは怪我もされているようですし、程々に。
[ 彼の牧師には云っても無駄だろうなと内心思いながら。]
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