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だいじょうぶ。
[ 幼児の眼差しに影は緩やかに首を左右に振り、申し出には少し困ったように沈黙を落とす。しかし、不意に発された短い声に、首を傾いだ。]
……どうか、した?
[大きく深呼吸。そんな場合ではないと、響いてくる声に言われるまでも無く分かってはいるのだ]
いいえ。
私も誰を信じればよいのかで迷っておりましたから。
それも結局はダーヴィッド様に更なる負担を掛けることに…。
はい、そもこれは仮契約にすぎぬと剣からも伝えられています。
この力を使って何かをすることは適いません。
そして、万一にも…奪われるわけには参りません。
……いいえ。私も天聖が竜族の一員。
託された命には全力で努めるだけです。
[最後はフワリと微笑んだ。
幼い頃と同じ、だが成長して確りとしたものを得た表情を]
……あー……。
[火炎の竜の名に、意識が遠くに行ったのは瞬間。
精神竜の気遣いに、すぐに浮上したりするのは、外見相応にお子様反応。
実年齢には、逆行してはいるのだが]
ふぅん……。
天聖竜が揺らされてるとかなってたら、ある意味泣けるけど。
……時空竜に干渉できる、なんてのがいるんじゃ、そこも疑問なるのは、ある意味不思議ないかあ。
―東殿・翠樹の個室―
んんん……。
[随分と深く寝入ってしまっていたようで、身体の節々が軋む様に感じられた。
少し身体を動かすと、毛布がふさりと床に落ちた]
……あら。
[しゃっきりとしない寝ぼけ眼のまま、毛布を丁寧に畳んで行く。
一連の動作を行ったところで、翠樹の仔の姿が見えないのに気付いて]
―東殿・翠樹の個室―
お寝坊は私か。
[少し身体を伸ばして、軽く身体を解した。
近くに何やら飴玉の包みが置いてあるのに気付くと。
穏やかそうに微笑み、袖へと閉まった]
[茶を適当に2,3カップ淹れ、棚の籠にパンを見つけて持って食堂の机まで持って行き、
まずザムエルの方へと運んでから残りは適当においた。
自分のカップの茶を飲みながら、席に着いて]
どうぞ、ザムエル殿。
[言いながら、周りの話を聞こうと周りを見渡した。]
─時間軸:連れ込まれた直後─
……なるほど。貴方が蒔かれた種というわけですか、アーベル。
混沌の担い手が種とは捻りが無いんじゃないんですか?
[そう言って、彼女の肩に手を置いているアーベルを睨み付ける。
そして告げられる言葉。
それと同時に紅い爪による斬り上げでアーベルを両断せんとする。
しかし、それは後ろに飛び退かれる事でかわされ。
そのまま、アーベルは笑みを浮かべたまま、結界の外へ。]
[撫でようと伸ばしかけた手を、引っ込めた。
彼女は、もうあの頃の泣き虫の幼子のものではなく、一人前の律の番人。]
あぁ、奪われるわけにゃいかないな。
俺もできうる限りの事を。
…?
[問いを向けられれば、仔は一寸慌てたように周囲を見回した。
――確かに多くの者が居合わせているが、喧騒に紛れて聞えぬか。
そう判断したのだろう幼子は僅かに背伸びをして影竜殿の耳下へと顔を近づける。]
……、あのね。…えっと。
[密やかに囁かれる声。内容を知りこそすれ私の耳には拾えども、
喧騒に紛れては他の者に聞えたかどうか。]
おじいちゃんが、剣もってるって、聞いた、の。
だから、ほんとう?って、おしえてもらおうと、思って。
…けんがあったら、ととさま出せるって、きいたから。
―食堂―
[機鋼の仔竜からの返事に青年は立ったまま、空になった銀盆を小脇に抱えた。視線はニ竜が出て行った扉の方へ移ろう]
………なるほど、そうでしたか。
時空と天聖の関係性は微妙ですから…若焔の懸念も仕方ないかと。
[秘なる書に刻まれた記録にも例はあったが、力強い二つの属性が欠ける状況は特殊すぎて青年ですら断言できないと首を振る]
[ティルの反応を見ると僅か苦笑が漏れるか。続く言葉には表情を正して]
…あやつが揺らされて居ったらギュンターが泣いて悲しむじゃろうの。
儂は無いと思うておる。
[それは今まで曖昧に、明言せずに来た老竜にしてははきとした、確信めいた言葉。その違いに気付いたものは果たしてどれだけ居たか]
んじゃ誰調べりゃいいのさー!!!
[それでもってまた、堂々巡りの思考の淵へ落っこちてしまう訳で。
結局、広い額を押さえて唸ることに。]
…なぁ、エルザは誰が怪しいと思う?
―― 食堂 ――
ですよねー。
なんか、昔馴染みを疑って調べるとか、ちょっと嫌だなあって思っちゃって。
これだから皆さんから子供扱いされちゃうんでしょうけどね。
[精神竜の言葉に苦笑して肩をすくめる。頬にクリームついてるあたり、子供扱いされるのは、それだけの理由じゃないような]
―東殿・個室前の廊下―
[窓の外を見ると、雨がさあさあと降り注いでいるのが見えた]
この雨だと……皆、部屋か広間あたりかしら。
[ほうと息を零して、ゆったりと廊下を歩いていく]
…………。
[しばし、アーベルの消えた場所を睨んでいたが、ふうを息を吐くと、]
……さて。こうしていても仕方ありませんか。
情報収集はしておくに限りますからね。
[そう呟いて、探索に移った。]
[ザムエルの言葉に、カチャリ、持ったカップを皿に置く。
ふむ、と頷いて]
そのギュンター殿は、既に取り込まれていて、おられないのですよね。
[老竜の、確信めいた言葉の裏には気がつくことはなく、低く呟く。]
ダーヴィッド様にお預けすることも考えたのですが。
探査にはお力を多く使われましょう?
それではやはり危険が残りますので。
…先の遣り取りで誰かが気付いたようでしたら。
私はこの先、身を隠すようにしようと思います。
[今、剣の力を使えば、下手をすると結界に引き寄せられることになるかもしれない。その危険も知らされてはいたが]
[ 背伸びをする仔に応じて、ノーラは膝を折る。
秘密の話をしたいらしい様子に、幼児の口許が耳に来るように動いた。]
……だれに、聞いたの?
[ 小さく、驚きの含まれた声を返す。
確かに先に大地の竜が来たときに感じたのは、影に親しい力であった。されど我に確証はなく、故に、動くこともなかったが。]
おお、すまんなミリィ。
[差し出されるカップに礼を述べて一口。緑茶では無かったが、身体が温まるならこの際何でも良いです。
ギュンターについてを聞かれれば]
うむ……ティルが言うには、あの結界の中じゃと。
[じゃったな?とティルにも確認を取る]
あ、ええと。
[唸り始める恩人を前に、思いっきり困った顔になる。
誰を信じていいのか分からないということは、つまり誰を疑えばいいのか分かっていなかったということで]
…それこそ、流水の方でも?
いえ、何を疑っているのかと言われても困りますが。
[そんな話の向きがなかったかな、と思い出しながら首を傾げた]
[明言する様子に、きょとり、としつつ。
その理由にすぐに思いが回らないのは、食欲第一状態だからか]
……まあ、力が強い属だし。
ないなら、そのほーがいいんだけど、ねー。
…確かにな。
起きてる時なら、多少の奴らにゃ遅れを取らない自信はあるが、
流石に…力尽きて寝てる時はどうしようもない。
けど、身を隠す…って何処へさ?
奴らに見つからない安全な場所、って…。
―中庭―
[雨はまだ降っているけれど。
先ほど、風邪をひくといった口で何をやるのか。]
[苦笑して。木陰に入る。
そうして腰を下ろすと目を閉じた。
暗い。闇が、体を包む。]
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