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感覚的なもの、か。
[ユーディットに答えながら微妙に立ち位置をずらす。
背後からの足音と気配。隠されもしないそれに対応できるように]
ああ、こんにちは。
ええと…。
[ブリジットの姿を確認してそう声を掛けた。
昨夜見た憶えはあったが、名前を聞いた覚えはなかったので途中で切れて]
ブリジットさん。
[ユーディットの声にそう付け足した]
おふたりとも、どこかに行って来たんですか?
それとも、これから行くのかな。
[ブリジットの手は、鞄に添えられている。
途切れた少年の声に、昨晩を思い出して、]
あ。自己紹介がまだだったね。
ブリジット=エメスです、よろしく。
[笑みをつくり頭を下げた。
丁寧語が抜け落ちているのは、幾つも年が下に見えるからに違いなかった。]
−回想:昨夜/広間−
[広間を抜けていこうとする姿、ちらりと視線で追って、少しだけ翻るセーラーの襟と、プリーツの揺れる裾にちらりと視線は惹かれたけれど、だからといってそれを捕まえる手もなく、めくりたいなんていう衝動の欠片もない。
どちらかといえば、今、青少年にとっての優先事項は白い毛布だったからだ]
ボクはこれから少し体を動かそうと思って出た所だよぉ。
別に、喧嘩してたワケじゃないんだよ?
[にぱ、と相変わらずのしまりのない笑顔をブリジットに見せる。
それでも右手は未だ背中に隠れたままだが]
[そのあと、蓮嬢と小さな女の子がなにやらもふも付しているうちに眠ってしまったものだから、結果的に毛布をたたむどころか広げる必要がでてきてしまったわけで]
…なんだか、手間のかかる妹が二人増えたみたいだ…。
[毛布を横にだけ広げて広げて。
それを先ずはソファ(いじくってみたら背もたれが倒れた。どうやら簡易寝台として使えるらしい)に毛布を引き、それから蓮嬢と少女と、猫と、順番に運んで、長くした毛布でくるむ。
ちょうど、餃子の皮やオムライスの卵をかぶせるように]
[それから、毛布の縁を"縫い合わせる"。
そして出来上がる、白い寝袋。
すっかり腹を出して安眠ご満悦中の猫のその腹をむにむにつついてから、自分は部屋へと戻ることにした。
ちょうど、少女たちが起きる頃。
青少年は熱々のお粥と空芯菜と厚切りベーコンの炒め物と、ふわふわの卵焼きと、そのほかいろいろかんたんな朝食のトレイを持って広間に再び現れる*はずだ*]
僕もあなたに向けては名乗っていなかったな。
ティルというんだ。よろしく。
[頭を下げられれば軽く頷くように返して。
年下に見られているなとは思ったが、当然の反応でもあるので特に何を言うことも無く]
少し外を歩いてみようかと。
思ったらこの人が上から降ってきてね?
[ユーディットを示しながら笑って見せた。
警戒は完全には解かず、それでも目立たない程度に落として]
[……きょとり。]
喧嘩、って。
[そんなこと、聞いてないのに。そう言いたげな表情。
が、昨日のユーディットの言動からして、有り得ると思ったらしく。]
……あまり、暴れたら、駄目ですよ?
動きたくなるのはわかりますけれど。
まだ、説明もないですしね……
いつになったらあるんだろう。
[後半の声は沈みがちだった。]
ティル、ね。
……、降って来た。
[示されたユーディットを見て、上を見て。]
……アクティブですね。
[何処か、ずれた感想。]
あはははははは。暴れてないよぉ。
だって今は、ご主人様ってば上機嫌なんだもん。
[ブリジットの言葉に、心底おかしいといった顔をして口に左手を当てて笑う。
背中に回していた右手も緩やかに体の横に戻し、警戒は解かれて行く]
説明、無いねぇ。
っていうか、あるのかな?
ずっとここに閉じ込められたまんまだったら、色々困るなぁ。
[アクティブ、との言葉には、自分でも釣られる様に降りた窓を見上げて、あは、と笑った。]
僕もそんなつもりはなかったのだけれど。
[喧嘩という表現には苦笑しつつ]
驚いていたのは認めるよ。
アクティブ…言いえて妙だね。
[ブリジットの言葉に頷いた。
ユーディットが警戒を解くのに合わせて入っていた力を抜き]
後でお達しがあるらしい、と言っていた人はいたよ?
それまでは時間を潰すしかないのだろうけどね。
[ブリジットの言葉には、きょとり、と目を瞬いて首を傾けた]
外部?と連絡?
知らないよぉ、取ろうとしたこともないもん。
取れるの?
[頭の周りに「?」を沢山飛ばしながら、質問を質問で返した。]
[二人の返答に、争う意志は確かに無いらしい、とほっと一息。]
その、後で、が曲者なんだよね……
十部屋あったから、十人来たら、なのかな?
[今何人なのだろう、と指折り数えたが、満たなさそうだった。]
外部?
少なくとも僕は取れなかったね。
[ブリジットとユーディットのやり取りにはそう口を挟み。
ご主人様云々には言及せず様子を窺うだけ]
確かに、いつになるかは分からないままか。
イラつくといえばイラつくかもしれないな。
[チラリと建物の中を振り返った]
ご主人様は、ご主人様だよぉ。
ボクのご主人様なんだから、ボクの傍にいるに決まってるじゃない。
[ブリジットの言葉には、笑顔で答えてくるりと回ってみせる。
ティルの言葉に首を傾けながらぴたりと止まり]
イライラする?
そーかなぁ?
結構楽しそうじゃない?
ワクワクする、って。あはは。
―回想―
ま、当たらずも遠からず……かね。
[ティルの問いにはそれだけを返し。
少女たちが寝てしまった様子にどうしたものか……と思った矢先、ユリアンが世話を焼き始めたので、そのまま任せておいた。
自分との性格的相性はさておき、年下への接し方に関しては、信を置けなくはない、という認識があるから。
ついでに]
……やべ。
[ぽつり、零れる呟き。
もし聞き取ってこちらを見た者があったなら、微か、青ざめた表情に気づいたやも知れず]
[他者が気付くかどうかなどは意識の外。
広間を出て個室に戻ると、半ば倒れ込むようにベッドに横になる]
……あー……かったる……。
[上がる、気だるげな声。
獣化戦闘後特有の、極度疲労状態だ]
……っとに……。
[めんどー、と呟くより早く、*意識は深い眠りの内*]
[生欠伸と共にもそり、とソファの上の巨大餃子が動く。
どうやら食欲をそそる匂いに意識を引き上げられたらしい。
寝袋のような形のそれに絡まりながら、
少女は匂いの元を辿ろうとして――]
ごは――ん…‥っ。
[ソファから落ちた]
何が起こるかも分からないというのに気楽だね。
その方が無駄な力が入らなくていいかもしれないけれど。
[首を傾げるユーディットに肩を竦めて]
傍にいるご主人様、ね。
じゃあ「そちらにもよろしく」
[そう言うとユーディットの脇を抜けるようにして外へ出た。
すれ違う一瞬だけは最初と同じように*警戒をしながら*]
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