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[オトフリートの言葉に、思案する。
どちらが優しいのか。
それは…]
…わからない…
わからないけれど…いや。
いやなの…
[両手で顔を覆う。
揺れる。]
[こどもはぎゅっと書を抱きしめながら、皆の言葉を聞いています。
なにが正しくて、なにが間違っているのか、わかりません。どこで食い違ってしまったのでしょうか。
荒れ狂う風に眼を瞑ります。けれども書の力か指環の力か、それがこどものからだにまで届くことはありませんでした。]
君は。
他の誰がこの世界をすきでも、
生きているほかの誰かが、好きでも。
決して喪いたくないと思っていても。
君は、滅びを願うのか……?
[ユリアンのそばの、その存在に。
気づいていても、いたとしても。
自らの言の葉に、自らの望みが、
少ししくりと痛んでも。
決してかの精より目を離すことはない。]
……じゃあ。
二度と逢えなくなるのと。
また、逢えるようになるのと。
どちらが、君は、嬉しい?
[静かに呼びかけつつ。
左手で、そっと、銀の髪を撫でる。
右の腕には、いつの間にか漆黒の光鎖]
[オトフリートに髪を撫でられ、落ち着きを取り戻していく。
そして、小さく小さく、本当に小さく答える。]
…二度と逢えなくなるのは、いや。
イレーネ。
あなたが司るのは『輪転』の領域。
あなたが持っているのは癒しの力。
あなたもその力を貸して?
そうすればきっと。
[最悪の事態を避けることも出来るでしょう、と]
[怒り、哀しみ、痛み、こどもにはわからない、たくさんの感情が、辺りに溢れていました。誰よりも近かった筈のフィロメーラの心も、離れてしまったからでしょうか、今はわからなくなってしまっていました。ただ、ひどく辛そうに思えました。]
…ならば尚更、裁かねばならぬ。
【力】の流転を守るが、竜の勤め!
[口腔に力が凝縮する。
その火気は、吐息を幾千度もの炎へ変える。]
[落ち着いていく様子に、穏やかに笑んで]
あのままでは、二度と逢えなくなる。
だから、止めなきゃいけない。
それに、ブリジットの言うとおり、君の力を正しく用いるなら……。
本当の意味で、救える。
君は、命竜の娘。
生命の海に祝福されし子なのだから。
[静かに語る、その声には、歳を経た存在を思わせる響きが伺えて]
[制御出来きれてない風は、
敵味方関係なく吹き荒れる。
突然、背後の影が消える。
その瞬間、無秩序の風が収束して、
ベアトリーチェとアマンダに襲い掛かる]
[風は二人を取り囲むように吹きかかる。
二人を外からの攻撃から守るように]
[アマンダは振り下ろされる刃を見つめたまま、動かない、動けない]
だって、聞いてない!
ベアが何を望んでいるのかを!
[耳に届いたフィロメーラの言葉に、思わず振り向き叫ぶ]
フィロメーラ! 君は!
ベアと出逢った世界(こと)も否定するの!?
[迫り来る刃を忘れ]
[何かが、歪んだ。それは彼女の表情か、心か]
「……滅びは、創世に必要な事。」
[迷いを断つように、戦乙女は剣を振わんと。
しかしそれは、一瞬の注意が逸れたうちに放たれた、竜の火炎に止まる。彼女だけなら避けられよう、少女だけでも書と指環の力があれば護れよう。しかし、それはあくまで一つの存在なればこそ。分たれた今となっては――]
[ブリジットの言葉に、顔を上げる。]
…どうしたら、どうなる?
私は。
私の力は…
[知らず、わき腹の傷に手をやる。
まだ、痛む。]
[クレメンスの動きを感じて、首を巡らせる。
あぁ、置いていかないで。
でもここからも離れたくない。
動けない。
わからない…!!]
[彼女は剣を振う事を、避ける事を選ばず、盾を翳す。
しかし力を有した盾なれども、本性を表した竜の火炎を完全に遮断する事など、出来る筈もなく。灼けつく炎は、鎧を纏った彼女の身を焦がす]
あなたが心から望めばいいの。
壊れてほしくない、というその気持ちを。
ちゃんと受け止めて、素直にその力を受け入れて。
そうすれば力のありかたはおのずとわかるよ。
[そこから先は竜の領域。
オトフリートの方をチラリと見る]
フィロメーラ!
[わずかなゆがみを持った精に、
火の竜の炎が襲い掛かる。
思わず名を呼んだのは――
かの精が望むは、本当は自らも望んでいたからかもしれないからか。
かの精と自分が、似た存在であると思っていたがゆえか。]
[命竜の子の声は届いたのか?やはり、その心の動いた様子はなく、ただ、内に溜め込んだ大きな力が膨れ上がっていく気配だけが、その場に広がる]
[刃は砕け]
邪魔を
するな…!
[叫びは咆哮に変わり
少年の姿は白い狼に変わり]
[アマンダの頭上を軽々と飛び越える。]
[その一瞬、ユリアンを睨み付け]
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