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そうなのよね、うん、年甲斐も無くね。
[ニーナの興奮していた、の声には深く頷く]
ニーナはなんだか元気ないみたいだけど、大丈夫?
疲れてない?
ありがとう、レベッカさん。
白い、レースのがいいのだけれど……。
[言いながら、棚に近づいて]
いつも同じようなのを選んでって、怒られちゃうのだけれど。
こればっかりは譲れないわね。
喪服の黒を選べだなんて。
だって、誰も――。
[言いかけたところで、一つの扇子が目について]
あ、これ、すてきね。
そうですね・・・機会があれば。
と言っても、誘わなくてもまた行きそうですけど。
[楽しそうな様子を思い出したか小さく笑う。]
嗚呼、そうなんですね。
・・・にしても、折角の機会なんですし、少しは楽しんでみれば良いのに。
そういえば、今日は何があるんですか?
――あ、
えと、
…………うん、
[声をかけられたのに驚いたのか、
何故だか急に慌てた様子になって、]
そう、
こんにち、は。
[顔を隠すように深く深くお辞儀。]
[手にとってもいいかしら?と、レベッカに確認して広げた扇子は、白檀の地に、白の繊細なレースを張ったもの。薄金色の刺繍が美しく]
あなた、どう思う?
[そう尋ねた言葉は、娘へのものだろうか、それとも店の二人に対するものだろうか]
[鞄に道具を片付けようとして、自分用の紙袋とは別に入れていたプレゼントの包みに気付く]
あ…すっかり忘れていました。いけませんね。
[とっくに帰ったらしいニーナに、しまったなとぼやきつつ診療所を後にする。
メインストリートに出れば新しいビラが手渡されて、興味深げに見ながら歩いていく]
はい、こんにちは。
[深いお辞儀に、穏やかな挨拶でこたえて]
……もしかして、脅かしちまったかな?
[だったらごめんね、と笑いつつ。
ふと、視界の隅を掠めた影に、一つ、瞬き]
今の……。
[アーヴァインさんだったような、と。口の中で小さく、呟く]
そうですねえ。一度楽しんで頂ければ、サーカスの効用も判って頂けると思うのですが。
そうそう、今日は軽業と空中ブランコのショーがあるんですよ。
魔術の実演は明日からの予定です。
一番の売り物なので、週末にお披露目するってわけです。
はい、こんにちは。──、
[ふと、女性の後ろに薄ら影が見えた気がして、緩く瞬いた。
慌てて、再び──今度は女性の後ろへ向けて、軽く頭を下げる。
確かに、見える人には女性の周囲に「居る」とは耳にしていた。
それでもどれだけ目を凝らしたって、今までは見えていなかったのに。
近しい存在、だった事があるからだろうか。
それにしたって、もしサーカスが来た影響なのならば、
──考えて、少しだけ眉を寄せた。]
いえ、昨日、少し行っただけでも十分満足です。
私は、診療所のお手伝いは楽しいですし。
サーカスは、小さい頃に言った事がありますから。
[行かなくても、結構平気です。
女性の続く言葉に、へらりと笑みを浮かべながら答える。
…小さい頃に行ったのは、本当。
問題はそれからだけれども、それまで告げる必要もないだろうし。]
[顔を上げて、ふるふると首を振る。
小さな呟きは聞こえなかったけれど、
どうかしたのかと思ってそちらを見て、]
……?
[少女の視線の高さでは、
影は見つからなかったらしい。
代わりに、足下で鳴く猫へと視線が落ちた。]
[エレノアの選んだ扇子を見て、さすがにいいモノを選びますわね、とつぶやきながら丁寧に包装し、ニーナとエレノアの会話に笑みを浮かべる。]
久しぶりだったんだから、楽しんじゃえばいいと思いますよ。
まるで、遠足の前日みたいにわくわくしても仕方ないです。
[レベッカの頷きに、くすくすと笑みを零して。
続く問いに、少しだけ慌てたようにふるふると首を横に振った]
──え、…え?大丈夫、ですよ?元気です。
疲れてません。本当。誰も疲れてません。
[無駄に繰り返すのが微妙に怪しい。
が、確かに元気だし、疲れてはいない。…多分。]
[確かめる間もなく、人影は見えなくなった。
正確には、人だかりに紛れてしまった、と言うべきかもしれないが]
あの人が遊びに来るとは思えんし……見回り、かな?
[ご苦労なことで、と呟く。
一方、少女に視線を向けられた黒猫は挨拶するように尾を揺らしつつ。
じい、と少女と熊とを見つめて]
あ。
そうだ。
[暫く黒猫とにらめっこしていたけれど、
ようやっと思い出して、顔を上げ。]
えと、……お礼、昨日の。
[そう言って、
小さな掌に取り取りのビーンズを乗せて、
好きなのをどうぞと言わんばかりに差し出す。]
[ニーナに挨拶をされると、婦人のほうは嬉しそうに笑う。
少女はそれを見て取るとニーナの近くへ歩み寄り、
彼女の眉間をつん、とつついてほほ笑みかけた。]
こら、シャーロット、いたずらはだめよ。
――そう、子どものころに……。
サーカスがこの町に来たことって、あったかしら…?
[彼女の言葉に小さく首をひねり]
お仕事が大切な看護婦さん。とてもすてきね。
包まなくていいわ、すぐに使うの。
[気に入ったらしい扇子をレベッカに渡し、
さらさらと勘定書きにサインをしていれば、娘が彼女を呼んで]
なあに?
[白い扇子の隣にあった、黒い扇子。
紫檀に黒のレース。縁取りは紫紺。]
黒のものは、嫌い。
それは欲しくないわ、シャロ。
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