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だって、お婆譲りだしさ、多分。
なんで、僕に譲られたかは謎だけれど。
[本来なら、受け継がれないはずのものなのに。僕には]
前からアーくんと会っていて、
それでも気づかれなかったくらいだから、
大丈夫っていうのは認めて欲しいなあ。
[それは、会うのは外であることが多かったからなのだが。
実際、外ならば、大抵の場合は問題なかった]
[ブリジットから注意を受けると]
お風呂はお預けなのね。仕方ないかしら。
[少し悲しそうな顔をした]
手当てしてくださって、ありがとうございました。
・・・疲れているでしょうに、お仕事増やしてしまってごめんなさいね。
[一瞬座り込んだブリジットを心配そうに見た]
[ミハエルからは大丈夫との言葉を聞いて安堵する]
そうですね…
[マテウスの問いにアーベルの方を見て]
もう少し掛かりそうですし、先に行って支度だけは済ませておいたほうがいいかもしれません。
[そう答えて、場所を知っているだろうマテウスに付いてその場所へと向かう]
あっ、はい。
[ミハエルの言葉に頷いて、台所へと戻り。
まだ使われていない布巾を濡らし固く絞って広間へと]
…大丈夫ですか?
[頭痛を堪えている様子のミハエルにそっと差し出しながら尋ねる。
そうした辛さはここ最近自分も体験し続けているから]
人工的な光は、採取しにくいみたい。
……だから、こっちに戻って来たのもあるんだけれどねえ。
[あまりぼかしても追求を受けるだけだから、端的に]
[向けられる苦笑に、眉じりを下げて、苦笑を返す]
ん、……ごめん。
心配かけたくなかったんだよ。
気づかれなかったしさ、今まで。
[呆れを含んだ言葉には、聞こえない振り]
っていうか、見張りって何さ!
アーくんのほうが必要だって、絶対。
[離れた手に安堵する。
かと思えば、小突かれて、きょとりと瞬いてしまったけれど]
……全く。そっちもね。
見えない傷も痛いんだから。
[タオルを持ってきてくれたイレーネに微笑み]
ありがとうございます。
[と、お礼を述べながらタオルを当てると、思った以上にタンコブは大きくて、痛みもあったため思わず顔を顰めてしまった。
それでも]
だ、大丈夫ですよ。
[といえたのはハインリヒの一言のおかげか]
[ミハエルが大丈夫と言っているのと、右手の血が違う事を聞き少しは安堵し。]
立ちくらみ、ですか。当帰があるけど、飲みます…?
[こちらも苦い薬湯だが。][弁解を真摯に受け止め、尋ねたり。]
…こういう状況下だしね。気ぃしっかりもたねっと…。
ストレスとかでおかしくなんない方が、どうかしてるさね。
[それでも体力は温存しておかなくてはと、痛いとこ庇いながら食事は口にする。]
あ、いえ。休みはしました…
[が、昨日から怪我人が多く、連続しての作業が体力と気力を消耗させたままなのは否定できない。]
[おまけに朝は、死んだ人達の怪我を包帯で巻いていった。][けっこうな重労働だったりするし。]
でも、大丈夫です。
…せめて、ローグとしてやれる事くらいは、やらないと。
[私に出来る事は少ないからと、呟いて。]
[当帰があるとうブリジットの言葉に、しばし思案して、無理をしすぎて倒れる方が迷惑が掛かると思い至り、薬をもらうと首肯した]
りょーかいっ。
こっちは任せた。
[アーベルには至って真面目に敬礼のポーズを取る。拗ねたのは知らん振り。
黒鳥には手招きをするだろうか。]
おばあちゃん譲り?
[ユリアンの言葉には、にこにことした老婆の姿を思い浮かべる。その様な様子はあっただろうかと首を傾げた。]
いーや、認められないな。
[最後だけはきっぱりと告げた。]
[ナターリエの言葉にマテウスが頷き、二人が先に行くのが視界を掠める]
っと……自分から行くって言ってて、待たせてどうすんだ、俺。
[やべやべ、と独りごち]
……ザフィーアは、感覚が鋭いから。
多少はフォローできるだろ。
俺は、大丈夫。
……マテウスさん一緒で、無茶なんかできねぇよ……痛かったし。
[冗談めかした口調で言って。
見えない傷、との言葉には、微かに苦笑した]
そうですか。
あ、お湯。
鍋はかけてあるから、必要なら使って。
[顔を顰めながらの言葉に、これ以上尋ねてはいけないかなと思い。
薬を用意するというブリジットに声をかけた]
……。
[それから室内を改めて見回して。
エーリッヒに視線が向いたところで暫し停止]
お婆は僕と違って、視えるからねえ……。
[リューディアの疑問を含んだ声に、返す答えは小さい。
もっとも、あれはあれで、不便があるようだけれど]
……リューもいけずだ。
[二人を見比べて、肩をすくめた]
ああ。
あれ、そうだったんだ?
[アーベルの台詞に、殴られた痕が誰によるものか、思い当たる。
……それは痛そうだ。頭突きとどっちが痛いだろう]
それなら、大丈夫かな。
まあ、ありがと。
正直言って、この中で嬢ちゃんが一番働いてると思うがね、俺は。
[出来る事が少ないと言うブリジットに、半ば呆れたように男は言った]
料理も美味かったしな。ゆうべのカレーとかよ。
[けれど、それ以上休めとは言わずに、ただ昨日のカレー騒動を思い出したように、にやりと笑った]
いいえ、気にしないで下さい。
無事で、よかった。
[全く無事ではないが、それでも。][死んでしまった人達よりはずっといいと思いながら。]
[咽たノーラの背を少しさすって落ち着かせて。]
[ミハエルが頷いたのを見て、もう一度台所へと向かう。]
ん、頼むぜ。
[リディににこりと笑いつつ、こちらは、避けられないならぽふり、と頭を撫でて。
呼ばれたカラスは少女の側へと]
んじゃ……行って来る、から。
[小さく呟くように言って、外へ。
先へ行った二人の後を追って行く。
その背に向けて、ばさりと羽ばたく、カラス。
もし、その脚の飾りをよくよく見たならば。
銀の上に煌めいていた藍玉に、小さなヒビがある事に*気がつく事ができるやも*]
[一通り白状し終えて、アーベルを見送ったところで、(ついでに頭突きのことを思い出したせいで)忘れていた後頭部の痛みが蘇る。
最近、痛い思いばかりしている気がした]
あー……っと、冷やしてくる。
[頭を押さえながら、キッチンへと足を向けた]
ああ、そういや、晩飯。
[カレーの話をしたことで思い出したらしく、男は顎の無精髭をさすった]
たまには俺も貢献してみっかね。
[呟くと台所へと向かう]
あ、うん。ありがとう。少し貰うね。
[イレーネに小さく笑み礼を言って。][台所にあった鍋に火をかけ、少しだけお湯にして、当帰を入れ煮立たせる。]
[出来た上水をカップに入れて、ミハエルへと熱いから気をつけてと注意しながら渡し。]
[少女に見張り役が務まるかは甚だ謎だが、そこはアーベルの片割れが何とかしてくれるかも知れない。情けない話ではあるが。]
人工的な・・・・って、じゃあ夜はダメなんじゃないか。
・・・・・視える?
[言葉が不可解に思えて、首を傾げた。]
ベルにぃだって、なんでもわかるわけじゃないでしょうに。
[続く言葉は素っ気無い。]
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