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[少女の口から語られたもの。それは彼女の両親が二年前、とある事件に巻き込まれ命を落として居た事。そのときのショックで、自身の成長も止まって居る事。そして、両親の遺言に従い、ペンダントヘッドをアーヴァインに渡す為にこの場所へ訪れたことだった。]
[沈痛な面持ちのアーヴァインに、少女は小さく笑って]
そんなに悲しい顔をなさらないでください。たとえ命は消えてしまっても…思い出は消えないのですから――
これは…生前最も親しくなさってくださったあなたへ、せめてもの形見分け…。良かったら受け取っていただけないでしょうか?
[少女は首から鎖を外し、そっとアーヴァインの手にネックレスを置いた]
[只ならぬ様子に驚きつつも、押さえる手は緩めずに]
大丈夫、ここに居るのはあんたの敵じゃない。
俺達はあんたに危害は加えない、だから落ち着いて。
[出来るだけ安心させようとそう声を掛けて]
[怯えた瞳で取り囲む人々を見る。][色濃い恐怖の色。]
[そのうちに怖れが頂点に達したのか、]
[小動物のように身を縮めて、固まる。]
…大丈夫、何もしませんから。
[最後の包帯を傷に触れぬ位置で結ぶと、小さくうずくまった体にやわらかい毛布をかけてやる。]
ゆっくり休んで傷を治していきなさいな。
…何か食べられるようなら、用意させますし。
[男の怯える様子に、やはり唯の行き倒れでは無いと確信して]
よっぽど酷い目にあったんだな…
でも、本当にもう大丈夫だからな?
[子供に諭すようにそう告げて。
怯える姿がまるで子供のようだったから]
悪い奴じゃ無さそうなのに、な。
[そう言って押さえつけていた腕を緩める。
少しでも男が落ち着くのを待ちながら、暫く様子を*伺っている*]
[暫く考え込むようにしていたアーヴァインだったが、少女の眼差しにふっと溜め息を吐き。乗せられたネックレスをそっと握り締めて微笑む。その微笑を受けて、連れられるように少女も僅かに頬を緩め]
これでやっと。私の中でも両親の死と向かい合うことが出来そうです。ありがとう、アーヴァインさん。
そして、宿代わりにお屋敷を貸して下さってありがとうございます。
これで心置きなく、旅に出られるというもの――っ…え?今日の宿…ですか?いえ、決まっては居ませんけども…。
――もう一泊ですか?でも…そんな何時までもご好意に甘える訳には…
[宿の提供を促すアーヴァインに、少女は感謝しながらもその申し出を渋るように言葉を続ける。
しかし、ぼろぼろの靴とその下にある素足の怪我を指摘されれば、強く断ることも出来ず――]
じゃぁ…少しの間だけ…お邪魔致します。
[戸惑いながらも好意を素直に*受け取った*]
[涙で濡れた頬を拭うのにも、宥める様に背を撫でる手にも抵抗はせず]
[落ち着いたそのリズムに身を委ねるかの様に、表情を和らげた。]
部屋のほうが暖まったら、そちらへ移した方がよさそうですね。
[使用人に指示を出しつつ、大人しくなった怪我人をそっと横たえ。]
[気を失った行き倒れを見やる。]
……あ。
仕方ありませんね。冷める前に私が飲みますか。
…………苦手なんですよね、ホットミルク。
[とりあえず、ホットミルクを全部飲んだ。]
ああ、またこの方が目を覚ましたら何か頼むかもしれません。
よろしくお願いしますね。
[使用人に一礼。]
…苦手、て……。
[牧師を見上げてツッコもうかどうしようか迷いつつ。]
…それにしても、誰がこんな酷い目に……。
[痛ましげに目を伏せ、怪我人の肩を静かに撫でている。]
誰しも苦手な食べ物の一つや二つあるものです。
[きっぱりと言い切る。]
……しばらくこの屋敷で静養させた方がいいでしょう。
客室はまだ空いているはずでしたね?
[ 少し前、皆が怪我人の介護をしている其の頃、ハーヴェイは離れた廊下で使用人と会話を交していた。]
……そうですか。では、其の様に。
[ 医者を呼ぼうにも、今から山を下りるのでは流石に危険が伴う為、夜が明けてから向かうという結論に達し、話を終えた使用人は青年に一礼すると広間へと向かっていく。]
然し……、厄介事は御免なんだが。
[ 其の後ろ姿が見えなくなってから小さくぼやき、そろそろ帰るべきかと思う。
自ら掌に視線を落とせば、泥や血が付着した儘だった。彼の男を運んだ時に付いたものだ。]
……。
[ 布で其れを拭い取り今日幾度目の溜息を吐くと、広間には立寄らず*湯浴みに向かった。*]
[苦手なら普通、口にしないのでは…ともおもいつつも。]
…そうですね、あと数室くらいなら空き部屋もありますし。
[とりあえず、呼吸も落ち着いて眠りに落ちたことを確認して安堵する。
若く体力もあるようだし、じきによくなるだろう。]
…ぁ。
[漸く、自分の指も手も、着ていた服も、
血泥に汚れてしまっていることに気がついた。]
これはお見苦しい。湯浴みでもして着替えてまいります。
[その場に居る者に怪我人の様子を頼むと、*広間を出て行く*]
行ってらっしゃい、また後で。
さて、口直しに……。
[怪我人の治療用で余ったスピリタスをホットミルクが入っていたコップに満たし、*飲み始めた。*]
お嬢様 ヘンリエッタ が参加しました。
大きい……。
[視界を遮る木立がひらけ、その館の全貌が目に入った時、彼女は誰にともなくそう呟いた。
自分とその館の間には、谷も庭もあると言うのに、言い知れぬ圧迫感を感じて、少女は無意識に身を震わせた。
今ならまだ引き返せる。そう、一瞬だけ考えてしまったのは本能の警鐘だったのだろうか。
けれど、彼女はそれには従わなかった。]
……これならきっと、お金もたくさんあるよね。
[少しだけ怖じ気付いた心を奮い立たせるようににやりと笑うと、懐の包みを抱き締めるように強く握り、少女は吊り橋へと一歩踏み出した。]
村の設定が変更されました。
<館/玄関ホール>
ごめんくださーい……。でいいのかな?
だれかいますかー?
[彼女が今迄暮らしていた家が何軒も入りそうな邸宅なのに、入り口の広間に人気は見当たらなかった。
軽く声を張り上げて、誰か出てくるのを待つ。]
まさか、こんなに大きいのに、使用人の1人もいないなんてないよね?
こういう家は、召し使いがいっぱいだって聞いたわよ……?
[彼女にとっては広大すぎる館を言葉で埋めるように、沈黙を恐れるように、少女はひとりごちた。]
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