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クロエがどうして怒られなきゃいけないの?
[意図がつかめず娘は幼馴染に疑問を問いかける。その応えは自ずとして語られるか。]
隠し事…かい?
[急く事はせずにただ、黙って彼女から語られるのを待ち。目が違うのだと打ち明けるクロエを見詰め背を撫ぜていた手を止めた。]
――――…ッ
そんな、もう…泣かなくても…好いのだよ
[切々と語られる告白を耳に、翠の眸がふるりと揺れる。言葉が見つからなくて娘は咄嗟に幼馴染を強く抱きしめて首を振り。]
…今まで、辛かったの、だね
ン…普通の人と違うからって理由で僕は嫌いになんてならないさ
クロエはクロエ、僕の幼馴染で、友達だよ…
─宿屋・食堂─
はい、その際はご遠慮なく。
[笑いながら、言う口調は冗談めいて。
食堂の椅子の一つに座って、いつも持ち歩いているものの一つである、カードを出して手遊びにシャッフルする]
……いや、止めて止まる奴らじゃないし。
むしろ、ぶつけないで溜め込む方が危険ですからね、こういう状況じゃ。
キーファーに関しては、あいつの好きなようにやらせるのが一番いいですし。
……俺は、この件にケリがついたら、また、降りる身ですしね。
[クロエの告白にはじめは驚いた風ではあったが
話を聞くうち神妙な面持ちとなる。
じ、と涙に潤むクロエの眸を見詰める]
私には呪われた目になど見えない。
深く綺麗な眸だと思うよ。
お前さんにとって呪われてると思えるなら
……神の与え給うた試練か。
莫迦だな。
それくらいで嫌われるなんて思うな。
嫌われるのが怖くて言えなかっただけなんだろ?
誰も離れてなど行かんさ。
クロエはクロエなんだから。
まぁ、とりあえずとっととでようぜ?
[余りよろしくない雰囲気を詰め所内に感じながら、ライヒアルトに同意するようにそう言って]
誰が悪いなんてねぇさ。
しいて言うなら可愛い女の子はいつでも正義ってことくらいだ。
[そう、クロエに笑いかけた後、
明かされたクロエの話は静かに聞いて]
んー、そうか。
[ぽんとクロエの肩に手をのせて]
クロっちの苦労、全部わかるとは言えないけど、呪われてるとかそうは思わないぜ。
別にそれで私に迷惑かかるわけでもないしな。
―村の通り―
[俯き加減に道を戻る。
村人の気配はするけどすれ違わない。避けられてるのだろう。
チ、と舌打ちして逆に顔を上げた]
あれ。ミハエルさん?
[村の奥まった所に小さな人影が見える。
それほど大きな声で呼んだわけでもないが、人通りのない道ではいつもより通ったかもしれない]
―宿屋 食堂―
そうねぇ。
そもそもわたしでは止められそうもないし。
……あの子、キーファーっていうの。
[手元を見ながら笑みを浮かべる。
今更のように蒼鷹の名前を確認し]
そう、残念だわ。
[確認を終え、人形たちを脇に。
アーベルの手の中、見る間に切られていくカードに視線を注いだ]
随分、扱い慣れているのね。
…っ…ゲル、ダ…?
[伏せていた瞳は強く抱きしめられた事で開き、抱きしめてくれている彼女の名を呼んだ。
クロエはクロエだと言われれば、更に瞳は大きく見開いた。
ライヒアルトからも呪われた目には見えない、誰も離れてはいかないと言われ瞳にまた涙を湛え。
ベッティからも肩に手を置かれ優しい言葉をかけられれば大粒の涙が零れた。]
あり、がとう…ごめ、んね。黙って、て。
こわかった、の。ゲルダも、ライ兄も、ベッティも、大好き、だから。
きらわれ、たら、どうし、よう、って。
[零れた涙は腕の中の蒼鷹の羽を濡らしてしまっただろうか、擦り寄り鳴く声に、君もありがとう、と礼を言った。]
ベッティの言うとおりだね
是以上の回答は、得られないかもしれない
[ちらりと自衛団を見やる。
張り詰めた空気はゆるむ事無く緊張で重苦しい。
その場の面々に視線を投げかけると此処を出る旨を伝え。]
皆、一度宿屋に戻ろうか
クロエも…ちょっと休もうよ
疲れたならベッティにお部屋用意してもらうのもいいし、
寂しいなら僕とかライヒ君がつくと想うし
[ぽふぽふとベッティに続きクロエの頭を撫ぜて]
─宿屋・食堂─
ま、ライも一緒に行ったんでしょ?
それなら、大丈夫でしょうし。
[幼馴染への信はあるから、さらりと言って。
蒼鷹の名の確認には、ええ、と頷いた]
あはは……どうも、一度根無しになれちゃうと、落ち着くのが苦手になるもので。
[冗談めかした言葉は、半分は本音]
一人旅の暇つぶしにやってたら、身についた……って事にしといていただけます?
[扱いの話には、にこり、と笑う。
とはいえ、見る者が見たならそれは、ただの手遊びのレベルでないのは一目瞭然なのだが]
─ →自衛団詰め所─
[ゲルダらとともに自衛団に向かう道すがら。
遠巻きに前後を歩く自衛団にあからさまに舌打ちをする。]
ちっ、胸糞悪ぃな。
そういう対応はほんと頭にくるんで止めてほしいものなんだが。
[そうして不機嫌そうにブチブチと文句を言いながら、詰め所へとやってきたわけで。]
だからもう一人で泣いちゃだめだよ
僕達が傍に居るからさ
[涙が服へと落ち濡れて。幼馴染の目尻にたまる熱い雫を娘は細い指でそっと拭い。]
…じゃあ、僕がクロエの立場だったらさ
クロエは僕の事怖くなって嫌いになっちゃうの?
―――違うよね、そんなことしないの、僕は解っている心算だよ
[そう伝えると立てるかどうかを尋ね、宿へと戻ろうかと声を掛けた。動けぬようならライヒアルトにクロエを頼む心算でいる。]
だぁれもクロエを嫌ったりしねぇから安心しろ。
きっとアーベルだって同じような事言うぜ。
[クロエを安心させようと軽く笑い
ベッティの言葉には頷いて宿屋に戻ろうとする。
ゲルダが寂しいならと提案すれば瞬きして]
さすがにそれはゲルダに任せる。
私が傍に居ても落ち着けないだろ。
─村の通り─
……あー、そか。
そうだよね。怖いよね、俺のことだって。
[距離があっても強張った身体と怯えた雰囲気は見える。
こっちは御伽噺を信じるような年じゃない。
実感もまだ出来ていないから怯えが表に出たりはしないが]
まあいいよ。
でもある程度は顔出した方がいいと思う。
隠れてるだけじゃ疑われた時にも何も言えないから。
[それは裏通りの渡り方かもしれない。
逃げ場の無い時には隠れていてもいずれ見つかる、みたいな]
俺は宿に戻るところ。
どうする?
[待たせている人がいるから足はもう宿に向けて]
―宿屋 食堂―
ええ、一緒に行ったみたいよ。
[ライヒアルトの名前が出たなら、一つ頷いた。
そこには信を置く発言に対する肯定も含めて]
そう。
なら、仕方ないわね。
[村を出る理由については、それ以上を追及することもなかったけれど]
それじゃ納得できない、――なんて言ったら?
[扱い方の差まで判るのかはともあれ。
今までとは種の少し違う、悪戯めいた笑みを見せた]
[ゲルダやベッティの言葉に、ようやく自衛団員が数名こちらを窺っていることに気付き。
自分達のことを黙って見ていた団長からも、そろそろお帰りと声をかけられた。
ゲルダからも頭を撫でられれば、子供のように頷いて答え。]
うん…そう、だね。少し、寝させてもらおうかな。
ベッティ、良い?
[そう言って、自分を労わってくれる幼馴染を見上げ甘えた。
涙を拭ってくれたゲルダの言葉には、そんなことない、と強く言った後はっとして。
困ったように笑いながら、そうだね、と。]
こんなことで、私は皆のこと嫌いになったりしない。
そうだったね、本当にバカだね、私。
[ゲルダと同じようなことをライヒアルトからも笑顔で言われれば、少し腫れぼったくなった瞳を笑顔に細めて頷いた。
ライヒアルトが傍にいても落ち着けない、という言葉にはそんなことないよ?と首をかしげたか。]
─自衛団詰め所─
[そうしてたどり着いた詰め所。そして通された先は、ギュンターの執務室。
ゲルダの話をドアに凭れかかり聞いていたが、クロエが二人で話したいと言い、わずかに目を細めるが黙って出ていく。
だが、中から聞こえてきたすすり泣く声に駆け込むライヒアルトに続き、つかつかと中へ入ると、机を挟んでガッとギュンターの襟首を掴む。]
…………おいじじぃふざけるなよ。なにクロエ泣かしてんだ? あ?
[その声は底冷えするほど低く、しばし鋭い目つきでギュンターを睨んでいたが、クロエの言葉に不承不承の態度で手を離す。]
まぁ、もうちっと信用してくれよクロっち。
[笑いかけながら、やさしい口調でそう言ってから]
私もクロっちもゲルルンもブリたんも大好きだぞ。
[年も近く、仲のよかった幼馴染3人のことをそう自分も言い]
改めていうのは、ちょっと恥ずかしいな。
[照れくさそうな笑みを浮かべながらそう言い皆で宿屋へと戻る途中]
あ、私はちっとよるとこあっから先行っててくれ。
[長い間店を開けるのもあまりよくないのだが、こんな状況では泊り客なども来るわけもないのでいいだろうと勝手に思ったりしていた]
クロっちもゲルルンも、元気出せ。
それからライヒアルト、送り狼になるなよ?
[にししと笑いながらそんな言葉を残して、自分は皆と別れた]
─宿屋・食堂─
[一緒に行った、という肯定に、なら大丈夫、とその件は自己完結した]
……美人さんがいらっしゃるなら、会いに戻ってくるのもいいかなー、なんて思ったりもしますけど。
[くすり、と笑いながらの言葉は、どこまで本気か]
んー……どうしましょう、ねぇ?
俺としては、それ以上の理由は『ない』って事にしたいんですけど。
[悪戯めいた笑みには、こてり、と。首を傾げて問いを返した]
ほら、ブリジットも、帰るぞ。
[声を掛けて自衛団詰め所を出ようと促す]
あー……。
落ち着けないのはこっちの方か。
流石に年頃の娘さんと二人きりには、な。
[クロエにポツととても小さな声で紡いだ。
禁欲的な信仰生活をおくる修道士とはいえ
これでも一応健康的な成人男子である。
見透かすようなベッティの言葉には咳払いして]
なんねぇっての!
[先に帰ろうとする彼女にそんな声を向けた]
[そうして、語られるクロエの告白には静かに耳を傾けていたが、はぁっとひとつ深く溜息を吐き、ゲルダに抱き寄せられるクロエに近付くと]
……なぁにウジウジ悩んでんだよ。
俺もゲルダもベッティも、あとライヒだってそんなことでクロエを嫌いになるわけねぇだろーが。
むしろ、そんな風に思ってたことが許せねぇ。この、このっ。
[そう言って、ガシガシと少々乱暴にクロエの頭を撫でた。]
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