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ねー。
着替え、無いと困るよねぇ。
どれくらいここに居るのかわかんないけどさー。
[真似をして上着を掲げるイレーネの周りを、エプロンを高く持ったままくるくる回った。]
あははははは。
はっ……はっ……。
…し、死ぬかと、思った…。
…もう、さっさと帰った方が良い、かな。
[連中がまた戻って来たり、別の何かが現れても困るわけで。
へたり込み荒い息を吐いて肩を上下させつつ言葉を紡ぐ]
[そんな折に聞こえた近付く足音。
ハッと表情を強張らせ視線を向ける]
…あ、ああ…ティル様…。
見苦しいところをお見せしてしまいましたようで。
[相手の口調から襲われていたところを見られ、今へたり込んでいる姿を見られてしまったことに恥ずかしそうに笑った]
ええ、どうにか…。
あんなものが放されているとは露ほども思いませんでしたもので…驚きました。
[はふ、と溜息。
離れて、個室を出た。
……下駄まで用意してあることには、流石に驚いたが。
スニーカーは合わないにも程にあるから、いいんだけれど。
呟きながらも、納得はちっともいっていない表情。
ぱたりぱたりと、階段を下りる。]
……っていうか、お前ら、走り回るなっての!
[やけにはしゃいだ様子の二人に、素で突っ込む。
その様子が、『身内』の子供たちを諌める時のそれになっていたのは無意識か]
……っとに。
せめて、タオルを取ってくるとかしろっての……。
[と、言ってる自分が行けばいいのか、と。
くるり、踵を返そうと]
[ぱたぱたと駆け回りつつ、足元に纏わりつくスカートが邪魔で。
はたりと立ち止まれば何処かに干しておこうと脱ぎ始める。
インナーのシャツの裾が長いからきっと平気、のつもりらしい]
様付けされるような人間じゃないですよ、僕は。
[呼ばれ方に困ったような笑いを返す。
へたりこんだままの姿には手を貸そうかどうか悩み]
僕も知らなかったけど、まったく物騒な歓迎だね。
うかうかと休んでもいられないみたいだ。
…立てる?
[右手を上げながら首を傾げた]
ああ、そうそう。
自由に帰るのって無理じゃないかなと思う。
ここ、封鎖されてるみたいだし。
外とも連絡取れなくされてるからね。
[サラリと付け足した]
[階下――多分、広間から聞こえる声は、やけに騒がしい。]
何かあったのかな?
[首を傾げはするが、足は速めない。
階段は、一段、一段。
転ぶのが目に見えているから。]
アーベルに怒られた――。
[上着とスカートを手にぶら下げ、しょんぼり。
流石にちょっと寒いので翼に包まりながら、
片隅で三角座りで拗ねている]
やん、怒られちゃったよー。
あははははははっ。
[アーベルに声をかけられ、それでもにこにこ笑った。
上機嫌で、それでもまだ笑いながらくるくる回る。
水滴が、飛んで舞う。
イレーネがスカートを脱ごうとしているのを見つければ、引っ張って手伝おうとする。]
[きゃいきゃい、かしましい声。
……見えたのは、アーベルだけだったのだけれど。]
今日も何かあったんですか?
[「も」。
無意識に、そう付けていた。]
[イレーネが拗ねて端っこに座るのを見つつ、自分は未だ広間の真ん中でエプロンをパサパサと揺らして乾かす。
下を向くと、前髪からぽたぽたと水滴が床に落ちた。]
……っとに……これじゃ、ウチにいる時とかわんねぇな……。
[はあ、と嘆息一つ]
怒ってない、怒ってない。
いい子だから、ちょっとだけ静かにしてろ?
[しょげるイレーネに、声をかけつつ。
ブリジットの声に、そちらを見やって]
あー、なんか、烏賊退治してきたらしい、そこの二人。
で、見たとおり、ずぶ濡れではしゃいでるって……。
[説明はそこで途切れ、きょとり、蒼が瞬く]
……っていうか、服、変わった?
[服をそこいらに放っぽらかして]
――怒ってない、本当?
[と、見上げるように下からアーベルの様子を窺う。
ブリジットがやってきたのを見れば、
三角座りの膝に顎を乗せたまま翼を振って挨拶]
ええと…様付けは癖のようなもので。
執事たるもの、主様のお客様を呼び捨てにするわけにも行きませんから。
…これも主様の意向なのでしょうか…。
[未だ執事として呼ばれたのでは、と言う意識は抜けないため、ここへ集めた張本人を主と呼ぶ。
自分も巻き込まれている辺り、いい加減違うと割り切れば良いのだが、可能性が残る以上捨てきれないらしい]
あ、はい、立つのは、大丈夫です。
[そう返事をして立ち上がろうとする]
……。
[立ち上がろうとする]
……すみません、手を貸して頂いてもよろしいでしょうか。
[立ち上がれなかった。
申し訳無さそうにティルへと訊ねかける]
え、あ、帰る、ですか?
私は仕事でここに呼ばれたと思っているので、ここを離れるつもりはありませんが…。
[自分がさっき言った「帰る」を勘違いされているとは気付いていない]
それにしても封鎖、ですか…。
外とも連絡が取れない…隔離されている…?
[いい加減違和感が大きくなってきたか。
考えるように首を傾げた]
いかたいじ。
烏賊、退治?
[復唱した。
首が傾ぐ。]
……砂漠だけじゃなかったんだ、ここ。
って、それ、風邪引きませんか?
[あまりの事に、脳に情報へと情報が行き渡るのが遅れた。]
ああ、個室にあったので、着てみました。
昨日はなかった気がするんですけれど。
わたしのところだけかな?
[浴衣っていうんですよ、と言いながらくるりと回って、見せようとして、]
…………わ、た。
[転びかけた。]
あははは。
ブリジットさん、こんにっちわー。
その服、可愛いねっ!
[かがんだ格好のまま、首を横に捻ってブリジットに笑顔で手を振ったところ、転びかけたのを見て]
あははははは!
裾、踏みかけてるよぉ。
[笑った。]
[バランスを崩すブリジットに、思わず翼が伸びる。
届く距離かどうかは分からないが、反射的に]
大丈夫――?
歩き難そう、それ。
裸足は楽、だよ――?
[と小首を傾げて]
怒ってないよ。
[言葉と共に、向けるのは素の笑み。
『身内』に対しては、わりときつい兄貴で通しているのだが、短い時間共に暮らした少女には、出自の事もあってか、素で接する事が多かったようで。
そこらも、懐かれた理由かも知れない]
ああ、風邪引くからタオルだけでも……あ、着替え、あんのか。
……って、おっと!
[ブリジットの説明にそれなら着替えさせに行くか、と悠長に考えた矢先、転びかけるのが目に入り。
とっさに手を伸ばして、支えようと試みた]
お客様…まあいいけど。
[申し訳なさそうな表情には笑って右手を差し出した。
小柄な外見に似合わずそれなりの力で引き上げて]
仕事…?
ああ、端末使おうと思ったら外への連絡だけはできなかった。
詳細がどうなってるのかは、僕も知らないよ。
[話が噛み合っていないのは気付いたが、何がどうずれているのかは分からないままにとりあえず返した]
[翼が伸びるのは見えたけれど、三角座りの体勢からは遠く。
支えられたのは、アーベルの腕の方。]
……っちゃぁ。
すみません。
[転ばないように、と先程決心したばかりなのに。
赤みが増したのは、羞恥だけではないようだけれど。]
[寒そう。
二人を見て、先に思い浮かんだのは、そんな感想。
上がりたてほかほかのブリジットとは対極だ。
けれど。]
仕方ないじゃないですか。
着るの、久しぶりなんだから。
[笑われれば、流石に眉を寄せた。]
確か。
それ、可愛いなぁ。
ボクも着てみたいなぁ。
ね、いいよね?
部屋に、あるの?ボク見てくるっ♪
[まくしたてるように言うと、嬉しそうに小走りで部屋へと*走り去った*]
[いつものアーベルの笑い方だ、と少し安堵する。
いけない事をすればちゃんと叱ってくれる、
それは自分の事を考えてくれての事で]
風邪、大丈夫だよ?
翼を温かくして、包まってたら平気。
[ユーディットも入る?と翼をひらひら]
気にしなくてもいいから、足元ご注意、と。
慣れてないなら、座ってた方がいいんじゃないか?
[支えたブリジットに、かける言葉は軽く。
走っていくユーディットの様子に、元気だねぇ、と呟いて]
取りあえず、歩くに不安なら、椅子まで手、貸すけど。
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