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─宿屋・食堂─
よ、お戻りか。
[扉が開く音と、人の声。
食堂の入り口で足を止めたユリアンに、蒼の瞳を向けて]
邪魔かどうかは、どうなんだろねぇ?
[軽い口調で言いながら。
瞳にあるのは、牽制のいろ]
イレ姉…?
[自分が自衛団長と話す少し前。
ゲルダの傍について皆の話を聞いていた時、イレーネが自衛団長に頼まれたそれを渡すのもただ見ていただけだったが。
自衛団長とのやり取りの中、いつもの温和な彼女らしからぬ様子が見えたのを不安げに見つめた。]
─ →宿屋─
[振り返られ頭を下げられると、警戒を解かぬまま翡翠を細めた。
ユリアンが宿屋へと入って一拍の後、扉を開いて中へと続く]
[宿屋を出た時より人は減っていて。
ユリアンが残っている者に声を掛けるのを一瞥してから、彼らから離れた位置の席へと座る。
握り締めたままだった銀の十字架。
手を膝の上に置き、十字架を両手で握った]
[そうして、他の面々が帰ったあと。
流石に先ほどのやり取りの後であるので、数人の自衛団員が残っているが、彼女の要件は別に聞かれようと構わないのかそれを気にすることなく切り出す。]
さっきのゲルダの話。そう、十年前の話だ。
…………あの事件と、うちのクソジジィの二十年前の蒸発は関係あるのか?
[二十年前。彼女の父親も消えていた。
そうして女手一つで彼女を育ててくれた母親も、数年後に蒸発。
そのことに塞ぎ込んでいた彼女の耳に入ったのは「二人とも人狼に連れ去られたのじゃないか」という噂話。
それ人狼伝承に掛けた根拠のない噂話に過ぎなかったが、まだ幼い彼女が拠り縋るには十分な理由であった。
そうして、伝承の研究を始め、他の地域の似た伝承を追いかけ飛び出した彼女は、今こうして食い扶持を繋ぐために伝奇作家となっている。]
そうだね、クロエの為にお茶でも持ってこようかな
丁度ユリアンに頂いた、少し珍しい茶葉があるのだよ
[如何だろうと訊ねながらクロエに囁き。甘えて呉れる幼馴染に安堵しきった娘は、そんな事を持ちかけた。]
ブリジットも、遅くならないうちに戻ってきてね
頼まれたものとか、持ってくる心算だからさ
[幼馴染達がそれぞれ想いあうと識れば、僅かだが口元が緩む。二人で話したい事は敢て聞かず、それならと云う事で詰所を出た。]
気にならないと想う、僕なら一人より二人の方が好いし
[ライヒアルトにそう返し、ね?とクロエに同意を求めた。]
皆のお兄さんといった感じだからね
そんな事想っても居なかったのだよ
んーん、きっとライヒ君も居て呉れた方が嬉しいと想うのだよ
[頸を傾ぐ様子にはそう答え、娘は何処かそんな二人を想うような眼差しを向けた。]
―宿屋食堂―
横からの野暮はしませんよってね。
[牽制の蒼にひらひらと片手を振って。
後から来たミハエルが離れるように座るのを確認すると、壁際の席について面白がるようにカードを繰るのを眺めた]
―宿屋 食堂―
楽しみにしているわ。
[それが叶わない可能性もあると分かっているけれど、口には出さない]
ふふ、ならそれで手を打つことにしましょうか。
約束ね。
[などと言う口調も冗談めいていて。
ハートの女王がその手にあるのを捉えた、丁度その時]
おかえりなさい。
……あら、聞こえちゃった?
[戻って来たユリアンに、わざとらしい所作で肩を竦めてみせた]
―自衛団詰め所・少し前―
[クロエが団長と二人で話すのを、待っていたが、
突然の泣き声と、ライヒアルトや他の者らの行動は、
何があったかと思いながらも、遠くから様子を伺うのみ。
自分が率先して騒ぎの只中に行けば、
余計な心配をかける上にかえって邪魔になるのは分りきっていた為。
団長のせいでクロエが泣いた訳ではないとしれば、安堵の表情を。
その後に告白された言葉は、ただ黙って聞いていた。
慰めの言葉は、他の者、とくに彼女と親しい者らがかけており。
だが今のクロエには過剰すぎても言葉が必要なんだろうと、
少し落ち着いた頃に自分も声をかけた。]
クロエちゃん、大丈夫よ。
私もそんな事でクロエちゃんを嫌いにはならないわ。
[特別かける言葉はなかったが、
ただ思った言葉を素直に、彼女に伝えておいた。]
─宿屋・食堂─
おっと、こちらもお戻りですか。
[ユリアンにやや遅れて入ってきたミハエルに向け、投げかけるのは軽い調子の言葉]
……なら、いいんだけど、ねぇ。
[ひら、と片手を振りながらの言葉に、じとり、とした視線を向けるものの。
ふと、蒼に過るのは、思案の色。
何か、見定めるようとするな。そんな表情が一瞬過って、消えた]
―墓地―
[皆と別れた後向かったのは墓地で、墓前に立ち。
昨夜の嵐の影響か葉がはりついたりしていた]
供えるものはもってきてないけど、悪いなお袋。
[葉っぱをとってから手を合わせた後にまずはそう呟き]
昨日の嵐のこともあったから顔見せと、様子見に来たんだ。
それにちっと、いろいろあったしな。
[わずかに俯いてから]
クロっちが死んだ人の気持ちとか見たりとかできるって、
お袋のこともクロっちならわかるんかね?
[小さい頃、もう記憶もおぼろげな頃に死んだ母の姿は、自分の記憶にはなく、
どんな人だったのかも父親に聞くようなことはしていなかった]
そういえばお袋、親父のことって、どうやって落としたんだ?
いろいろ参考に、聞きたかったな。
[湿っぽいことは避けようとそんな事を口にしてから]
また、落ち着いた頃に来る。
後、もう知ってるだろうけどアーベル、戻ってきた。
[そう最後の報告は少しだけうれしそうに]
じゃあな、お袋、次来るときはちゃんと供え物もっていくからな?
[そこにいた時間は余り長い時間ではなく、
宿屋に戻る途中、食材を買い込み、一人でいると皆といるときよりも視線を感じて]
なんだよ?いいたいことあるなら聞くぜ?
[そう言ったら、皆視線をはずすようにして、宿屋へ戻る道は皆に避けられるようにして戻ってきた]
[少々昔語りが過ぎたが。
そうして、彼女はじっとギュンターを睨みつけるが、ギュンターは眼を瞑り口を開こうとはしない。
──そうして、どれほどの時間が過ぎたか。
ハッと、息を吐き口を開いたのは彼女の方。]
ま、教えてくれるなんざ思っちゃいなかったがな。
それも一つの答えと取っておくぜ。
さて、聞きたいことはそんだけだ。じゃあな、クソジジィ。
[そう言って、立ち去ろうとし、ドアに手を掛け]
……ああ、そうだ。
…………さっきはすまなかったな、手ぇ出して。
反省も後悔もしちゃいないが、約束はしたからな。
謝っといてやる。じゃあな、ギュンター。
[振り向かずそれだけ言うと、今度こそドアを開け詰め所を後にした。]
[ゲルダの言葉>>585に考えるような仕草]
クロエ、ゲルダと寄ってれば、さ。
ベッティやブリジットまで集まるんだろ?
それは流石にこっちが落ち着けねぇし。
[カラリと笑ってそんな事を言った]
─宿屋・食堂─
[楽しみに、と返すカルメン。
先の事は考えずに、一つ、頷いて]
はい、んじゃ、そういう事で。
約束しましょう。
[どこまで本気か曖昧な口調のまま、にこりと笑う。
引き抜かれたクィーンはくるりと回った後、再びデッキへと戻された]
……っつーか、詰め所行った連中。
大丈夫、かね。
[それから、窓の方を見やり。
ぽつり、と小さく呟いた]
うん、ライ兄なら一緒に居たいよ?
[気にならないなら、と言うライヒアルトと、同意を求めこちらを見るゲルダには素直に頷いた。
どちらかと言えば、幼馴染達と同じく受け入れてくれた彼にも傍に居て欲しいと思った気持ちの方が強いのだが。
ユリアンにもらった茶葉を持ってこようか、と聞いてくれるゲルダの言葉にはわざわざ良いよ、と言いかけたもののその気持ちが嬉しかったので思いなおし。]
うん、それじゃお願いしようかな。
ゲルダが勧めてくれるなら美味しいのは間違いないし。
[そう言って微笑んで。
イレーネからも嫌いにはならないと言われれば、本当に自分は幸せだなと思いながら微笑んで頷いた。]
うん、ありがとうイレ姉。
もうね、大丈夫。
[クロエの言葉>>595とその調子に安堵の様子]
はは、光栄だね。
……ん、ありがとさん。
[一緒に居たいという言葉に照れを誤魔化すように呟き
青年はすたすたと前を歩いてゆく。
時折振り返り、一行の様子を窺うのは保護者としてか。
暫く歩けば宿屋へと辿りついた]
―宿屋―
[行くときには持っていなかったいくつかの食材の入った袋を手に]
店開けててごめんな。
[自分が戻ってきたのはミハエルやユリアンたちが宿屋に戻ってきた少し後だっただろうか]
飯作るから、誰か来たら頼むな。
[そう当然のようにアーベルに頼みながら、奥の調理場へと行きながら]
皆はゆっくりしていってくれ。
―宿屋 食堂―
おかえりなさい。
[離れた席に座るミハエルにも声を掛ける。
その間に交わされる青年二人の視線には気がつかなかったか。
視線を戻した時には、女王も既に元の場所へと帰った後]
破らないでね?
[成立した“約束”には、同じようににこりと笑う。
口調はやはり冗談めいていたが。
そうして続いた言葉に表情を戻し]
そうねぇ。
時間としては、そろそろ戻ってもいい頃だけど。
[扉を振り返る]
─宿屋・食堂─
ん? おう、お帰り。
[戻ってきたベッティに、ひら、と手を振る]
誰か、ね。
……ま、騒動関係者以外は、近づかないとは思うけど、な。
[ため息混じりに返しつつ。
調理場に入るのを、見送った]
―宿屋食堂―
信用無いねえ。
泣いちゃうよ?
[じと目もへらりと受け流し冗談で切り返す。
探るような色には少しだけ目を細め、けれど平然と受け止めた]
ライさんやイレーネさんいれば平気だろ。
[年上の者うち、ゼルギウスはどうも抜けていたり]
ああ、噂をすればだね。
おかえり、ベッティちゃん。
[そうして、詰め所をあとにした後は、まっすぐ宿屋へと向かう。
おそらくは、先行したメンバーが到着してから5、6分ほどした頃、彼女もたどり着いていただろう。]
其れは居づらいのかもしれないけど…
二人きりが好いのなら僕はそうするのだよ?
[聞かれて確かにそうだとも想いつつ、それでもクロエがそう望むのならライヒアルトに強請る心算ではいたが。]
ン――――…クロエもああ言ってる事だし
僕はクロエの喜ぶ事、してあげたいだけなのさ
[そう二人に伝えると一度雑貨屋に戻ろうかと考えに至る。イレーネとも話し、常の様子に戻るクロエを見て、ふわりと娘は笑んだ。]
どういたしまし、て?
[ライヒアルトから礼を言われればきょとんとして。
イレーネが穏やかに微笑み返してくれるのを見れば安心したように表情を和らげた。
腕の中の蒼鷹は大人しく抱かれたまま、ほどなく宿屋へと戻った。]
─ →宿屋─
ただいま。遅くなりました。
[宿に残っていた人にそう声を掛け。
アーベルの姿を見つければ腕の中の蒼鷹はどうしたろうか。
彼の元に向かうならば、ついてきてくれてありがとうと礼を言ってからそっと手を離すだろう。]
─宿屋・食堂─
[破らないでね、という念押し。
返すのは、楽しげな笑み]
ええ、勿論。
俺は、逃げ隠れはしても、嘘はつかない主義ですから。
[どこまでも冗談めかして返しつつ]
まあ、言いたい事が多ければ、それだけ時間はかかりそうですけど、ね。
─宿屋・食堂─
……野郎が泣いても、可愛くねーぞ。
[さらっと突っ込む頃には、険らしきものは大分失せて。
けれど、やはり、思案するよないろは残ったまま]
ああ、ライがいれば、大丈夫だと思ってるが、な。
[平気云々の話題には、あっさりと同意した。
それもそれで、酷いかも知れないが]
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